ギャラリー日記

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5月22日

ロータリーのお役目も後一月半。

かなりの時間を割かなくてはいけなかったが、それももう少しで終わりで、指折り数える毎日である。

そんなわけで、この1年展覧会紹介以外には日記を書く時間も少なくなり、これも習慣で書かなくなると億劫になるもので、だいぶ滞ってしまった。

5月19日の読売新聞夕刊のトップにアート市場を育む「先進美術館」という見出しで、評価、売却強化へ補助金、収集家を刺激と出ていた。

政府が新制度で、市場を活性化させ、アートを成長分野の一つとして捉えて、来年度の実現を目指しているという。

リーディングミュージアムに指定された美術館や博物館は国から補助金が出て、学芸員を増やすなど体制を強化する。

そうした学芸員が所蔵美術品の価値付をし、残すべき作品を判断しながら、投資を呼び込むために市場に売却する作品を増やすという。

今までは学芸員がこうした役割を担うのは難しく、新制度は国内各地の美術品のネットワークづくり中核拠点としての役割を目指すそうだ。

国内外のコレクターの関心を高める展覧会を積極的に開催し、日本美術の国際的な価値向上も図り、 市場を活性化させ、アートを成長分野の一つとして位置づけていくと考えている。

この記事を読んで、政府がアートを成長戦略と捉えてくれたことは大変ありがたいことで、 大いに期待をしたいが、その戦略の一つが、リーディングミュージアムの学芸員が価格評価を担うということだが、 果たして学芸員がその分野を担うことが出来るのだろうか。

美術館が市場に絡むとするならば、アーティストがいてディラーがいてコレクターがいて、 そうして流通した作品の中から優れた作家を美術館が企画をし、一定の評価できたものが市場に連動するというのがまっとうな流れだと思うが、 学芸員が業者やオークション会社のように価格評価をし、市場を活性化出来るとは到底思えない。

それぞれが棲み分けをしながら、アート市場の活性化に連携をしていくというのなら分かりやすいのだが。

得てして今までは、美術館の評価と市場との価値観は連動せず、学芸員の研究対象がイコール一般コレクターの価値観とは大きなズレがあったように思う。

もし新制度において、美術館や学芸員がその役割を担うなら、名前やキャリア優先であったり、頭でっかちな企画ではなく、 将来を見据えた的確な審美眼と、それを支えていく不断の気概が肝要ではないだろうか。

それに基づいた企画や美術館コレクションであれば、コレクターにも大いなる刺激となり、リーディングミュージアムの役割を担うことが出来るのではないだろうか。

今オペラシティ―ギャラリーでやっている五木田智央展などはそういう意味では好企画のように思える。

せっかく政府が成長戦略としてアートを取り上げたのだから、水を差すつもりはサラサラないが、 アーティスト、ディーラー、コレクター、オークション会社、美術館などが一体となって、日本美術市場の活性化に取り組むべきではないかと思っている。

また、政府も公共機関だけではなく民間の意見を吸い上げたり、 補助金の対象を優れたアーティストやそうした作家を紹介するギャラリーにも広げてもらえると有り難いのだが。

韓国では、海外のアートフェアーに自国のアーティストを紹介する時には、審査の上かかる経費の半分を補助し、アート推進に努めている。

こうした支援がグローバルなアート市場での評価につながっていくことも戦略の一つだと考えてもらえないだろうか。

どちらにしてもお手並み拝見で、大いに期待をしている。

5月9日

佐藤未希展も始まった。

ベースは細密描写なのだが、流行りの無個性な写実画と違って、イメージした人物の下絵を何度も描き、それを補筆修正を繰り返しながら、これと決まったら本画に仕上げて行く。

一見不気味というより二見しても不気味なのだが、美しい顔を修正することで、醜くも怖くも見える、顔の奥に潜む魔生というものを抽出しているかのだろうか。

テクニックに溺れず、時に流されず、実像を虚像に変える表現は、見るもの心に深く突き刺さる。

4回目の個展になるが、佐藤未希ますます進化していくようだ。




5月8日

松川栞は、11p×11p×奥行き20.5pの簡素な箱の中に、遠近法を駆使した極小の世界を制作する。

中を覗くと、高いクオリティで作り込まれた細部と計算された構造で、空気感まで再現したかのような空間が広がる。

何気ない巣箱の中に、夢のような異空間が展開されていて、人気の桑原弘明の精緻に作られる小箱とはまた違った趣がある。

桑原のミクロ世界は真似しようと思っても出来るものではないと話したことがあるが、突然に松川が現われた。

桑原の存在さえ知らなかったのだから、世の中は広いものである。

友人から桑原の作品を見たらと言われて、私共にやってきたのが縁でこの初個展に繋がった。

既にテレビでも紹介され、他番組からの依頼もあり、より大きな期待が集まる。

是非のご高覧を。





4月20日

北村奈津子展を紋谷さんのブログにて紹介頂いたので転載させていただく。

画廊めぐりノート
http://monyaart.jugem.jp/

3147 ギャラリー椿(中央区京橋3-3): 北村奈津子展

ギャラリー椿(中央区京橋3-3)では、北村奈津子展。


会場風景。
展覧会タイトルは、
ーStrange of Happinessー。
※幸福の不思議?

立体作品、平面作品。
何の予備知識もなく、
美術作品として鑑賞しても充分楽しいのですが、
作品に込められた寓意を前提にすれば、
俳味、茶味がぐっと増します。

・展覧会の中核をなす白馬群は、
上にまたがるべき「王子様」の不在を表わします。
白馬だらけという状況は、
「婚活」の機会と内実のかい離を思わせます。

・長々と続く花道は、
寿がれるべき主役に
かがんで通らなければならない身体的苦痛を、
押し付けるという、
ありがちな状況です。

・あたりくじ付きのトウモロコシ。
トウモロコシには
正しい食べ方が確立できていないような気がします。

・例えばOOOを持っていたり、乗っていたりすると、
「黄金の鳥」=富の象徴を
こんな感じで不格好に抱えているように見える。

・四つ葉のクローバーを探す行為は、
言い換えれば、
「下を向いて幸せを探している。」
確かに滑稽だ。

・くす玉の中身を浴びている人は、満足げだが、
生卵なら、かなり迷惑だろう。

アートは、説明ではなく、表現ですが、
このように、
滋味の波紋、余韻が広がる説明にもなり得る。
そんな印象でした。








白馬(王子様の不在)




花道



Lucky Corn




Get a Lucky




下を向いて幸せをさがす



くす玉たまご

写真:筆者撮影

4月13日A

明日より2つの展覧会が始まります。

北村奈津子 個展

ちょっぴり皮肉っぽく、ちょっぴりユーモラスな作品を通して幸せとはなんだろうと問いかけます。

Strange of Happiness

私たちは、幸せは人それぞれだ、と知っているはずだ。
しかし、時々それを忘れて、自分の価値観を他者に押し付けてしまう。

「お金持ちの人は幸せ」
「未婚でいる人は不幸せ」…

それは真実だろうか。

私は「幸せ」を作ってみた。
作られた「幸せ」は滑稽に見えないだろうか。

幸せは少し、「おかしい」 と思う。





中村亮一 個展

戦前、戦中、戦後のアメリカの強制収容所に入れられた日系1世、2世、3世の人たちを銅板への転写や油彩によって表現し、作者がニューヨークに留学中に体験し、思考した人種差別に焦点当てた展示となっています。





4月13日@

先日弁護士からネットでの広告代金の督促状が送られてきた。
昨年のソウルのアートフェアKIAFの時にギャラリーを紹介したい旨のメールが送られてきた。
スタッフはフェアーのプロモートの一環だと思って、指定された記載事項に書き込み送ることにした。
その後何も言ってこなかったのだが、しばらくすると約30万近くの広告料金の請求が送られてきた。
その申込書の下にとても肉眼では読めないような字で、料金のことが書いてあった。
ネットで紹介はされてるが、その画像も勝手に取り込んで、ほんの申し訳程度にアップされていて、その料金も不当だったので無視をしていたのだが。
弁護士からの督促状ということもあって、こちらも弁護士を立てて対応することにした。
アートフェアーに便乗した悪質な手口なので、出展のみなさんもくれぐれも気をつけてください。

4月12日

5月9日から23日まで松川栞展が開催されるが、テレビ朝日で4月14日23時10分からの「デザインコード」にて松川が紹介されることになった。
常人には到底想像しえない、秀逸なデザインを生むデザイナーに焦点を当てた人間ドキュメンタリーの番組。
超絶技法によるスコープで人気の桑原弘明に次ぐ小筐の中に展開される極小細密な世界は驚嘆するものがあり、今回番組で紹介されることになった。
10分ほどの短い番組ですが是非ご覧いただきたい。



4月3日

ニキ・ド・サン・ファール展を4日から11日までギャラリー椿にて開催することになった。

那須のニキ美術館の館長であった増田静江氏とは新宿の椿近代画廊のときからのお付き合いで、私どもの多くの若い作家の支援をしていただいた。

その増田氏がニキの作品に出会い、全人生をニキのコレクションに傾け、ついには那須にニキ美術館を開設するまでになった。

そのニキが亡くなり、増田氏も7年後に78歳の生涯を閉じることになった。

残された美術館は惜しまれながら閉館することになったが、増田氏のコレクションは息子さん夫婦に残され、そのコレクションを中心に2015年には国立新美術館にて、国内史上最大規模の回顧展が開催されることになった。

前年のパリのグラン・パレにおける大回顧展は70万人にが訪れるという大成功を収め、そこまではいかなかったが日本での開催も大好評のうちに終了した。

その後、韓国の美術館・芸術の殿堂が開館35周年を記念して、増田コレクションによるニキ展の開催を要請され、今年6月に開催が決まった。

この間、息子さん夫妻とも懇意にさせて頂き、韓国展での開催に当たる交渉などで通訳や翻訳者を紹介するなど私共も協力をさせていただいた。

そうした経緯もあり、韓国でのニキ展の前宣伝も兼ねて、私共で急遽ニキ展を開催することとなり、版画を中心に初期の代表作「エヴァ・エブリの肖像」などを含め20数点が展示される。

恐らく国内の画廊ではこれだけの作品が揃うニキ展は初めてのことではないだろうか。

売り物となる作品や画集、グッズ類もニキ美術館の協力により多数揃えさせていただいた。

残念なのは急に決まった展覧会のため、スケジュールの調整が難しく、会期が一週間と短いことで、年度初めの多忙な時期ではあるが、万障繰り合わせてのご来廊をお待ちしている。





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