ギャラリー日記
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●6月21日 退任の報告 6月21日77歳喜寿の誕生日を迎えました。 多くの皆様からお祝いのメッセージをいただき厚くお礼申し上げます。 コロナの自粛期間の間に入院が3回と元気なつもりでいましたが体力の衰えを感じざるを得ない歳になりました。 アートの仕事に関わり55年、父親の経営する椿近代画廊から独立しギャラリー椿を設立して40年が経ち、これを機に社長職を辞し、長年貢献してくれたスタッフの島田恒平にその職を譲り、私は会長としてギャラリー椿の行く末を見守って参ることにいたしました。 ギャラリー椿は作家と共に歩むを社是に掲げ、現在50名を超える作家さんが所属し、その紹介に務め、その活躍を見守って参りました。 今後もギャラリー椿の名の下に作家さんを支え、皆様にその成果を紹介していくことをお約束いたします。 長い間ギャラリー椿を支えていただいたお客様、作家の皆様、お取引の方々、スタッフのみんな、そして家内をはじめ子供達に心より感謝申し上げます。 ギャラリー椿はこれから新体制で運営してまいりますが、引き続き皆様のお力添えをいただき、さらに発展することを心より願っております。 改めて正式に退任のご挨拶をさせていただきますが、まずは取り急ぎご報告とさせていただきます。 長い間ありがとうございました。 椿原弘也 ●4月21日 ソウルアート巡り ソウルの国立現代美術館とそのそばにあるハコジェギャラリーとククジュギャラリーを訪ねました。 美術館ではリウムコレクションで韓国でもっと有名な作家の1人で40歳で亡くなったLEE JUNG SEOPの遺作展が開催されていて多くの人で賑わっていました。 ククジュではリウーハンとカルダーの二つの展覧会が開催されていました。 ハコジェもククジュも規模の大きい画廊で昨日一昨日見たところもスケールが大きく、かなりのカルチャーショックをうけています。 慶州からソウルにやって来ました。 お世話になっている大手菓子メーカー「クラウン」のユン会長と日韓現代彫刻展の打ち合わせで会長が所有する山の中の彫刻展示場にやってきました。 ここには韓国の若手彫刻家や海外作家の作品が700点ほど展示されています。 また彫刻家の制作のための巨大なスタジオを含めいくつかの制作の場が用意されていて自由に使うことができます。 そうした作家たちの作品をアートフェアのブースで紹介したり、屋内外で大規模な彫刻展を開催しています。 制作費の一部や運送費は会社が負担していて、会長の彫刻にかける熱い思いが伝わります。 韓国の世界遺産慶州に来ています。 ここに美術館といってもいいくらいのギャラリースペースを造り、レストラン、カフェを併設した施設ができました。 庭やカフェに中村萌の作品を設置していただき、ギャラリーの運営にも協力をさせていただくことになっています。 GT2でも今日から「佐藤温個展」が始まりました。 ロシアのウクライナ侵攻で核兵器の使用への不安が拡がっています。 そうした現状を捉え、その悲惨さを画面を通して訴えています。
恐竜、鯨などがエンジンを内蔵し、オートバイや飛行機と化して夢あふれる空想世界が画廊いっぱいに展開されています。 超絶技法によるエンジンの細かいパーツまでが陶によって形造らていることも見る人を魅了します。 明日から始まる塩澤宏信展「妄想内燃機工匠 融通無碍図鑑」をお楽しみください。 仙台のギャラリーエイトで4月8日〜4月28日まで「金井訓志個展」が開催される。 今回仙台では初の個展で私どもがお手伝いをさせていただいている。 金井さんを尊敬する仙台在住の作家高松和樹の推薦により実現した展覧会で、回顧展のようにたくさんの作品が展示された。 連日の雨だが、今日から服部知佳個展が始まる。 明日の日曜も雨の予報で絶好のお花見で盛り上がる時なのだが、この雨で水をさされてしまった。 その分お客様がこちらに来ていただけることを期待したい。 花の季節らしく、淡い色彩に彩られた作品が並ぶ。 相変わらずの色彩とグラデーションの美しさが際立つ。 可愛い系が人気の中にあって、服部のような表現が評価されるかどうかはわからないが、作品自体の素晴らしさには変わりがなく、是非のご高覧をお待ちしている。 尚、八重洲、日本橋、京橋エリアの催し「Meet with Flowers」に私どもも参加していて、訪れる人を様々な花でお迎えすることになっている。 高島屋での薔薇のプレゼントや京橋エドグランでの桜装飾&ワークショップ、東京駅八重洲口グランルーフや各ビルでの桜ライトアップ、 東京ミッドタウン八重洲での色とりどりの花の大型装飾、協賛レストランでの桜メニュー、そして私どもギャラリーでの花をテーマの展覧会など多彩な催しが展開され、 主要協賛ビルでの花の無料配布や協賛店舗の来店時の花束プレゼントなどが予定されている。 土曜日からグループ展が開かれている。 中村萌、三木サチコ、内藤亜澄、灰原愛、東條明子、岩渕華林、香港のKILAなど人気アーティストとともに初登場の新藤杏子、吉野凉子が参加。 初日から大勢のお客様がやってきた。 人気作家が多いので、ほとんどの作品が抽選となっていて、すでに内外から多くのお申し込みをいただいている。 ちょうど後半に当たる頃から近くの国際フォーラムでアートフェアが開催されるので、さらに多くのお客様が私どもを訪ねてくれるに違いない。 特の海外からお客様が来廊予定でお会いで来るのを楽しみにしている。 同時に中村萌ラベルのウィスキーも紹介させていただく。 中村萌のウィスキーが The Whisky Gallery より発売されます。 スコットランドのブナハーブンの蒸留所で1981年に樽詰され、41年間熟成された原酒をそのままボトリングされた貴重なシングルモルトのスコッチウィスキーです。 パッケージは作品からインスパイアされた台座が付く特別仕様です。 限定498本、アルコール47.2度。 お問い合わせは下記メールアドレスまでお願いいたします. The Whisky Gallery 南威海有限公司 thewhiskybottles@yahoo.com.tw ギャラリー椿で開催中のグループ展「primaveral」(2/25-3/18)にてサンプルを展示予定です。 Moe Nakamura's whisky will be released by The Whisky Gallery in Taiwan. It is a special 41 year old whiskey bottled and comes with a pedestal inspired by Moe Nakamura's work. For inquiries, please contact us at the e-mail address below. The Sample will be shown at the group exhibition "primaveral" (2/25-3/18) at Gallery Tsubaki. Bunnahabhain Islay single malt scotch whisky 41years 47.2% Distilled in:1981 Bottled:2022 AgedYear :41years Cask Type:PX Sherry Cask Cask number:810023 Bottle:1 of 498 Primaveral 2023年2月25日[土] - 3月18日[土] 25 February - 18 March 2023 12:00 PM - 6:30 PM 日・月 休廊 Close on Sundays and Mondays ※作品の販売につきましては、エントリー制抽選販売とさせていただきます。 岩渕華林 / karin iwabuchi Kila Cheung / kila cheung 新藤杏子 / kyoko shindo 東條明子 / akiko tojo 内藤亜澄 / azumi naito 中村萌 / moe nakamura 灰原愛 / ai haibara 三木サチコ / sachiko miki 吉野涼子 / ryouko yoshino 札幌のHOKUBU記念絵画館で1月21日から2月19日までvol1、「足よ、お前は美しい」、3月16日から5月7日までvol2「足を見るのにしくはない」が開催される。 美術館独自の視点で「足」に焦点を当てたユニークな展覧会で、私どもが収めた岩淵果林、朱夫誠の作品も展示される。 ここの絵画館には今ギャラリー椿で個展開催中の河原朝生の作品も多数収蔵されている。 晩年に2度の個展をさせていただき、3回目の個展を前にして亡くなった合田佐和子の回顧展が高知県立美術家の展示を終え、三鷹市美術ギャラリーにて開催されていて観に行ってきました。 私どもの個展で出品された作品も多く展示され、又寄贈させていただいた初期の立体像にも再会し、感慨を深くしています。 3回目の個展ができなかったことが悔やまれてなりません。 素晴らしい作家でした。 天明里奈個展も今日から始まる。 乾漆作品だが、石彫のようにも見える。 ただ石彫のような硬質な感じはなく、柔らかで芳醇な香りのする作品になっている。 夢想から覚める一瞬のような表情をしていて、その夢想が私たちにも伝わってくるようで作品と見るものが同化する。 漆は英語名でジャパンと呼ばれていて、西洋では日本の漆器の質の高さからこう呼ばれるようになったそうだ。 中国の質の高い陶器から陶器をチャイナと呼ぶのと同じ由来なのだろう。 乾漆とは漆の技法の一つで、漆を粘土に混ぜて造る技法で、漆器のように漆を型に塗るのではなく、自由に形を作ることができるので、仏像などに使われるようになった。 寺院で火事になった時にも重い石や金属で作られた仏像は重くて運び出せないことから、軽くて運び出しやすい乾漆像が多く使われるようになったそうだ。 その自由な形を作れることで工芸の技法だったものが天明のように現代の作品に転訛することができたのだろう。 ●2月3日 河原朝生個展 河原朝生展の展示で久しぶりに河原が画廊にやって来た。 彼は昨年自転車で転び大怪我をした。 肺に穴が空き肋骨や鎖骨、腕の骨も骨折、心配されたのは頭を強打していて、硬膜下出血を起こし、死にも繋がろ怪我で後遺症も心配されたが、九死に一生を得て回復し、制作もできるようになった。 大怪我から奇跡的に回復したことで、描きたい気持ちが沸々と湧き上がり、多くの作品が生まれた。 対象物が小さくなり、背景の色と質感だけで空間を構成し、ストーリー性を無くして、見るもののイマジネーションを膨らませるような作品に変わって来た。 抽象表現に見えて抽象表現ではなく、河原が持っている叙情性は失われず、どこか郷愁を感じさせる作品になっている。 本人は売れる絵でなくなり申し訳ないが、描きたいものを描けたので、それで満足と言っている。 それではうちは困るのだが、こんないい絵が描けたのだから私も売れなくてもいずれは見直される絵だと思っている。 ●2月2日 画廊の役割 ロータリークラブの週報用の原稿を頼まれて、次のような事を書いたので、日記でも紹介させていただく。 大学を卒業し15年の画廊経験を経たのち、若い作家を育てたいとギャラリー椿を創立して40年が経ちました。 当時美術大学も出ていない独学の無名の若手作家2人に出会い、この2人を世に出そうと展覧会を重ね、今や2人は推しも推されぬ著名作家となり現在も活躍をしています。 このうちの1人がギャラリーのオープンに際しロゴを作ってくれました。 美術の美の上の部分は羊になっていて、羊を美の神に見立て、羊が苗木を育てる図になっています。 その思いで始めた画廊も今や50名の作家を抱え、その作家達と展覧会を重ねることでようやく形になって来たように思います。 有名作家を扱うのはお金さえあれば扱えますが、無名の作家を扱うのはその作家にかける情熱がなければできません。 アートマーケットは経済の変動と無縁ではなく、時代の潮流に乗った作家が経済の停滞と共に消えていくのを何度も目にして来ました。 他人の評価ではなく、自分の目での評価は経済の変動とは無縁と思っていて、バブル崩壊による美術品の価格下落の影響を私のところは幸いにも受けることはありませんでした。 更に今やグローバル化の時代にあって美術品の価値観も多様化し、日本だけの評価では通用しない時代になって来ました。 海外での評価は、その国独自の文化を背景にしたものでなくてはなりません。 浮世絵などはそのいい例で、世界での普遍的な評価があってこそ、時代を超えての評価に繋がります。 私どもの作家達がグローバルスタンダードとなり、次の世代に繋げていくことが次なる目標で、海外進出を25年前から始めていて、その成果が出つつありますが、私もいい加減歳をとってきていて、その思いを後継者に繋いでいければと思っています。 長い正月休みを終え、今日から営業開始。 昨年の疲れも癒え、元気いっぱいで2023年を迎えます。 1月14日より40年前のギャラリー椿のオープンに際し、そのオーープンを飾った望月通陽の20回目の個展を開催いたします。 私どものロゴは羊が若木を育てる図となっていて、画廊オープンの折に望月通陽氏に描いていただいたものです。 美術の美は羊という字からなっていて、羊は美の神様とも言われているそうです。 当時30そこそこだった望月氏をはじめ無名の若手作家を紹介することでギャラリー椿がスタートしたこともあり、それに相応しいロゴを彼は描いてくれました。 今もギャラリー椿はその思いを忘れることなく、これからの作家を紹介し続けております。 望月は最初の個展以降、染色の世界だけにとどまらず、装幀、ドローイング、版画、木彫、石膏ブロンズ、蝋型、ガラス絵、グラフィックデザインなどなどに卓越した技術とともに多様な表現を展開し、 その活躍は目覚ましいものがあります。 今回はそうした中から与謝野蕪村に寄せた染色と私が以前から切望していたガラス絵を発表いたします。 新年は快晴の中の富士山を眺めながら、孫達と共に河口湖の家で新年を迎えました。 コロナの間はホテルで都内の正月を過ごしていましたが、久しぶりに河口湖でのお正月です。 清々しい空気と雄大な自然に囲まれ、気持ち新たに新しい年が始まりました。 明日からは長男とともにお世話になっている台南の画廊さんの息子さんの結婚式に招かれていて、台湾に正月早々に行ってきます。 息子と2人旅は久しぶりで結婚式を終えてからは観光と食事にゴルフと台南での正月を2人で楽しむことにしています。 今年で私は喜寿となり、節目の年を迎えました。 仕事もまだまだ頑張るつもりですが、限られた人生も残りわずかとなり、もう少し色々なことに挑戦してみようと思っています。 皆さんとともに元気で充実した一年にしたいと思っています。 今年も皆様にお世話になりますがどうぞよろしくお願いいたします。 ●12月28日 ご挨拶 今年もあと僅かとなりました。 画廊は12月30日より1月9日までお休みをいただきます。 衰えることを知らないコロナ禍の中ではありましたが、無事一年を終えることができました。 これも偏にお客様、作家の皆様、関係者の皆様のおかげと心より感謝申し上げます。 また写真のスタッフ以外に5名のアルバイトを加え、みんなが力を合わせギャラリーを支えてくれました。 四方八方に頭を下げなくてはなりません。 来年も心新たに作家さん達をはじめスッタフとともに力を合わせ、新春第一弾の望月通陽個展を皮切りに皆様に喜んでいただける展覧会をご紹介をさせていきたいと願っております。 皆様にも今年以上のお力添えをいただき良き年になればこれ以上の喜びはございません。 どうぞ皆様におかれましても良き年、幸多い年になることを心より願っております。 この一年誠にありがとうございました。 望月通陽展 ●12月23日 中村萌個展「before the dawn」 中村萌個展「before the dawn」 2022.12.17-12.28 GINZA SIX 蔦屋書店 今回の展示は出産後初の個展となります。 中央に配置された2体の木彫が、親子像であるように、 自身の環境の変化も、作品にも影響しあいながら 今回の個展として結実しました。 通常白い壁面にはあえて暗い色に変え、 夜明け前の濃い闇のなかに、 何者かが佇んいているというイメージで 本展を構成しています。 夜が明ければ、明るい光が満ちるように 私たちにも穏やかな日常がもどりますように。 ●12月22日 桑原弘明個展 今日も雨模様にもかかわらず大勢のお客様にお越しいただいております。 過去10年間の作品を展示していますので、次はまた10年後ということになります。 最終の土曜日まで残すはあと二日となりました。 またとない機会ですので、是非お見逃しなく。 銀座シックスの蔦屋書店で中村萌個展が明日から始まるが、その展示作業を見に会場に行く。 空間を圧するような木彫の大作とブロンズ作品が並ぶ。 過去最大サイズの木彫作品は妊娠中に制作をしていて、よくぞこれだけの大きな作品を身重の体で仕上げたものと驚かされる。 他にも多くの板絵や油彩画、初めて発表する木版画など多様な作品が広い空間に並ぶ。 蔦屋書店の高い天井と相俟って素晴らしい展示となった。 明日は内覧会で、16日から28日まで一般公開される。 さきのTTFもそうだったが、妊娠出産を経ての二つの個展をよくぞこなしたもので、そのパワーには驚愕させられる。 毎回期待以上のものを見せてくれていて、湧き出るような才能に跪くしかない。 是非のご高覧を。 ●12月10日 桑原弘明個展 今日から展覧会が始まったが昨日は桑原弘明個展の内覧会が開催された。 今回は新作以外に過去の作品を60点余をコレクターの皆様からお借りして展示していて、お借りした方のみだけ1日早く全作品をご覧いただけることにした。 そうしたお客様たちが、価格も高くなっているにもかかわらず、購入のためにすでに二日前から徹夜で並んでいて相変わらずの人気である。 いつも一番で早くから並ばれるお客様は、今回はコロナに感染し無念の不参加となり、お気の毒ではあるが1日も早い回復を祈るばかりである。 それにしてもこの寒空の中を並んでいただくのは大変申し訳ないことなのだが、抽選でもお叱りを受けるし、整理券とも思うが、これもそのためにまた並んでしまうことになり、結果この方法でやるしかない。 その後に控える銀座シックス蔦屋ギャラリーで開かれる中村萌個展はVIPのみの抽選となっている。 台北からこのような展覧会が続き、全てのお客様のご希望に添えないのは大変申し訳ないが、引き続きのご支援をお願いする。 ダーフォンギャラリーの社長の甥御さん夫婦に送ってもらいお世話になっている高雄の画廊を訪問。 高雄は空港から通り過ぎるだけで立ち寄ったことがなかったが台南と比べると高層ビルも建っている大都市で道路も碁盤の目で整備されている。 私はいつもJPさんと呼んでいる画廊は市内のビルのの8階にあるが、250坪ととても広い画廊で、私ども作家さんの作品も多く展示されている。 こちらでもご馳走に。 海鮮料理屋さんだがこれは全て美味しい。 多少甘いが台南料理の特徴らしくどれも私の口に合う。 これでもかと出てきて、こちらではこんなに昼から食べるのだろうか。 海老アレルギーの私だが、伊勢海老も大丈夫だった。 昼食後、山本麻友香、松浦浩之ラベルのウィスキーを出したウィスキー専門店を訪ねる。 天井から床まで所狭しとウィスキーや日本酒が置いてあり、さらに倉庫も見せてもらったが隙間なくお酒が詰め込まれている。 地震が来たらどうするか心配したが、瓶底を動かないようにしているそうだ。 来春には中村萌ラベルののウィスキーを発売することになっている。 ここのオーナーに高雄の新幹線の駅まで車で送ってもらい、さらにはグリーンのチケットまで買ってくださっていた。 いつものことながら台湾の皆様には何から何まで親切にしていただきお礼の申し上げようがない。 1月2日にダーフォンギャラリーの陳さんの息子さんの結婚式に招待されいて、息子を連れてお祝いに行くことになっているが、おそらくその時も厚いもてなしが待っている。 黄さんの案内で会場の下見に連れて行ってもらった。 リージェントホテル近くの路地を入ったところにあるスペースで地下と一階と合わせるとかなり広いが天井が低すぎる。 周りの雰囲気もあまり良くなく、これはパスして昨日の華山の60坪のスペースに決めることにする。 モンスター台北と共催にして台北でできることは全てやってもらうことにした。 新幹線で台南に向かう。 台南駅にはダーフォンギャラリーの陳さんが迎えにきてくれていて、中村萌のブロンズの大作が設置されている結婚式場に向かう。 広い敷地にあって、その入り口に一点、式場になる建物の入り口に一点の中村萌の作品が置かれていた。 富山の鋳物工場から直接台南に送ったので実際のブロンズ作品は初めて見ることに。 ずいぶん大きいと思っていたのだが、屋外に飾られているのを見ると、そんなに大きく感じない。 でも存在感があって、見る人の目を間違いなく惹きつけるだろう。 建物内も案内してもらったが、ゴージャスな雰囲気で中世のヨーロッパのようなデザインになっている。 そこを見てからここのオーナーで有名シェフの汪さんの自宅へ。 ここも豪華な建物で、特に目を引いたのはオーディオでかなりのもので、それに加えてレコードやLPレコードの数は半端ではない。 食事は台南の家庭料理で、台南料理は味付けが甘く私の口にはあっていてとても美味しかった。 高価なオーディオ装置から流れる音楽と家庭料理で至福のひと時を過ごさせてもらった。 ホテルは以前にも泊まったデザイナーズホテルを陳さんが用意してくれていて、すでにホテル代も済ましてくれていた。 いつものことだが厚いお気遣いをいただき恐縮である。 部屋には蓄音機とLPレコードが置いてあって、懐かしい音楽を聴くことができる。 レトロな音が流れる中を深い眠りについた。 今日は2年後に台北で開催を考えている山本麻友香の個展会場の下見聞。 モンスター台北の黄さんの案内で、まずはTTFが開催された華山の別のいくつかのスペースを下見。 どれも歴史ある建物にふさわしい空間で、高い天井に古色蒼然とした壁や窓。 明日も黄さんの紹介のスペースの見学を予定しているが、60坪あるスペースが気に入った。 ここだと約30点の大作が飾れそう。 新作に加え、台湾のコレクターから大作を借りれば十分な展示ができそうだ。 ロケーションも素晴らしく、ここでの開催を第一候補に挙げることにする。 それと会場の設営やモンスター台北のブランド力をお借りするために、共催というかたちの提案をさせていただいた。 モンスタータイペイの社長も大乗り気で、あとは費用の見積もりを島田と相談しながら進めていってもらうことにする。 今夜はモンスターの社長の招待で四川料理。 辛いと思っていたが、黄さんが気を利かして私向けの味付けにしてくれたみたいですごく美味しかった。 庶民的な店で、私にはこういう店の方があっているようだ。 朝4時起きで羽田に向かう。 ところが出発が3時間も遅れ慌てたが、諦めてJALのラウンジでゆっくり食事をして待つことにした。 だいぶ遅くなったがTTF会場に到着。 会場は以前ほどの混雑はなく、椿ブースも人はまばら。 ただ中村人気はすごく早々に完売したそうだ。 版画も9種類20点を毎日抽選することになっているが、こちらも大人気でキャンセル待ち。 中村萌は妊娠、育児のため木彫を出すことはなく、代わりに初めて手捻りの野焼きのような作品や小さなブロンズを出品。 色があまり付いておらず、版画も小さな作品で、いつもに比べう地味過ぎて心配したが、杞憂に終わった。 お客さまの洪さん夫妻が迎えに来てくださり、まずは高級マッサージ店へ。 久しぶりの足裏マッサージに加え、滅多にやったことのない全身マッサージもやってもらい、体スッキリでした。 終えてミシュランに数えられる杭州料理の名店「天香樓」でご馳走になる。 銘茶の店としても知られ、メニューは毛筆の手書きで書いてくれる。 なんとなく記憶に残っていて、壁に飾ってある書の大作が写っている写真が出てきて、コレクターのFさんにご招待を受けたところだと分かった。 グルメのFさんが招待してくれるくらいだから有名なお店なのだろう。 次々に見たこともないような料理が出てきてとても食べきれない。 いつもながらの台湾流の豪華なおもてなしに恐縮しきりである。 武田史子の新作21点が並ぶ。 従来の銅版画とともにテンペラ画、ガラス絵も発表した。 銅版画の精緻さとともに墨絵のような黒のグラデーションと紙の余白を活かした白の表現が墨絵世界のようで、彼女のテーマでもある幻想性をより深めている。 その夢想の世界に観るものは漂い遊び酔いしれるのである。 テンペラ画やガラス絵も以前に比べると色彩の美しさや表現力に磨きがかかり、モノクロの銅版画とは一味違った味わいが巧みに表現されていて、その対比も楽しんで見ることができる。 是非のご高覧をお待ちしている。 ●11月23日 韓国からのお客様がやってきた。 以前からお世話になっている大手菓子メーカーのユン会長と私どもで発表を続けるリユンボクくんをはじめ彫刻家たちが大勢でやってきた。 日韓の彫刻交流展をユン会長が企画し、ギャラリーせいほうで開催されている。 ユン会長は画廊にくると早速に金井さんの作品を購入してくれた。 会長は立体しか興味がないと思っていたが、平面を買ってくれたのは嬉しい。 日本の立体の状況を知りたいということで今の日本の現状を話し、サブカルチャーを背景にした立体作品が市場では人気があることを伝え、 中村萌と山本麻友香のフィギュアを見せたところ、是非韓国の作家たちにも見せてあげたいと言い、2人のフィギュアを可能であれば全部欲しいととのことで、 私も立体の市場での裾野を広げるにはこうしたフィギュアを作ることを勧め、協力を惜しまないことを伝えた。 また2年後をめどに韓国で開催予定の野外彫刻展への日本作家の参加を要請され、これも協力を惜しまないとお伝えした。 ユン会長たちは大型バスを貸し切って移動していて、上野までバスで向かい昼食をご馳走になった。 大手企業の会長が韓国の彫刻家たちの育成に取り組む姿勢には感心させられると共に、その行動のスケールの大きさにも驚くばかりである。 素晴らしい方との出会いに感謝。 ●11月19日 金井訓志個展 新美術新聞より 「永遠の造形を残すために」 近年花のなかに人生を見つめ描いてきたが再び人間を描きたくなったという。 造形性を第一に考え制作することは変わっていないが、周りの知り合いになくなるひとがでてくると、自分自身も死と向きわざるを得ない気分が増し、今一度人間の描写に戻りたいと思うようになった。 一瞬を凍結することにより、永遠を求めた金井の想い溢れる展示となる。 残念。 でも嬉しい。 私自身が欲しいと思っていた内林作品がネットで購入希望をしていたお客様が正式に購入をしたいと伝えてきた。 今までとは違った朽ちた感じの風合いで時の流れを感じさせる作品である。 私はいつも作品が綺麗すぎると言っていて、多少古びた感じが出せないかと言っていたのだが、この作品は私が言っていた通りの作品で残ったら欲しいと思っていた作品であった。 今回の個展では一点残っただけのほぼ完売といっていい結果となり、長年の努力が結実したと言っていいだろう。 観に来るお客様も多く、人が途絶えることはないほどの人気の展覧会となった。 これからの展覧会も人気のある作家たちで、この勢いが続いて、今年の締めくくりとなってくれればいいのだが。 1983年、京橋に開廊したギャラリー椿は、絵画、版画、立体など、詩情のある作品を数多く紹介し、取扱作家は現在約50名。その多くがオープン以降、継続的に紹介してきた作家たちである。 「一人の作家と多くの個展を開催してきたことが、ギャラリーの勲章」 大学卒業後、当時数十人規模のスタッフを抱えていたという大阪の梅田画廊で5年、父が経営する椿近代画廊で10年。独立する36歳まで、約15年間をかけ自分の方向性を見極めることのできた、大切な時間であった。 私が大阪にいた70年代は、貨幣と“もの”との関係性が大きく揺らいだ時期でインフレヘッジでお金を“もの”に変えようという時代が70年代初頭。その一環で絵画ブームが起こり、作品は飛ぶように売れた。 そうした華やかなブームも、オイルショックなどの経済混乱をきっかけに2年ほどで終焉を迎える。 作品の価値は、経済に連動して上下する。そのことを痛切に感じた私は経済の動きとは別に、自分の指針で納得して作品の価格を決めたい。適切な価格で販売し、 売れなくなったからといって安く売り叩くこともない。だから自分で作家を見つけよう、と。大阪から東京に戻るタイミングでそう決心した。 84年、現在のスペースからからほど近くのビルの地下1階に「ギャラリー椿」をオープンさせた。当時はまだ無名であった作家も積極的に発掘し、紹介していった。そうした作家の中に独学の若い作家が2人いた。 開廊直後からギャラリーや僕を支えてくれた絵画をメーンに多彩な才能を発揮する小林健二、染色家でありながら多様な作品や、本の意匠を手がける望月通陽(みちあき)だ。ともに40年来の付き合いで、 望月はギャラリー椿のロゴマークを作成した人物でロゴマークには、羊が苗木を育てている姿がかたどられていて望月いわく“美”の文字には“羊”が潜んでいるから、 “羊は美の神様だ”と。その神様が若い自分(作家)たちを育ててくれるという思いを込めたそうだ。 そうした思いを反映するかのように、小林、望月を含む作家達は着々と活動の場を広げていった。 ギャラリーでは、あどけない表情を持つ人物の木彫を手がける中村萌や、幻想的な具象画を描いてきた山本麻友香といった、若手〜中堅作家も多く在籍している。 そうした作品に共通するのは、詩情があり、童心を感じさせる佇まいだ。そして、作家の評価については「作家が自分の本当の評価を知るには長い年月がかかる。 あるいは生きているうちですらないかもしれない。でも、作品を通して自分の足跡を残せるということはかけがえがなく素晴らしいことで、細く長く、マイペースな姿勢で制作を続けて欲しいとねがっている。 2016年6月、椿原の古希とギャラリー35周年を祝うために90名もの作家が出品する展覧会「GALLERY TSUBAKI REUNION」が開かれた。 その際に作家から贈られたという賞状の冒頭では「志をもって船出をしても風を見逃し、星を見失い、漂うばかりの若者の船にとって、ギャラリー椿はしおれる帆の数々を尚も励まし、 次の海へと送り出してくれる港です」と、作家の感謝の意が記されている。 「一人の作家といかに多くの個展を開催してきたことが、ギャラリーの勲章だと思う。売れ行きの好調・不調もあれば、作風の変化、スランプもある。 でも、作家と損得勘定のない関係性で“お互いずっとやってきたんだな”と思えるのはこのうえなく幸せなことである。 今日は高知美術館へ。 私どもで晩年の展覧会を2回開催し、3回目の展覧会を目前にして亡くなった合田佐和子の回顧展が開催され、 その初日ということで高知へ向かうことに。 余裕を見て家を出たのだが、早朝は電車の本数が少なく出発ギリギリとなってしまい、空港内を走りに走り1分前に搭乗口に到着。 滑り込みセーフだったが、こんなに走ったのはいつ以来だろうか。 いや焦りに焦ったがなんとか間に合った。 今回の回顧展に際し寄贈をさせていただいた最初の個展で発表された立体像をはじめ300点の作品がならぶ最大規模の展覧会である。 リーフレットより 「もう帰る途もつもりもなかった」 晩年の手稿に残した言葉の通り、立ち止まることなくさくふうをへんかさせ、激しくも華やかな生涯を駆け抜けた合田佐和子。 二十代後半より唐十郎、や寺山修司の舞台美術やポスター原画を手掛け、当時のアングラ隆盛時代の空気を体現した。 90年代になると作風を一変させ内省的な独自の制作論の実践へと移行。 男性作家が大多数を占めた時代に社会通念や因習に囚われない自由奔放な暮らしの中で花開いた合田の表現は 、ファッション、映画、音楽などの領域と高い親和性を示し様々な分野の表現者から熱く支持をされた。 一方スタイルの多様性は美術の正史の位置付けが難しく、正当に評価されてきたとは言い難い側面があります。 現代美術やサブカルチャーの文脈に依拠しない作品は、その劇的とも言える作風の変遷を含め無二のオリジナリティに支えられています。 本展は初期のオブジェから初公開となる晩年の鉛筆画シリーズまで300点を超える作品や資料を体系的に検証し、合田佐和子の全貌に迫ります。」 一泊二日で社員旅行。 何年ぶりになるだろうか。 河口湖にスタッフ5人、他に島田家族、山本麻友香家族、お客様の黄さん総勢13人を引き連れての賑やかな旅になりそう。 まずはオルゴール美術館に向かい、オルゴールによる演奏やオペラを楽しみながらの美術館内を散策。 お昼は施設内のイタリアン。 人数が多いとツアーコンダクターの私は大忙し。 昼を終え、すぐそばにある久保田一竹美術館へ。 紅葉回廊は盛りにはまだまだだったが、ここでは紅葉が美しく染まり、紅葉をみんなに楽しんでもらうことができた。 観光を終えて、ホテルにチェックイン。 みんなゴージャスなホテルにびっくり。 温泉に入って夕食は割烹料理。 島田の子供さんは大人と同じものを食べ、なんとあん肝まで食べてしまったのには驚かされた。 ホテルに戻り、私は疲れもあって一足先に別荘に戻ったが、みんなは夜中の3時まで部屋で遊んでいたそう。 夏休みを8月いっぱいとってから日記がだいぶ空いてしました。 フェースブックには毎日のようにアップしているのですが、楽しみにしている方には申し訳ありません。 この辺から再開させていただきます。 台北アートフェア始まりました。 3年ぶりの台湾でお客様から大歓迎を受け、毎日昼も夜も豪華な食事のご招待を受け、お腹周りが心配です。 フェアも大盛況で、内覧会から多くの画廊が売約の赤丸がつき、私どものブースも立錐の余地がないくらい大勢のお客様が詰めかけ、お陰様で50点を展示しましたが、ほとんどの作品に予約が入り、台湾パワーに圧倒されました。 ギャラリーの一部改装を8月にすることになった。 スタッフの提案でGT2スペースの上段部分を作業スペースとストックスペースにして、下段部分の壁を広いスペースの方に移動することになった。 現在の場所に画廊を移転してちょうど20年となりいい区切りとなる。 移転してこのスペースを造ったときは京橋、銀座周辺にはあまり見かけることのなかった高い天井と広い空間、白く明るい天井と壁、そして奥のスペースから見える木々の緑がちょっと自慢でもあった。 それだけにいざ改装となると一抹の寂しさを覚える。 当時はBGMも流れるようにし、照明もハイビームと蛍光灯の併用で癒しの音楽と柔らかな光で来ていただける方に寛いで鑑賞をしていただける環境を作ったつもりであった。 今はオーディオの装置も壊れたままとなり、照明もLEDの人工的な光に変わり、以前と比べると何処か画廊に入った時の臨場感というものが欠けてきたように思えてならない。 大袈裟な改装ではないが、このギャラリーを開設した当初の私の思いをどこかに残してもらえたらと思っている。 ●7月21日 コロナ 今日4回目のワクチンの接種をしてきた。 4回目は副反応の人が多いようなので躊躇していたが、あまりにコロナの感染者が多くなり、孫娘やロータリーの仲間など身近な感染者も増えてきたことから、接種を受けることにした。 孫はこの夏ミュージカルに出演することになり、私も公演も見ることができたのだが、途中から役者さんにコロナ感染者が出て、急遽公演が休止となり、その後孫も感染し、結局7月後半からの神戸公演も中止となってしまった。 長い間稽古をして頑張っていたのだが、こればかりは仕方がない。 落ち込んでいると思うが、まだまだ10歳、いくらでもチャンスはあるので、次を楽しみにしている。 世界陸上選手権でも直前にコロナの感染して出場を取りやめた日本選手やプロ野球選手の多くも感染しているようで、以前のコロナ禍に比べ異常な拡がりを見せている。 今日のニュースでも東京都はこれまでの中では一番多い3万人以上の感染者が出たとの報が流れ、これから夏休みで人の流れが活発になるだけに、更なる拡大が心配でならない。 以前だと休業要請や外出自粛など自治体からの規制が行われたが、コロナ慣れをしてしまったのかそのための対策は殆どされていない。 マスクもそろそろ外してもいいのではというような流れになってはいたが、これもまたどうやらそうはいかなくなったようだ。 こうなると政府がどうの、東京都がどうのではなく、自分たちで身を守るように努めるしかない。 もう3年を過ぎたというのに、この先いったいどうなってしまうのだろう。 不安ばかりが募る。 ●7月14日 山本麻友香個展 大阪のフェアが終わるとすぐにギャラリー椿では土曜日より山本麻友香個展が開催される。 ロスアンジェルス、釜山と続いた個展も一段落し、私どもで2年ぶりの個展となる。 ここ2、3年彼女の作品がオークションで高値を呼ぶこともあってか、その人気は鰻登りで、今回も多くの方から購入希望のメールが殺到している。 今までは圧倒的に海外のお客様のリクエストが多かったが、今回は多くのの日本のお客様からも作品の購入希望が来ていて、海外だけでなく日本での人気も定着すればいいと願っている。 ただ先にも書いたようにオークションでの高騰による人気だけでは定着は難しく、今回は果たして本当に作品を愛してくれているお客様からのリクエストなのかを見極めたい。 このようにファン層を広げていきたい思いはあるのだが、出品作品15点に対し数百人の申し込みが来ていて、とてもその要望には応えることができない。 結果どうしても長い間私どもとお付き合いをし、私どもの多くのアーティストを応援してくださるお客様を優先せざるを得ない。 その方達だけでも15人をはるかに超えていて、どのように対応したらいいか頭を悩ませるところである。 オリジナル作品が行き渡らない方には、版画やフィギュア、ポスターなどを用意しているがこれも数が限定されているので、私どものVIPの優先抽選ということにさせていただこうと思っている。 その結果残った作品については一般抽選とさせていただく予定でいるので、ご希望の方はお申し出をいただきたい。 このようにアートバブルの波に翻弄されているが、特定の作家だけではなく多くの私どもの作家を応援していただけるお客様とのご縁を少しでも多く作っていきたいと思っている。 7月8日から10日の日程で大阪の重要文化財の中央公会堂にてアート大阪が開催された。 私も土日にフェアを訪ねた。 歴史の重さを感じさせる公会堂の中に54軒のギャラリーがそれぞれのブースを展開させている。 暑さと会場が狭いこともあって、入場者はそれほどではないのだが息苦しくなり、土曜日は早々に引き上げホテルに戻り横になっていた。 日曜日も3時頃まで会場にいたが、思ったほどの人出ではなく、各ブースも売上げは今一つのようだ。 私どもは展示作品のほとんどが売約となったが、会場内での成約はそれほどでもなく、多くはネットによる申し込みであった。 他の画廊の多くも同じようにネットでの販売が多かったように聞いている。 フェアは売上だけではなく自分のところのアーティストの紹介も重要な要素なのだが、大阪のお客様の反応は今一つといったところであった。 昨年のフェアも同様で来年の参加をどうするか考えなくてはいけない。 ただ今回はギャラリーセクションとは別にエクスパンデッドセクションとしてクリエーティブセンター大阪にて現代美術の大型作品、インスタレーションなどの展示が行われた。 非営利だが多くの人が集まるフェアで、ギャラリーセクションとはは違ったアートの試みがなされ、これもフェアの一つの役割ということで評価をしたい。 ただこちらもギャラリーセクションと同様に2500人程度の入場者で、数万の人が訪れる東京のフェアや海外のフェアと比べると今一つの感は否めない。 入場者、売上など問題山積だが、主催者がどのように打開をしていくのか見守っていきたい。 暑い。 ほとんど雨が降らないまま梅雨が明け、猛暑は6月から続き、この先どうなることやら。 ただ、台風が発生したらしい。 被害に遭うような方がいたら申し訳ないが、台風が待ち遠しいと思うのは私だけだろうか。 この暑さの中、三木、松川の個展が終わり、次は大阪のアートフェアと山本麻友香個展である。 大阪の暑さは尋常ではなく、私は行くのを躊躇していたが、大阪時代に大変お世話になったお客様が亡くなられ、残された作品の相談でご遺族とお会いすることになり、行かざるを得なくなった。 ただ、この後も関西方面に行くことになっていて、一番長く私どもと関わりのある望月通陽が7月15日から1ヶ月伊丹市ミュージアムで敬愛する与謝野蕪村の句から触発された作品を制作し発表することになり、これは行かなくてはならない。 更に孫がミュージカルをやっていて、人気コミックが原作の舞台に出演することになり、池袋サンシャイン劇場公演に続いて神戸でも公演があって、望月展とちょうど日程も重なったこともあって行くことにしている。 さらに家内の母の三回忌を京都でやることになっていて、これは家内が体調不良で延期してもらっているが、多分8月のどこかで行くことになるだろう。 こんなわけで、この夏は関西方面に行くことが多くなり、熱中症に気をつけながら暑い夏を乗り切らなくてはならなくなりそうである。 来週末から始まる山本麻友香個展にも多くの作品購入のリクエストが寄せられていて、暑いなどとは言ってられない日々が続きそうである。 ●6月25日 三木サチコ展と松川栞展 21日で76歳、前倒しのお祝い会を家族や画廊のスタッフたちが開いてくれたり、お客さまや作家さんから沢山の誕生日プレゼントをいただき、この歳でも祝ってくれることに感謝です。 75歳ではがんが見つかったり車のうっかり事故が3回ほどあったりで、あまり良い年ではなかったが、画廊の仕事は順調でコロナ禍の中にあって、今までの最高益を上げることができて、お客さまや作家さん、スタッフのみんなのサポートのおかげだと四方八方頭を下げさせていただいている。 土曜日から始まった三木サチコ展、松川栞展も好調で、円安物価高の不安要素がある中、この好調が続いて欲しいものである。 三木の作品は顔というより頭の作品を中心に大きな作品を含め会場所狭しと展示されている。 それでもFRPという素材のせいもあってか軽やかに見えるから不思議だ。 逆に奥のスペースでは松川栞のミニチュア世界の作品がポツンポツンと並んでいる。 彼女はテレビやラヂオのメディアも取り上げてくれていて、初めてのお客様も興味深く小さな穴から覗く細密技法による奥行きのある景色や室内風景に驚いている。 暑い中を今日も多くの人が二人の展覧会を見に来ていただきひたすら感謝である。 ●6月3日 美術と経済 私どもロータリークラブで元日経アート編集長で現在多摩美術大学教授の小川敦夫氏に「美術と経済」と題して卓話と称する講演をお願いした。 日経時代に経済、多摩美で美術に携わっているだけに「芸術としての物、物としての美術」では耐久消費財と違い美術品は時間がたっても価値が維持される物、「コレクターが支える美術界」未評価の美術品をコレクターがコレクションすることにより再評価につながる、「ギャラリーの力」ギャラリーには作家を育てる役割があると言った三つのテーマに分け大変興味深いお話をしていただいた。 最後に自身がコレクションをしている私どもの取り扱い作家の一人小林健二の作品をクラブの会員に紹介をしていたが、果たしてみなさんご理解いただけただろうか。 ●5月27日 小林裕児個展 明日から安井賞受賞作家で多摩美大教授を務めた小林裕児個展が始まります。 ストーリー性を内在した自由奔放な筆致とともに、有田焼の皿や内外の古民具を額縁に仕立て、古布、古紙や古材などの素材を活かす小林ならではの表現をお楽しみください。 ●5月14日A 紋谷幹男氏展覧会印象記より 門倉直子 展覧会タイトルは、ーDressー ー気に入りのドレスを着た時の高揚感や、 強くなったような気持ち。ー 大きく見開いた目。 つんと尖った鼻、柔らかそうな唇。 描かれた要素はそれだけですが、 姿形の個性というより、 内面の微妙な動きが作品ごとに現れます。 たぶん、目の描き込み方が肝のようですが、 それが微妙なのに効果的で、 生身の少女の目もこのような、 不思議さを宿しているのでしょう。 それを感じ取る鋭い感性と、 絵画に置き換えてしまう達者な画力。 絵画の歴史に脈々と続く「上手い」という 人を素直に驚かせる才能。 対象を見つめることで、 不確かながら確信できることが、 絵画化される。 そんな印象でした。 ●5月14日@ 紋谷幹男氏展覧会印象記より 北村奈津子 展覧会タイトルは、ーLandscape, Wonderlandー。 作家が表現したいことが、 そのままの形で世の中になくて、 ヒントやきっかけだけがあって、 そうはいっても、何かを造るためには なんとかしなくてはならないのですが、 このようにフットワーク軽く、飄々と、 出来上がってくる様子を見ると、 創作の不思議が実感されます。 詩になるような、具体的な思いがあって、 それが立体や絵画というスタイルで姿を現す。 観る側はニュアンスの部分を感じ取り、 一人頷きます。 同時に、美術としての美しさが体現されます。 生きていることで、営みが現われ、 可笑しみと温かみが漂う。 そんな印象でした。 ●5月7日A コイズミアヤ個展 武蔵野美術大学空間演出デザイン学科を卒業してすぐに私どもで個展を重ねていたが、新潟に制作拠点移した事もあり11年ぶりの個展にとなった。 空間デザインということで箱を組み合わせた作品からスタートし、箱の中の構築物を覗き込むような作品からパーツを見るものが自由に動かし、それぞれの違った側面を見せるといった作品表現を展開させてきた。 今回はさらにコンセプチュアルな展開となっていて、私もその意図を何とか理解すべく作品と対峙している。 表現は多様化しているが、一貫しているのは木を材質として使い、木の温もりを感じさせながらコイズミならではの作品の制作を続けている。 ●5月7日@ 岩渕華林個展「Flow」 ゴールデンウィークも終わり、また新たな展覧会が始まる。 岩渕華林は版画と手書きを融合した表現で独自の世界を構築する。 シルクスクリーン技法により微細な服の紋様や蝶々などをコラージュにし、背景をアクリル、人物表現を墨を使った面相筆による細密描写で描き出す岩渕ならではの技法である。 中でも墨による髪の毛の表現は秀逸で、揺らぎやウェーブは女性ならではの色気さえ感じさせる。 同時に最近発表をしている作品のエスキースとも言えるドローイングの作品が多数並ぶ。 来年は人気の山本麻友香、中村萌に岩渕が加わり、ロンドン、ローマでの三人展が控えている。 この三人に加え私も含め主催者から渡航費、宿泊費を負担していただけるとのことで、大変楽しみにしていて、コロナの一日も早い収束を願うばかりである。 ●4月16日A 朱夫誠個展 朱夫誠個展 Light simulation 台湾からの留学生で東京芸大の版画科博士課程に在学中の朱夫誠の個展も始まっている。 水性木版画を用いた表現がある美術館の目に止まり、その要請もあって今回の個展の運びとなった。 私どもとの縁も、台湾の画廊主が来日した折に通訳として私どものところに来たのがきっかけで、 その後私どもが台湾との取引が多いこともあって、彼をアルバイトとして雇い、通訳や画像の撮影などで手伝ってもらっていて、アーティストとしての扱いは今回が初めてとなった。 海外の版画を志す人たちにとって、浮世絵の伝統もある水性木版画の技法は魅力的で彼もその一人として勉強をしている。 以前に知人の紹介でアートレジデンスをつくりたいという方の相談に乗ることになり、河口湖にある水性木版画を目指す海外留学生のためのレジデンスを紹介させていただいた。 富士山を望む絶景のロケーションにあるレジデンスにはそこそこ費用がかかるにも関わらず、多くの海外からの受講生が訪れ、水性木版画に対する関心の深さが窺える。 彼もいずれは台湾に帰り、水性木版の発表とその普及に努めることになるのだろうが、日台友好の架け橋としても頑張ってもらいたい。 ●4月16日@ 内藤亜澄展 内藤亜澄展 Hobby horse in the frame 内藤亜澄個展が始まっている。 少しづつ変遷を遂げる作品は今回はインスタレーションを交え展示された。 今回は対象物を子供の自由な発想による視点と大人の固定された観念での視点を境界線で区切り、その対比を意識して見せている。 タッチも近年取り組んでいる揺らぎを入れ、それに伴う色彩の変化と相まって、内藤独自の表現が展開される。 コメントの一部を要約してそのコンセプトを紹介させていただく。 まずは子供の視点で。 「子供が遊んでいる時、そこには言語的取り決めはなく、しかし確かな決まり事が醸成されているらしく、その飛び方やとんだ距離に従って、一喜一憂する様子が見てとれる。」 大人の視点 「我々がものを見るとき、そこには主に慣習的な視点と社会制度的な視点が存在し、対象物の意味を決定する」 ●4月15日 入院 膀胱癌の手術で入院していましたが無事退院しました。 2年ごとに受けている人間ドックで尿に血が混じっているのが見つかり、数年前から紹介された専門医で定期的に受けていた検査で今回癌が見つかり、幸いにもごくごく初期という事で簡単な手術でことなきを得ました。 大した異常もないのに何度も通院するのは面倒で、今度の検査で何もなければ終わりにしようかと思っていた矢先でした。 改めて身体の手入れ、検査の重要性を痛感しました。 酒もタバコもやらず、健康には自信を持っていたのですが。、癌と言われその自信を打ち砕かれました。 膀胱癌の主原因も喫煙と飲酒だそうで、それなのに何故という感じでした。 長女がシドニーの癌専門の先端医療センターで医者をしているので聞いたところ、75歳も過ぎればどこかにおできみたいのは出来るわよと言われ、そんなものかと妙に納得しました。 友人達もこの歳になると、どこかにガタが来ているようで、会えば病気の話になり、今までは他人事と聞き流していたのですが、いよいよ私も仲間入りで、お互いの身を案じる立場となりました。 改めて今度の手術で検査の重要性と後期高齢者は今まで以上に健康に留意することを痛感し、一病息災、日々平穏に過ごすことができればと思っております。 どうぞ皆様も健康に留意し日々を健やかにお過ごしください。 ●4月9日 オケタコレクション展 オケタコレクション展始まりました。 中村萌さんの作品が桶田夫妻のコレクション展「OKETA COLLECTION: THE SIRIUS」にて展示されます。 昨年のポーラミュージアムアネックスにて展示されました大作をスパイラルホールに合わせて再構成させて頂きました。 外光も入る場所ですので、時間によって様々な表情を楽しんでいただけます。 展示されている作品はすべて素晴らしい作品ばかりです。 是非お立ち寄り頂けましたら幸いです。 どうぞよろしくお願いいたします。 ■ 開催概要 OKETA COLLECTION : THE SIRIUS 会期:2021.4.9(sat)ー 4.24(sun) <会期中無休、全16日間> 開館時間:11:00-20:00 (閉館時間は変更される可能性があります。当日の営業時間は、スパイラル営業時間変更のお知らせをご確認ください) 場料:無料 会場:スパイラルガーデン(東京都港区南青山5-6-23 スパイラル1F) 主催:OKETA COLLECTION ウェブサイト: http://oketacollection.com/ ●3月30日 紋谷幹男氏の展覧会印象記 尾関立子個展 展覧会タイトルは、ー既視感ー。 具象表現の絵画は、 画家が見たことを、見えたように描いたものです。 もちろん、絵画の自由において、 見たことを、見えたようでなく、 あるいは、 見ていないことを、あたかも見えたように 描いてもいいのです。 見たこと、見たように思えること。 その中から描いたいと思うこと。 絵画という自由と特権は、 意識の中に深く沈んでいる、 色や形ともう一度出会えることです。 それは時に、 不自然なまでに具体的であったり、 あるいは単なる空気の渦であったりします。 イメージに沿って描いていると、 感じていたある存在が露わになることもある。 そんな印象でした。 ●3月30日 紋谷幹男氏の展覧会印象記 堀込幸枝個展 展覧会タイトルは、ーDaydreamー。 白昼夢(はくちゅうむ)は、 日中、目覚めているのに、 空想や想像を、 実際に起きているかのように見てしまうことです。 堀込幸枝の場合は、 ニューヨークでの美術館や博物館での鑑賞中、 夢か現実かわからなくなる瞬間があって、 それは、白昼夢と現実認識の狭間を漂うようで、 その絵画化としての作品は、 意識、無意識のレイヤの奥に揺れ動く映像のようです。 見えていることは、在ることなのか。 確かに何かをリアルに感じたものの、 それが見えていることとずれているようなら、 特定のものでない、 無名の物として描いた方が近付ける。 そんな印象でした。 ●3月24日 曽谷朝絵展 青山スパイラルで開催されている曽谷朝絵個展に行ってきました。 彼女とは北京の日本現代美術展やソウルの個展でお世話させていただいたこともあり、個展を楽しみにしていました。 VOCA賞を受賞するなどその活躍は目覚ましいものがありますが、今回の個展はその力を思う存分発揮した見事な展覧会となりました。 作品が醸し出す光と色の乱舞に酔いしれました。 スパイラルでは次の展示で私どもも関わることになっていて、その会場構成も大いに刺激になりました。 ●3月23日 六本木百合香 厩橋近くのホテル「KAIKA TOKYO」で開催された公募展で以前私どもで個展を開いた六本木百合香がグランプリを受賞しました。 10年も前の個展以来で、その後音沙汰がなく、制作しているかどうかもわからなかっただけに、受賞の知らせをFBで見て、受賞もめでたいことですが、制作を続けていてくれたことが何より嬉しいことでした。 小さなホテルでこうしたアート関連イベントを企画してくれていることは私ども美術関係者にとっても大変有難いことで、更には先日SOMPO美術館でグランプリを受賞した新藤杏子や岡本太郎賞を受賞した加藤智大の作品もロビーに展示されていて、狭いスペースながら、充実した展示空間を見ることができて訪れた甲斐がありました ●3月21日 ぶらり途中下車の旅 【松川栞さんテレビ出演】 松川さんは何度かテレビで紹介したいとの依頼がありましたが、バラエティー絡みだったこともあって、お断りしていましたが、今回は作品を賞生かしてくださるということでお受けいたしました。 お時間のある方は是非ご覧ください。 「ぶらり途中下車の旅」旅人の横尾渉さんがギャラリー椿にお立ち寄りくださいました。 26日(土)放送の千代田線の旅にて、松川栞さんの作品が登場致します。 ぶらり途中下車の旅 3月26日(土)9:25〜10:30 https://www.ntv.co.jp/burari/articles/227dxw5wed0vnpi7ybz.html ●3月19日A 門倉直子 個展 3月19日よりGT2にて「門倉直子個展-Dress」が始まります。 ドレスに着飾った少女たち-少しだけ大人になった気分 大小31点の新作を展示します。 ●3月19日@ 北村奈津子 個展 北村奈津子個展 Landscape,Wonderland 3月19日から4月2日 あらゆる活動が制限される日々の中で 身の回りの出来事と向き合う時間ができ 改めて、私たちの暮らしは 驚きに満ちていると感じた。 いつもの風景 ありふれた日々のものごと うつくしく、不思議で、興味深い
●3月11日 震災から11年 早いものであれから11年が経ちました。 その年の始めに母親が亡くなり、ちょうど49日が過ぎ納骨の前日でした。 こんな時にやるのかと寺に電話をしましたら、予定通りということで多くの墓石が倒れている中での納骨を済ませました。 来年13回忌を迎えます。 父親も33年前の3月7日に75歳で亡くなりましたが、私も同じ歳となりこの日から父親の歳を越えることになりました。 父親が果たせなかったその先の人生を歩むことになりますが、これからはおまけの人生と思い悔いなく過ごしていくことが両親への手向になると思っています。 そんな事もあってこの3月は震災の悲惨な記憶と共に、両親のことが蘇る心に残る月となっています。 ●3月9日 ダミアン・ハースト展 桜の開花が待たれる今日この頃ですが、一足早く国立新美術館での溢れんばかりの桜の花びらに包まれる「ダミアン・ハースト」を見てきました。 圧倒されるような筆力で描かれた桜の乱舞に午後のひとときしばし酔いしれました。 ●3月3日 河原朝生 美術雑誌「アートコレクターズ」3月号で仏文学者で美術評論家の巌谷國士氏が連載する「記憶のギャラリー」に河原朝生が4ページにわたって紹介された。 今から30年前になるだろうか、河原が新たに発刊される自分の画集に序文をとの依頼をしたのが縁で交流が始まった。 氏は河原の絵は幻想ではなく夢想、より正確には瞑想であるという。 巌谷氏が所蔵する作品にクラゲが登場するが、これも瞑想の具現であり、もう一点の三つのオブジェが描かれている作品も一見タンギー風でもマグリット風でもあるが、 瞑想と謎とユーモアのないまぜになった画面は独特でいわく言い難い。こちらは仮に「謎」と呼んでいると評している。 この様に実際目の前にある作品と対峙しながらの評論だけに、なるほどと思わせる記述である。 この謎の絵を描く作家・河原朝生の個展が9月に韓国ソウルの画廊で予定されている。 コロナが収まってくれているといいのだが。 ●2月26日A 堀込幸枝個展「day dream」 堀込幸枝個展「day dream」 今回のテーマはニューヨークの博物館や美術館内の展示物やマンションのベランダの何気ない情景の一コマを彼女なりの視点で描き出している。 相変わらずの深いマティエールとさりげない形が静寂感とともに長閑な情感を醸し出している。
●2月26日@ 尾関立子個展「既視感」 尾関立子個展「既視感」 銅版画をメーンにモノタイプ、油彩など多様な表現での発表です。 深い腐食による漆黒の黒は見るものに版画の概念を越えるような強いインパクトを与えます。 銅版そのものにインクを乗せてプレスするモノタイプの作品は偶然性も加味され、自由奔放な線や形が和紙に転写されます。 油彩はストイックに思える銅版画の黒と違って、色で遊ぶかのように伸びやかで屈託のない表現となっています。 それぞれの表現の違いを楽しんでいただければと思っております。 ●2月9日 ワクチン 7日にワクチンの接種を終えた。 副反応もなくホッとしている。 とにかく感染者の数が多く、身近でも感染者が出ていることもあり、高齢者にとってはワクチン接種を1日も早くと思っていただけに、行政の早い対応に感謝である。 接種場所も近所の医院で、待つ人も私1人、個室に案内されあっという間に終了。 以前の接種場所は自宅からかなり離れていて、会場も大混雑。 これだけの人では接種する前にコロナに罹ってしまうのではと心配するほどであった。 しかし今回はその反省もあったのだろうし、開業医の協力もあってか安全安心で実にスムーズに接種を終えることができた。 それにしてもコロナ騒動はいつまで続くのだろう。 すでに2年が過ぎ、感染者の数も増え続けていて、不安は募るばかりである。 年末に東京では感染者が数十人に減少し、収束の兆しが見えていただけに、オミクロン株の猛威は驚くばかりである。 画廊の展覧会も始まったばかりであるが、来場者は少なく安閑とはしていられない。 先日も老舗画廊の美術館クラスの名品が並ぶ周年記念展の初日に行ってきたが、来ているのは私一人で、思わず日にちを間違えたのかと思ってしまった。 私のところは抽象画中心の展覧会ということもあるのだろうが、大手老舗の画廊までが閑散としているのは、やはり感染者の増加が影響しているのだろうか。 無理して来ていただきたいとはとても言えないが、いい展覧会と自負しているので、せめてワクチン接種を終えた方からでも、ご覧いただければ幸いである。 ●2月4日 「LUX-光」展 出品者の多くが大きなコンクールのグランプリや優秀賞受賞という実力者揃いのグループ展です。 今のご時世美人画やイラスト系アートに目が行きがちですが、抽象画や半具象を描いている作家達にも逸材が多くいます。 そんな作家達にあえてスポットライトを当て、もう少し幅広い目でアートを鑑賞していただけたらとこのグループ展を企画しました。 タイトルは「LUX-光」と付けました。 それぞれの作品が光を意識し、マティエールの奥深くから滲み出す光が画面を覆います。 その光が希望に満ちたものであると願い、このタイトルにしました。 皆さんが温かな光に包まれて、昨今の沈みがちな心を奮い立たせることができる展覧会であればと願っています。 ご高覧をお待ちしております。 ●2月2日 思い出 早いものでもう2月に入った。 オミクロン株の勢いは止まるところを知らず、緊急事態宣言も間近となってきた。 私は7日に三回目のワクチン接種予定となり年寄りは優先されているのだが、今回は子供達の感染が多く、孫達もそうだが、幼稚園や学校の閉鎖も相次いでいる。 コロナのせいではないが、ここ最近知人の訃報が相次ぎ、ついつい自分の年齢と比べてしまう。 昨日は石原慎太郎元都知事が89歳で亡くなったとのニュースが流れた。 石原慎太郎元知事で思い出すのは、知事が現職の時にアートフェア東京が初めて国際フォーラムで開催され、会場に知事がお見えになり、私どもの作品を購入してくださったことである。 また石原氏がキャプテンをしていたクルーザーに私の大学のヨット部の先輩が何人かクルーとして参加し、レースで活躍していたことも石原元知事との思い出の一つである。 話は戻るが、このフェアでは私のところは鈴木亘彦のガラスオブジェ展を開催していて、うちのブースは大人気で80点の作品が売約となり、これも石原元知事のおかげであったかもしれない。 石原知事だけではなく前都知事で、国際フォーラムの理事長であった鈴木俊一氏も噂を聞きつけて会場に駆けつけ購入をしていただいた。 フェアが終わり、フェア会場の上のとてつもなく広い理事長室に作品を飾らしていただいたのも懐かしい思い出である。 また今日開廊50周年を迎える泰明画廊の亡くなられた先代で私が勤務した梅田画廊の先輩でもある川田社長にもこの時作品を購入していただき、その時のことを思い出しながら今日の記念展に伺うことにしている。 私も画廊の仕事について53年が過ぎたが、周りの訃報を聞くたびにあとどのくらい元気でいられるかを考えてしまう。 残された人生そんなの長くはないが、悔いのないように生きていきたいと思う。 ●1月22日 印象記@ 同じく紋谷幹男氏の浅井飛人展の印象記です。 展覧会タイトルは、ーAlways from here ー。 絵画も自由ですが、 立体の自由からは、 一旦、実体になった勢いで、 得も言われぬ説得力が生まれます。 「形から形へ」 白い流動体の身体に、ハトメ(の目)。 体には無数の鉄棒が打ち込まれています。 もっと意味不明なのは、 突起が生えた頭の上の大きな鉄球で、 上部にとぼけた形が二つ付いています。 これは何で、だから何だ的議論や思索は 最初から拒否され、 形(実体)だけがここにありつつも、 どうやら、何かが起こっていて、 その予感でゾクゾクしてきます。 具体性を意図的に排除しつつ、 別の新たな物語を生み出すためのフォルムは、 意味を語るのではなく、 問いかけるものとなった。 そんな印象でした。 ●1月22日 印象記@ 紋谷幹男氏の展覧会印象記が投稿されました。 展覧会タイトルは、ーParade パレードー。 透明アクリル板の裏面から描く 綿引明浩オリジナル絵画技法「クリアグラフ」による作品。 美術の存在価値の一つに、 観る人を明るい気分、楽しい気分にさせること、 があります。 例えば可愛い犬や猫の写真も、 それに近い効果がありますが、 綿引明浩の作品では、新たな経験が用意されます。 作品群には、 非日常的な神秘的で幻想的な要素もあって、 今、この世界から、 知らないどこかへ連れ出してくれます。 細部にいたるまで妥協がなく描かれた、 刺激的な世界は、 この世界を作る喜びに溢れていて、 観る側も高揚させる。 そんな印象でした。 ●1月21日 オークション開始 オミロン株が猛威を振るっている中ではあるが、今日から土日を含め4日簡ギャラリー椿オークションを開催する。 画廊では密になることも大声で会話をすることもなく、画廊も両方の入り口を開け放し、消毒に努め、皆さんをお迎えすることにしている。 今年も例年よりは若干少ないが約500点の作品を紹介させていただく。 皆さんのご参加をお待ちしている。 作品リスト、入札方法などはこちらをご覧いただきたい。 http://www.gallery-tsubaki.net/2022/auction2022/info.htm ●1月20日 現代アート振興 岸田首相の現代アート振興についての国会答弁。 首相が国会答弁で具体的な現代アート振興に取り組む答弁をされたのは初めてではないだろうか。期待をしたい。 美術手帖より 1月19日に開催された衆議院本会議の代表質問で、自民党の梶山弘志議員が岸田文雄首相に対して、日本におけるアート振興についての質問を行った。 梶山議員は、日本は世界に誇る社寺や伝統芸能、美術品などの数多くの文化的資産を有しており、それらを保護、保全し将来世代へ引き継いでいくべきという前提を述べたうえで次のように質問を投げかけた。 「世界のアート市場から高い評価を得ている日本の現代アートなど、新たな芸術作品の創造支援にも取り組むべきと考える。新しい資本主義の実現を目指すなかで、日本が誇る文化的資産や、 アート作品、そしてアーティストたちを守り、育て、そして新たに生み出し、国府として将来世代に引き継いでいくと考えるが、日本の文化、アート振興に対する総理の考えを伺いたい」。 これに対して岸田首相は「わが国の文化資源やアート作品は、観光を通じた地域活性化などに貢献する資産であり、わが国に対する世界の憧れを生むソフトパワーの源泉でもある。これらを将来にわたって活用するため、 世界に魅力を発信し新たな創造を持続的に支えることが重要」と回答。 さらに首相は、アーティストやマーケットの活性化についても、より具体的に踏み込んだ発言をしている。「世界的な現代アーティストの輩出につながるよう、 作家の国際展開の支援や、作品価格の透明性向上等を通じて取引市場の活性化に注力するなど、文化アート振興を推進していく。独立行政法人、国立美術館についてはアート振興の中核として、 優れた学芸員の育成による世界的なコレクションの形成、活用や、国立新美術館におけるアートの魅力のグローバルな発信など、抜本的な機能強化を進めていく」。 今回の代表質問においては、政府与党における現代アートやアート産業についての考えの一端が表明されたかたちとなった。今後、これらの方針が具体的にどのような政策として進められていくのか、注視したい。 ●1月14日 APAGA会議 11日にアジアパシフィック画廊協会会議がオンラインで開催された。 今回は議長国が台湾で日本、韓国、香港、インドネシアが参加をした。 オンラインでの会議は難しく、各国の代表の言葉を英訳するので時間が取られ、kなかなか前に進まない。 アジェンダはいくつかあったが、結局各国の市場の現状を述べるにとどまった。 どの国もコロナ禍で苦慮しているが景気は良く、売れ行きも好調のようである。 それでも韓国のサムソンなどはコレクションをだいぶ手放したこともあったようだがアートフェアは大盛況だったそうだ。 私は時間がなく、二つのことを話すにとどまった。 一つは香港、台湾、インドネシア、中国などは高騰する美術市場の崩壊を経験したことがなく、いずれ来るであろう市場の暴落に対応し、 将来を見据えた経営をすべきと述べさせていただいたが、どちらかというと各国はそれほど心配をしていないようだ。 次に日本の税制について述べさせてもらった。 日本ではインボイス制度が施行され、美術品の取引が全て書類化され化されることになり、適正な税の徴収がなされることになった。 海外ではどのような美術に対する税制が行われているかを聞きたかったのだが、時間切れとなってしまった。 またデジタル証明書NFTが普及し作品の証明来歴が明確となり、真贋のへの対応が整備されるようになってきたことについても議論をしたかったのだが、これも時間切れ。 これも今の過熱した美術市場同様に仮想通貨と連動し投棄対象になっているようだが。 各国は自国の美術市場が好調なことだけを語り、将来への備えについての意識が欠けているように思えた。 いつもそうだが、今回も実りのある会議とはならなかった。 ●1月13日 メッセージ 6年前作家の皆さんが私の古希のお祝いをしてくれた。 その時に今や人気作家の1人となった山本麻友香がこんなメッセージを送ってくれた。 私が画商になり若い作家と一緒に歩もうと、父が経営する画廊の元を去り、新たな画廊ギャラリー椿を立ち上げた。 そうした思いでやってきただけに、山本のメッセージは私の心に響き、辛い時期もあったが頑張ってやってきて良かったと思わせる言葉だった。 25年くらい前、大学院を終え初めて東京で貸し画廊で展覧会をすることにしました。 そのころ京橋にあった藍画廊というところです。 その個展で展示の最中、絵の前をうろうろされる(ダンディな)おじさんが邪魔で邪魔で困ったことが印象的でした。 その方が今お世話になっている「ギャラリー椿」の社長 椿原さんです。 その時声をかけていただいて「ギャラリー椿」で個展ができることになりました。 いつの間にか、困ったことや辛いことに出くわした時、尊敬する椿原さんならどうされるだろうかと私の人生の指針になっています。あのとき邪魔だと思ってごめんなさい。 2016年6月にギャラリー椿で「椿原弘也さんの古希とギャラリー椿祝35周年展覧会」が開催される予定です。 ギャラリー椿の作家88名が出品という前代未聞の展覧会になる予定です。 ●1月13日 偽版画 著名な日本画家らの偽版画を制作・販売したとして、著作権法違反の罪に問われた画廊「かとう美術」(大阪市)の元代表・加藤雄三被告(53)の初公判が12日、 東京地裁(小林謙介裁判長)であった。加藤被告は起訴内容を認め、検察側は「作品の価値を低下させ版画業界の信頼を失墜させた」として懲役3年、罰金200万円を求刑した。この日で結審し、判決は3月9日の予定。 以上のような地裁での初公判の様子が各報道機関で報じられた。 犯した罪に比べると検察側の求刑は軽いように思うのだが、著作権法違反で訴えたのは東山家だけで、他の著作権者が告訴しなかったことや、被害者から詐欺罪での訴えも難しいところがあるようで、 検察も比較的軽い求刑にせざるを得なかったのかもしれない。 おそらく3月の判決は執行猶予付きの判決になる可能性もあり、事件はうやむやのうちに結審しそうである。 メディアも発覚当時は大々的に報道していたが、複製版画の発行元が大手新聞社やテレビ局、出版社などということもあってか、糾弾の矛先も鈍ってきたようだ。 判明した偽版画は10数種類だけで、偽版画を制作した工房の話では80種類と言っていたことや現金が10億円近くが被告の手元にあったことから、おそらく大量の偽版画が存在していたことは間違いない。 ただこうした大量の偽版画の存在が発覚することは、そうでなくても大混乱に陥った美術業界にとって自分たちの首の根っこを絞めることにもなりかねず、これ以上の追及は及び腰にならざるを得ないようだ。 こうした経緯から偽版画事件の実態は闇の中に葬むり去られてしまいかねない。 ただ、今後は被害にあった個々の美術業者や百貨店が民事で損害賠償請求の訴えを起こしたり、国税から脱税の疑いで告訴されるかもしれない。 今回の事件が軽い罪で終わっても被告のこれからの道は茨の道となるのは間違いない。 ●1月12日 オークション 新年早々というよりは暮れから作品の山に囲まれていて、大掃除どころではありませんでした。 今年も恒例のギャラリー椿オークションが1月21日から24日の日程で開催されます。 例年のごとく約500点の作品が出品されますが、今年もまたコロナの渦に巻き込まれてしまいました。 昨年も開催するかどうか判断に迷いましたが、万全の対策を講じて開催することになり、結果何事もなく上々の成果を上げることができました。 そんなこともありこういう状況下ではありますが、今年もオークションを開催致すことになりました。 従来通りリストを参考にお問い合わせをいただくか、会場ライブで作品をご覧いただき入札をしていただいておりましたが、今回も昨年に倣い全作品画像を掲載したPDFを作成し、皆様にはそれをダウンロードしていただいた上で作品をご覧いただき、メールもしくはFAXにて入札をしていただくようにいたしました。 もちろん、会場には従来通り作品を展示させていただき直接ご覧いただくことも可能です。 その時にはマスク着用の上、私どもも出来うる限りの安心、安全の準備で皆様をお迎えすることにいたしておりますので、どうぞご無理のな範囲でお越しいただければ幸いです。 2年続きの大変な幕開けとなってしまいましたが、皆様のご支援のもと今年も何卒よろしくお願い申し上げます。 ●1月11日 ご挨拶 一並びの日が仕事始めの日となりました。 語呂合わせですが始めの一歩という感じで、気持ちが引き締まります。 去年の暮れからやく2週間の長いお休みををいただきました。 その最後の休みの昨日にコレクターの方やスタッフ達とともにニューイヤーマリンバコンサートに行ってきました。 私どもの作家の1人横田尚を始め2人のアーティストの作品にインスパイアされ、吉岡孝悦氏が作曲した演奏曲とともに、吉岡孝悦氏と塩浜玲子さんの息のあった連弾は実に素晴らしいもので新年早々心を揺さぶられました。 いただいた感動を胸に今年一年力を振り絞り頑張って仕事に取り組んでいきます。 今年もどうぞよろしくお願いいたします。 ●12月26日 ご挨拶 GALLERY TSUBAKI Wishing you a happy holidays and a prosperous New Year 2022!! 本年最後の展覧会、綿引展、浅井展も盛況のうちに終了いたしました。 今年もコロナに振り回された一年でしたが幸い無事に乗り切ることができました。 これも皆様のおかげと心より感謝申し上げます。 どうぞよいお年を迎えくださいますようお析り申し上げます。 【冬季休廊のご案内】 誠に勝手ながら下記の通り冬季休廊とさせていただきます。 2021年12月30日(木)〜2022年1月10日(月) 新年は11日(火)より営業いたします。 来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。 [Closed for Winter Holiday] December 30(Thu), 2021- January 10(Mon), 2022 【営業日変更のお知らせ】 2021年2月より、日月祝休廊とさせて頂いております。 [Notice of business day change] From February 2021, we will be closed on National Holidays, Sundays, and Mondays. ----------------------------------------------------------------------- upcoming exhibition ギャラリー椿オークション 2021年1月21日[金]−1月24日[月] 21 January − 24 January , 2022 12:00 PM − 6:00PM (時間を短縮して営業しております) 会期中無休 入札締め切り:1月24日[月]午後4:30 開札:1月24日[月]午後 5:00〜 ●12月24日 クリスマス 今日はクリスマスイブ。 例年だと孫たちと一緒に私の手料理で一夜を賑やかに過ごしたり、ホテルでディナーパーティーに行ったりしたものだが、来年早々から息子の家を解体し、二世帯住宅に建て替えることになり、クリスマスを前に息子家族が仮住まいに引っ越しすることになった。 それに伴い荷物の整理やが運び出しでクリスマス気分に浸るどころではなく、ヘトヘトのままイブを迎えることになった。 昔ならこの暮れに荷物を出していたら夜逃げと間違われたかもしれないが、とにかく大量の荷物。 引っ越し荷物と廃棄するものをトラック3台に運び込んで引っ越し先と家とを往復してもらったが、それでも運びきれず、翌日に持ち越した。 年の瀬に何も慌ただしくすることはないのだが、いい日を選んでの引っ越しだそうでなんとも忙しいことであった。 孫たちは壁中にメッセージを書いて名残を惜しんでいた。 来年12月に完成予定とのことで1年後には息子たちと同居することになり、老後の面倒を見てもらうことになっているが、邪魔者扱いされないように気をつけなくてはいけない。 ●12月17日 忘年会 昨日は日本に帰化した台湾のお客様が私どものために忘年会を開いてくださった。 以前にも画廊で私の誕生日会を開いてくださったり、夏には作家ともども食事会を開いてくださったりとお世話になりっぱなしの方である。 今回はスタッフ以外に山本麻友香一家と中村萌夫妻も招かれ、他にお客様の知り合いも参加しての賑やかな会となった。 場所はなかなか乙なところで、ホストクラブやラブホテルに囲まれた歌舞伎町の一角にある台湾料理のお店で、女性スタッフや山本麻友香、中村萌はまず足を踏み入れることのないエリアである。 かくいう私も以前は父親がやっていた伊勢丹の隣の椿近代画廊に10年ほどいて、道路一つ隔てた近場ではあったが、私には秘境のようなところで、全く無縁の場所であった。 場所はともかく、料理は格別に美味しく、またこれだけ大勢集まっての会は久しぶりとあって、大いに食べ、飲み、楽しい一夜を過ごさせてもらった。 多くの高額な作品を買っていただき、本来はこちらが接待をしなくてはならないはずなのだが、こうしてもてなしていただくことはただただ感謝の言葉しかない。 この方だけではなく韓国や台湾に行っても、多くのお客様の私やスタッフへのもてなしはとても真似のできるものではなく、ひたすら頭を下げるしかない。 本当に有難いことである。 ●12月3日 アートバブル 香港のPHILLPSオークションに山本麻友香2020年8号の作品が出品された。 今回の結果にも驚くというよりは怖いくらいである。 いくら現代アートバブルとは言え、身近な作家がこんなに高額で落札される現実を目の当たりに見せられ、本当かいなと目を疑ってしまう。 これだけの価格を出してまで作品が欲しいのか、はたまたまだまだ上がると思って買っているのか定かではないが、中村萌を落札したお客様は日頃からお世話になっている著名なコレクターでどうしても手に入れたかったそうだ。 有難いことなのだが、これだけのお金で私どもの他の作家も相当数買えるはずでそちらもぜひお願いしたいものだ。 こうしたオークションでの高騰はこの2人だけではなく、まだ若いアーティストが次々にオークション市場に現れ、高値で落札されていく現状をどう捉えたらいいのだろうか。 オークションの価格にスライドして、発表価格を高値に設定すれば大儲けできるのだが、そうは行かない。 バブルというのはいずれ弾けるのは過去の例を見ても明らかで、私はそうした例を何度も見てきて無理をしてはいけないといつも肝に銘じている。 私どもで買っていただいているお客様にその評価が上がることは喜んでもらっていいことなのだが、できるだけうちでは売値をスライドさせないようにしている。 仮にバブルが弾け価格が暴落しても、うちの作家達の値段がそれ以上に下がらないような価格設定にしていて、お客様に迷惑をかけるのは避けたいと思っている。 一から始めて一緒に歩んできた作家を見捨てるわけにはいかない。 長い道のりが作家の間には立ちはだかっている。 それを乗り越えるように支えていくのが私たちの仕事である。 先だっても台北で開催されたアートモンスターも大盛況で、毎日入場するために長蛇の列ができていた。 このフェアでは高額作品は全くない。 その中で多くの方がアート作品を購入し、結果こうした形でアートが根付き、健全な市場が形成されるのであれば大歓迎である。 冷静に市場を見つめていきたい。 ●12月1日 後継者 早いものでもう師走。 ギャラリー椿も来年一月には創業以来38年を迎える。 あと2年で40年、画廊の仕事に就いて55年、私も喜寿を迎え節目の年になる。 今のところ身体も元気で心配するような病気もひとつもない。 仕事の方も良きお客様と作家さん達に恵まれたおかげで安定していて、これからどうなるかはわからないが今のところは心配するようなことは何もなく有難いことと思っている。 とは言え、寄る年並み80過ぎまで仕事に携わっていられるかどうかはわからない。 子供達もそれぞれ目指した仕事に就いて、どうやら私の跡を継いでくれそうにもない。 というわけで、ぼちぼち今後のことも考えなくてはいけない時期になってきた。 幸いスタッフも毎日夜遅くまで頑張ってくれていて、今はほとんど仕事は任せ、私は画廊で居眠りしているのが常となっている。 もうスタッフに任せていても何の心配もなくなっている。 心配の種があるとすれば、今の美術市場は現代アートバブルの真っ只中にあり、浮き足立った状況が続き、その渦の中に私どもも多少巻き込まれていることである。 スタッフにはバブルというのはいずれ弾けるもので、私も長い間にその浮き沈みを私は何度も経験しているので、今の状況に浮かれることなく、高みを目指すのではなく足元を見つめ細く長くを目指すように言っている。 私が何度かの苦難を乗り越えてきて今があるのは、そういう思いで地道に仕事をしてきたからだと思っている。 その思いが浸透しているのであれば、スタッフに後を任せてもいいのではと思っていて、徐々にではあるが、軟着陸の着地点を探しているのが、今の心境である。 長い間に培ってきた僅かではあるがギャラリー椿の信用とブランドが後を継ぐものへの遺産となり、その後の発展に繋がるのであればこれに越したことはない。 ただ全く仕事に携わらなくなれば、今でもボケ進行中の私は正真正銘の認知症や寝たきり老人になってしまう。 そんな心配もあって、老後のリハビリを兼ねて時々は画廊に顔を出し、老害にならない程度に口は出すが金は出さないで行こうかなと思っている。 師走を迎え、どうやら身支度を考える年になってきたようだ。 ●11月20日 木下雅雄個展 今日から伊津野展と同時に木下展がはじまる。 木下はグループ展では私どもで発表をしているが、個展は私どもで初めてとなる。 数年前に東急文化村の展覧会に私どもの木村繁之、塩澤宏信が参加したが、その折に一緒にに参加していた木下の作品が目にとまり、その縁で私どもでも扱わせていただくことになった。 彼は村上隆が主催した「ゲイサイ」でグランプリを受賞し、その時の審査員の1人おもちゃコレクターで知られる北原照久氏の目にもとまり、多数の作品がコレクションされることになった。 彼は木彫、樹脂などいろいろな素材を使うが、今回は陶による作品を発表した。 可愛さと不気味さを兼ね備えたいわゆる「キモカワイイ」作品が並ぶ。 海外でも注目されている作家の1人で、今回の展覧会もその成果を大いに期待している。
●11月17日 ART MONSTER 明日はアートモンスターのプレビュー。 ギャラリー椿はいつものように中村萌で参加する。 ただコロナの影響で例年開催されるタイペイトイフェステイバルが中止になり、その代わりに出展数を絞ってアートモンスターとして開催することになった。 毎年入場を待つのに延々長蛇の列となり、会場内は熱気に包まれ身動きできないような状況で、密どころか濃密といった具合で当局からは許可されないのは仕方がない。 今回は入場者を限定し、全て予約制で、入場制限も行われる。 どれもが人気ブースだけに入場チケットのネット予約も秒単位でsold out。 私どもにもなんとかならないかと言ってくる人も多いが、こればかりは私どもでもどうにもできない。 中村萌の人気の原点もこのフェアから始まったと言っても過言ではない。 フィギュアの制作を提案され、最初は尻込みをしていたのだが、蓋を開けると驚くほどの反響。 アート台北のフェアとは違った新たなコレクター層がここから育っていった。 今回も台北に行って直接その反響を確かめたいのだが、行き帰り2週間づつの隔離ではとても行くことはできない。 アートモンスターの社長に任せるしかないが、そもそもここの社長が中村萌の大ファンであり、コレクターでもあるので、私たちが行く以上に熱心にプロモートしてくれるので心強い。 始まる前から成功間違いなしのフェアだが、遠く日本から高みの見物をさせていただく。 ●11月12日 チャリティオークション ポーラミュージアムアネックスにて今日からチャリティオークション。 20人のポーラミュージアムアネックスで個展をしたアーティストが旅をテーマに作品を制作し発表をしています。 作品はオンラインでの入札で、最低価格20万円からとなっています。 更に各アーティストのドローイングも展示されこちらは各15万円での抽選になります。 他にドローイングをベースにしたトートバックも販売されています。 問い合わせはポーラミュージアムアネックスへ。 中村萌、ミヤケマイ、野口哲弥、渡辺おさむ、田中圭介、岩田俊彦、今井昌代他 ポーラミュージアムアネックス https://www.po-holdings.co.jp/m-annex/ ●11月10日 伊津野雄二個展 今月の20日から伊津野雄二木彫展がはじまる。 伊津野の端正で静謐な女性像はいつも心を穏やかにさせてくれる。 今回も10数点の新作が並ぶが、期待に違わず秀逸な作品が並ぶ。 コロナで本人は個展に来ることができないのが残念ではあるが。 伊津野から展覧会へのコメントとともに嬉しい知らせが届いた。 20年も前になるだろうか、和歌山で多くの作品をコレクションされお世話になっていたN氏が伊津野作品を気に入り、大作数点を含め10点近くの作品を収集していただいたことがあった。 N氏は決して私たちとは会おうとはせず、ひたすら気に入った作品があると画廊に電話をして来ては作品を求める、私どもにとっては幻のコレクターであった。 伊津野作品も2メーター近い作品が3点もあって、バラバラにできるがその組み立ては容易ではなく、私どもが伺って組み立てをしたいと申し出たが、自分でなんとかするから来なくていいとのことであった。 運送屋さんに頼んで納入させていただいたが、とにかく大きくて重い作品が多く、どうされたか心配であったが、電話も一方的にかかってくるので確認のしようがない。 その後連絡がないまま時が過ぎ、それから間も無く訃報が届いた。 お悔やみにも伺えないままで気にはなっていたが、時間とともにその記憶も薄れてしまった。 伊津野からの知らせはその作品はすべて福岡市の美術館に寄贈されたという嬉しい知らせであった。 そういえば一度N氏のコレクション展が福岡市市立美術館で開催されたことがあり、どういう縁があったかは知れないが、ここにコレクションの多くを寄贈していたことを思い出した。 おそらく伊津野作品も遺族がここに寄贈したに違いない。 20年余が過ぎて、美術館に所蔵されていることを聞いて、人はいつか消えていくが、作品は残っていくことを実感させられた。 改めてN氏に感謝するとともに心よりのご冥福をお祈りする。 ●10月29日 岡本啓個展 岡本は私どもで初めての個展を開催して以来、大阪ではヨシアキイノウエギャラリーでも個展を重ね、ここ最近はアートイベントに招待されインスタレーションでも発表の場を拡げ、その活躍はめざましいものがある。 岡本はフォトアーティストではあるが、カメラを使うのではなく、写真現像技術を用いて印画紙上に像を描き出す独自の手法(=photo brush)を用いた作品を制作している。 色彩豊かなその作品群はデジタル加工ではなく、ほぼ全て暗室内での手作業で制作されている。 光の当て具合、光の量、光を通す器具による光の変化、時間の経過などを経験則をベースに印画紙にその表現が抽出される。 近年はカメラで実写した形象とそれを重ね合わせて、実写と感覚による造形の差異や関係性に関心を深め、その表現を画廊空間とは違った場所において発表するようになった。 ●10月27日 夏目麻麦展 私どもで発表をしている夏目麻麦、服部知佳、堀込幸枝、の3人の絵はどれを見ても染み入るようなマティエールの深さは際立っていて、得も言われぬ美しさがある。 この下地があればこそ、この3人はどのように表現が変わろうとも作品の質が揺らぐことはまずない。 今回の夏目の作品を見て、さらにその感を深くした。 従来描かれてきた人物像から徐々に風景を夏目独自の視点で描くようになってきたが、案内状となった作品は一見風景のようには見えないのだが、目を凝らすと樹木や地面から立ち上るような空気感が伝わってくる。 おそらく「もわっ」とした陽炎のようなものが風景を通して描かれているのだろうと勝手に想像してみる。 展覧会のタイトルも「いきれ」となっていて、一息れ、草いきれから来る言葉なのだろう。 そのどちらの言葉からも蒸せかえるような情景が浮かんでくる。 人物画がそうであったように特定された顔や姿ではなく、モヤっとした捉えどころのない人型が描かれていて、見る側のイマジネーションが掻き立てられる。 この風景も同じように見る側にどんな風景が浮かんでくるかを問いかけているように思えてならない。 それぞれが違った思いを巡らせて画面と対峙してみてはどうだろうか。 ●10月23日 TAIPEI VR TOKYO 2021 TAIPEI VR TOKYO 2021のVR画像です。 わずか4日間の展覧会で明日日曜日で終わってしまいますが、下記をクリックしていただき会場の雰囲気を味わってください。 ご希望の作品があればお申し出ください。 http://www.gallery-tsubaki.net/2021/Taipei_Vr_Tokyo2021/works.html ●10月19日 TAIPEI VR TOKYO 2021 今年もアート台北の参加を断念した。 これで2年続けての不参加となる。 同様に韓国のアートフェアKIAFも参加を取りやめた。 現地からの報告では昨年もそうだったが、韓国の美術市場も昨年からかなりのバブルのようで、出展した画廊の話では途中で作品を追加しなくてはならないほどの盛況だそうだ。 今回で不参加は三回目となるが、その三回とも景気がよくて、そういう時に限って参加できないのは普段の行いのせいなのだろうか。 さてアート台北では昨年と同じく出品予定であった作家さんの作品を展示して、VRにて台湾をはじめとした直接作品を見ることができない方達に作品を見ていただき、アート台北の雰囲気を少しでも味わってもらおうと企画をさせていただいた。 昨年は好評でほぼ完売に近い成果をあげることができた。 これに味を占めたというわけではないが、今年もアート台北と同じ会期にてやらせていただくことにして、今日明日で展示をすることに。 前の展覧会が終わったばかりで、息つく暇もない展覧会だが、それぞれ力作揃いで皆様には楽しんでいただけるのではと思っている。 ●10月11日 寺田小太郎コレクション 多摩美術大学美術館で開催されている「寺田小太郎コレクション いのちの記録 継承」展に行ってきた。 私どもが納めた多くの作品が展示されていて、私どもと寺田氏との深い繋がりに改めて想いを馳せるのであった。 会場に掲げられた寺田氏の言葉がまず目に入る。 「私の生きた証として何を残すのか。私は最終的には芸術しかないと感じるのです」 その生き様を見事に貫いた寺田氏に心からの尊崇の念を捧げたい。 コレクションからは豊潤な温かさと優しさが感じられる。 そうした7000点に及ぶコレクションから今回私どもが扱った多くの作品が展示されていることを誇りに思うとともに、継承というサブタイトルがついているように、次世代にコレクションが繋がっていくことを願うばかりである。 ●10月10日 ポーラミュージアムアネックス最終日 ポーラミュージアムアネックスの中村萌個展も今日が最終日となった。 ギャラリー椿での個展は一足早く終了したが、ポーラでは約2ヶ月にわたり展示をしていただき、心よりの感謝申し上げる。 多くのお客様に中村萌の多様な表現を見ていただくことができたことを作者ともども大いに喜んでいる。 今後もさらなる展開を見ていただくことになると思うが、引き続きの応援をよろしくお願い申し上げる。 尚、10月21日から4日間の短い会期だが、ギャラリー椿にてコロナのため参加できなかった「アート台北」に代わり「TAIPEI VR TOKYO 2021」展を開催し、そこにも中村萌が参加するのでご覧いただければ幸いである。 また台北でも中止になった恒例の「Toy Show」に代わり、11月19日から23日まで「Art Monster 」展が開催され、中村萌作品が展示される。 台湾の皆様にも久しぶりに間近で見る中村萌作品にご期待をいただきたい。 ●10月7日 新たなコレクター 昨日はお客様のお宅に作品のお届け。 会社とご自宅が近くにあり、どちらも素晴らしい建物。 コレクションもさることながら、ご自宅のリビングにはプールがあるから驚き。 水流が流れるようになっていて、それに向かって長時間泳げるそうだ。 庭にプールがあるお客様はいるが、家の中にプールがあるのは初めて。 大阪の画廊に勤めている頃、和歌山の山持ちのお宅を商談で訪問した際に時間があるならゴルフでもしていかないかと言われ、 ゴルフの練習場でもあるのかと思ったら、庭に本格的な6ホールのゴルフコースがあるのに驚かされたことがあったが。 お届けしたご自宅や会社にはセンス良く現代美術が所狭しと飾られている。 今は市場で人気がある作家ばかりだが、ほとんどが有名になる前にコレクションをしていたそうで、その先見の明は大したものである。 最近はこうした新たなお客様との出会いが多く、アートの価値観の多様性とともに、スケールの大きいコレクターが増えてきたのを実感させられる。 こうした方達と以前のお客様同様に長いお付き合いをさせていただきたいものである。 ●10月1日 柳澤裕貴個展 早いものでもう10月。 コロナ騒ぎも12月には2年になる。 私どもではめげずに展覧会を続けている。 中村萌個展が終わり息つく間も無く、10月2日(土)より柳澤裕貴個展が始まる。 色濃い樹林からの木漏れ陽を情感豊かに描き出し、あたかもその場にいるような温もりを感じさせてくれる。 今回は新たに建物を取り入れた風景画も発表するが、自然の情景だけの方が柳澤らしく思えるのだが。 そこはこれからの課題で新たな展開を期待したい。 余談だが、柳澤の私どもの初めての個展が東北の震災の日で、その後2回続けて台風や大雨にたたられていて、 今回もまたかと思ったが、どうやら明日には台風は通り過ぎ無事初日を迎えることができそうである。 ●9月29日A 偽版画 ようやく世間を騒がせた偽版画事件の当事者が逮捕された。 私が加盟し理事長も務めた日本現代版画商協同組合所属の画商が主犯であったことは誠に遺憾であり、被害に遭われた方には心よりお詫びを申し上げる。 昨年の春から偽物の疑いがある版画が出回っているという情報をもとに、組合有志が中心となって調査を続け、結果組合員である大阪の画商が自白をし、理事会においてこの画商を除名処分にするとともに警視庁に被害届を提出することになった。 その後の経過はテレビ新聞などで報道されたが、版画の販売に携わった百貨店、美術業者、オークション会社などはその対応に追われ、オリジナル版画までがその影響を受けることになり、市場は大混乱となった。 9ヶ月にも及ぶ捜査の結果ようやく逮捕に至ったのだが、お客様の被害はもちろんのこと、美術業界の信用失墜も著しく、今後の結果次第では更なる被害も予想され、業界としても二度とこのようなことが起こらないよう、偽物が出ない土壌を作っていくことが求められる。 ただオリジナルの偽物と違い、今回の版画の多くは作家の手によるものではなく、工房が新聞社や出版社の依頼を受けて制作したものが多く、私たち組合ではオリジナル版画とこうした版画を区別して、作者の手によるもではない版画を複製版画と呼ぶことにしていた。 今回の作品の中にも複製版画のさらに復刻版、それをまた復刻した新復刻という版画もあって、こうした偽版画ができる土壌が根底にはあったのは間違いない。 油絵や日本画、彫刻などは作者の手によるものだけに複製や贋物を作ることは難しく、その判定も識者が見れば判明できるものが多い。 ところがこうした類の版画はスキャナをしたりデジタル化することで容易に複製することができるので、専門家が見てもそう簡単にはその違いはわからない。 私も事件が発覚した折に今回の版画を弁護士立会のもと数人の画商と見ることがあったが、その違いは全くわからなかった。 そこでサインの筆圧や落款を見ることになるのだが、それも精巧に真似をしていて、そう簡単には識別できるものではなかった。 巷間では目利きの画商がいなくなったのが問題の一つと言われているが、そういうことではなくデジタル化により複製版画と偽版画の違いがわからなくなっていて、今回の事件はその盲点を突かれたと言っていいのではないだろうか。 さらに言えばこうした複製版画を作者や著作権者が監修することなく工房で制作したのも問題であり、これを安易に販売した美術業者、出版元や百貨店にもその因があるように思う。 これを機会に複製版画のあり方にも言及し、今一度信頼回復に努めるのが我々に課せられた使命ではないだろうか。 ●9月29日 中村萌展終了 先週土曜日でギャラリー椿での中村萌個展は好評のうちに終了した。 ポーラミュージアムアネックスとの相乗効果もあり、多くの方が画廊を訪れてくれた。 おそらくその多くが中村萌を初めて知った方達で、こうした方が中村萌のアートグッズを買ってくださったり、フィギュアや版画の抽選に参加してくださった。 抽選も個展終了と同時に締め切ったが、何と応募総数は1500を超え、今はその整理に追われていて、開票までにはしばらくお時間をいただくことになりそうである。 また、フィギュアはまだ見本だけで、当選した方のお手元に渡るのは早くても3ヶ月になることをご了承いただくようお願いをすることになる。 ポーラミュージアムアネックスでは10月10日まで開催しているので、まだご覧いただけない方は是非お立ち寄りをいただきたい。 また画廊でも金曜日まではアンコール展示で奥のスペースに作品を飾っているのでご覧いただければ幸いである。 ●9月12日 オリパラとコロナと現代アートバブル オリンピック、パラリンピックも色々取り沙汰されたが、日本選手の活躍もあって盛会のうちに終了した。 暑さやコロナ、テロなど心配されることも多かったが何事もなく運営されたことは何よりであった。 これも選手はもちろん組織委員会、東京都の大会関係者やボランティアの奮闘の賜物である。 東京ではここに来てコロナ感染者数も減少傾向にあり、これもワクチン効果なのかと微かな光明が見えてきた感がある。 ただ油断は禁物で重症者は増加の傾向にあり、医療従事者のご苦労は察するに余りある。 私の身近でも同業者がコロナで死亡したり、重症化し一歩手前で一命を取り留めたお客様や仕事に大きな影響を被った方もいて、他人事ではない事例が相次いだ。 緊急事態も9月いっぱい延長になり、画廊周辺の飲食店でも閉店したり休業を続けるところも多く、事態が深刻化しているところも多くなっている。 こんな状況の中、私のところは作家さんやスタッフの頑張りもあって、5月以降の展覧会は好調で、現代アートバブルの恩恵を多少は受けているようだ。 ただ、これもコロナといっしょで油断禁物、いつバブルが弾けてもおかしくない状況にある。 私どもでは、こういう時こそアートの裾野の拡大に努めなくてはいけないと思っていて、フィギュアや版画、アートグッズの制作、オンラインショッピングの拡充、企業とのコラボなど、マスを対象にしたアートの普及に努めている。 投機とか流行による景気は、一度破綻すると止めどもなく、そこに依存していた顧客層は雲散霧消してしまうことは、過去の例にいとまがない。 純粋なアートファンの掘り起こしこそが今の私に課せられた使命だと思っている。 こうした方達のサポートが私どもの多くの作家たちの活躍につながることを願って。 ●9月6日 メッセージと会場構成 中村萌展 中村萌の作品が何故こんなんに多くの人から愛されるのだろう。 作品の可愛さ、癒しが多くの人に愛される大きな要素となっているが、それだけではないように思う。 材質を生かした表現の多様性もあるだろう。 それ以上に練りに練った立体ならではの会場構成もまた大きな要素となっている。 台座ひとつにしてもギャラリーからのあてがいぶちではなく、自分で考えた作品をより効果的に見せる台座を考える。 台座の高さや位置では1センチの誤差にも気を配る 椿では杉の丸太を、ポーラでは床の色に合わせた台座を作り、それぞれの空間に作品がより浮き立つように工夫をしている。 配置も全体が一つの作品であるかのような構成を考える。 今回の両会場を見ていただくとその空間構成の巧みさがよくわかる。。 作品をただ並べるのではなく、如何に引き立てているかを見ていただきたい。 更に重要な要素はテーマとメッセージを展覧会ごとに発していることである。 今回はポーラでは「Our Wereabauts 私たちの行方」椿では「inside us 」というテーマを掲げている。 そうした幾つもの要素が重なり今の中村萌があると思っている。 「私たちのゆくえ」 私のようで、わたしではなく、 だれかのようで、だれでもない。 そんな曖昧な存在を探るようにして、つくりつづけています。 まるで目隠しをして歩いているような、 目に見えない不安と閉塞感が漂い続ける今、 私たちの向かう先に、 わずかでも明るい光があることを祈って、本展覧会を構成しました。 一方、同時開催のギャラリー椿では、その光の影に存在する、 拭いきれない孤独のようなものに寄り添うことができたらと思い 作品を展開しています。 木との関係性、絵画と立体の境界、その行方についてなど、 ここ数年、自分が思いめぐらせてきたことを、 そのまま会場全体で表現できたらと思っています。 ●9月2日 ポーラ ミュージアム アネックス こちらも準備が終わり明日からのオープンを待つばかり。 中村萌が苦労して練り上げて会場プランだけあって、素晴らしい空間構成になっていて、空間も彼女の作品として見ていただきたい。 私どものスペースもそこそこ広いと思っていたが、こちらの広さには敵わない。 銀座の一等地にこれだけのアートスペースを持てるのは羨ましい限りである。 展示作品はお客様からお借りした立体作品と板絵13点が飾られている。 それぞれの作品が邪魔をせず、調和のとれた展示となっていて、ゆっくりと展示を楽しんでいただけるのではないだろうか。 ぜひ両会場に足を運んでいただきたい。 ●9月1日 今日から9月 早いものでもう9月。 今朝は秋の気配を感じさせる涼しい朝となった。 予報もここ1週間天気はあまり良くないようで、気温もいつもに比べると低く、過ごしやすい日が続きそうだ。 とはいえ、気候の変化は激しく、残暑の暑さと涼しさの繰り返しなのかもしれない。 春の訪れを三寒四温というが秋の訪れはなんというのだろう。 今日で画廊、ポーラともに中村萌の展示は一段落。 お客様からお借りした作品を含め総点数50点余が展示される。 ポーラとうちは中村萌がデザインした展示空間となっていて、それぞれが趣のある空間を構成していて、見応えのある展覧会となりそうだ。 ポーラの方はまだお見せすることができないが、ギャラリーの方の展示風景を取り敢えずお見せする。 木彫の大作を囲むようにそれぞれ違った色で着彩されたブロンズ作品が13点が無垢の杉の丸太の上に置かれる。 壁には初個展以来の100号キャンバスの油彩が飾られ、対面の壁には大きな板絵が飾られる。 この板絵はポーラでは13点が天井から吊り下げられその様は圧巻である。 明日には紹介できるだろう。 ギャラリーの奥には六甲ミーツで屋外展示された作品が折り重なるように並ぶ。 森に分け入るような感覚で作品を見ることができる。 このように各空間を作家の感性で構成し、作品と空間を意識した展示を皆さんに見ていただくことになる。 楽しみにしていただきたい。 ●8月31日 8月も終わり。 8月も今日で終わり。 コロナ禍に振り回される中、8月は梅雨のような長雨となり、お盆休みに海や山でのレジャーを計画していた人達にとってはがっかりの夏休みとなってしまった。 6月に早々と2回目のワクチン接種を終えた私だが、念には念をでコロナ感染リスクをを避け、河口湖で8月中は過ごすことにした。 そんなこともあって、今日は画廊には久しぶりの出勤となった。 涼しい山の中にいただけに東京の蒸し暑さはこたえる。 ただ9月3日から始まるギャラリー椿とポーラミュージアムアネックスで開催される中村萌個展の反響が大きく、暑いなどとは言ってられない。 ポーラとうちの画廊は信号を一つ越えた近いところにあるので、来られた方は両方を一度に楽しんでいただける。 まだ作品が未到着でどんな作品が来るかはスタッフに任せているので、明日からの搬入、展示が楽しみである。 新たのアートグッズも発表されるようなのでそちらも楽しみにしていただきたい。 コロナ禍と残者が続く中ではありますが、是非のお越しをお待ち申し上げる。 ●8月7日 オリンピックと横田尚個展 日本のメダルラッシュに沸いたオリンピックも明日閉会式。 開催中の横田展も来週水曜日までとなった。 メダルラッシュ同様に横田作品も大作を含めほぼ完売となり、わずかに残った作品にも問い合わせが来ていて,この暑さを吹き飛ばす勢いとなった。 個展を繰り返すうちに少しづつファンが増え、彼女の地道な努力がようやく身を結んだようだ。 今のバブル景気で俄に人気作家となったのとは違い、一歩一歩精進した結果だけに嬉しさもひとしおである。 昨年の個展をコロナの影響で小学校の教員をしている横田にとって大きな負担となっていて、結果キャンセルをしてきた経緯があった。 その時、そうした中でも制作に頑張っている人たちがいるのだから、更なる努力をしないと次がないぞと私は厳しく言ったのだが、その叱咤が彼女を一回り大きくしたようだ。 金井訓志氏の紹介で個展を開催したのが16年前で、当時の絵はどちらかというと重苦しい不気味なシュール的な表現だったのが、次の個展からガラッと画風が変わり、 今のような目の大きい女性像に金魚を配する画風に変貌し、タッチの粗い画面も徐々に深みのあるマティエールとなり、こうした変化が多くの人の目に留まることとなったのだろう。 それでもまだまだ発展途上、この結果に満足することなく、ますますの精進をしてもらいたい。 ●7月27日 メダルラッシュ オリンピック開催には賛否両論があったが、始まってみると日本はメダルラッシュでオリンピックは大いに盛り上がっている。 アートと同じでスポーツは心を揺さぶられ感動を呼ぶ。 アスリートの一挙手一投足にみんなが手に汗握り、テレビの画面に釘付けになる。 暗いニュースばかりが続く中、オリンピックの明るいニュースが心を晴れやかにさせてくれる。 勝者の涙も敗者の涙も美しい。 こうした感動をもたらしてくれたアスリート達、5年間ここを目指して頑張ってきたアスリート達に大いなるエールを送りたい。 ●7月24日 オリンピック オリンピック連休で交通規制などもあって、混雑を避けて河口湖に疎開中。 開催については賛否両論あったが、決まった以上は日本人選手の活躍を期待して、今までのモヤモヤを吹き払ってもらいたい。 ただ個人的に思うのは言葉尻を捉えたり、過去の事柄ほじくり返して辞任に追い込むメデイアの姿勢には疑問を感じる。 特に昔の過失は時間が経っても免罪されないものなのだろうか。 犯罪の時効とは次元が違うかもしれないが、それでも法律で免罪される制度があるのであれば、こうした瑕疵は時間と共に許されて然るべきものではないだろうか。 自身で告白をし悔いていても許されないものなのだろうか。 オリンピック精神を盾に魔女裁判のようなことが続かないことを願う。 ●7月19日 アートフェアA フェアも二日目に入った。 人出も昨日ほどではないが途切れなく人は入ってくる。 昨日もそうだったが、若い人が圧倒的に多い。 東京でもSPES展の時は同じように若い人が画廊に来ていた。 今までとは違いアートに興味を持つ若い人たちが増えているのだろう。 次のコレクターに繋がればと期待をする。 今日は各ブースをゆっくり回ったが、人気の可愛い系はかなり売れているが、抽象系の作品はあまり売れてはいないように感じた。 ブースでは逆に抽象系の作品が目立つだけに、そちらにも目を向けてくれると良いのだが。 うちに限ればそれなりには売れているが、全体を見るといまひとつと言ったところだろうか。 私は夕方に帰ることにしていて、あと1日スタッフからの報告を楽しみにしている。 ●7月19日 印象記 紋谷幹男氏展覧会巡り印象記 木村繁之展 人体がモチーフの彫刻は、 人の具体的な姿形を現す技術ですが、 彫刻家にとっての目的が、 姿形の再現(=造形)ではなく、 「詩」を語らせることならば、 一方で、当然のことながら、 言葉に頼ることができないなら、 言葉が滲む、佇まいや仕草、様子などを そのまま彫刻化することになります。 それが達成できたかどうかは、 観る側に、視覚情報の奥の何かが 届いたかどうかによりますが、 筆者もじっと見ているうちに、 個々の作品の言葉に想いを馳せていることに 気付きます。 言葉がその表現の場を得るのは、 文字だけではない。 そんな印象でした。 ●7月18日 ART OSAKA ART OSAKAが始まった。 私は大学を卒業してすぐに大阪の画廊に勤め、社長の家に住み込んで5年間を過ごしたことがあるので、東京生まれで故郷のない私には大阪は第二の故郷である。 また大阪を拠点にした現代美術交流会の集まりが月に一回開かれたり、大阪に本社のあるオークション会社の役員をしたこともあって、20年前までは大阪に頻繁に出かけたものであるが、交流会が解散しオークション会社を退職したこともあって、それ以降大阪を訪ねることがなくなった。 久しぶりに大阪駅に降り立ちあまりの変わりように目を見張った。 梅田に画廊があったので、この辺の土地勘はあったはずだが、大きなビルが立ち並び、右も左も分からない。 フェアの会場がある中之島公演の川の両岸が整備され、美しい散策路に大変貌。 当時の大阪の街は緑が少なく、潤いの少ない暑苦しい街のイメージがあったのだが一変していた。 その中にある重要文化財の中之島公会堂がフェアの会場である。 重厚な造りと歴史を感じさせる装飾には目を奪われる。 ただ限られた会場に予約制とはいえ、多くのお客様が詰めかけ、2回のワクチン接種を終えたとはいえ、この密集状態に耐えかね、早々に会場の外に出てしまい、屋外のレストランの椅子でのんびり川辺の風景を眺めながらお茶をすることにした。 そんなわけでフェアの様子をお伝えできないが、明日スタッフの報告を聞いて、改めて日記に書かせていただく。 ●7月18日 印象記 紋谷幹男氏の画廊巡り印象記より 大島康之展 展覧会タイトルは、〜AKE FUR ーchair 2021ー〜。 人が動物の種別を見分ける拠り所は、 体表と形の総体である姿(=外見)です。 姿を体表と形に分けて認識するのは慣れない作業ですが、 このように、 「ちなみに、これが体表です」と有無を言わさない実体で 提示されれば、 それが生半可な仕事ではなく、 このような、妥協のない徹底したリアリズムで押し切られれば、? 認識というもろい心の働きは、 右往左往してしまいます。 同時に、哄笑したくなる開放感もあります。 自身が洋服を着ているように、 他の動物も洋服を着ているという前提で、 見直すならば、 逆に、本質はそこではないことに気付きつつ、 感性にとって重要なのはそこであることも 自覚できます。 彫刻は、架空の物語のある、 彩色された木という物質です。 確たる形と色があるので、 質が生まれます。 強い具象性は、このように抽象性を併せ持つ。 そんな印象でした。 ●7月16日 梅雨明け どうやら関東甲信、東北は梅雨が明けたようだ。 鬱陶しい雨が続いたり突然の雷雨も怖いし、梅雨が明けるのはありがたいが、明けたら明けたで今度は猛暑。 勝手なものでこっちもできればごめん被りたい。 画廊もSPES展が終わりほっとしたのも束の間、展覧会のの事後処理にスタッフは夜遅くまでおおわらわである。 それが終わらないままに大阪のアートフェアがあり、スタッフの一人は今朝から車で大阪に向かっていて、もう一人のスタッフも明日早くに大阪に向かう。 明日午後から飾り付けが始まり、土曜日の12時からART OSAKAが開催されることになっている。 コロナの感染者も増加の一途で心配は尽きず、来場者は予約制にして入場制限をすると主催者側は言っているが、退場時間は決められていないので、次々に人が入ってくることになり、密になることは間違いない。 さてどのようなことになるのだろうか。 私も日曜日、月曜と画廊が休みなのでたいして役には立たないが、手伝いを兼ねて久しぶりに大阪に行くことにした。 私は6月初めには2回目のワクチン接種を終えているので、まだ一回目も終わっていないスタッフに比べれば、多少密になってもそれほど心配はしなくていいと思っているのだが。 フェアが終わるとオリパラになる。 フェアと一緒でこれも強行されることになるのだが、果たしてどんな結果になることやら。 ただやる以上は出場する日本選手には頑張ってもらい、コロナの不安を吹き飛ばし大いにオリパラを盛り上げてもらいたい。 ただ大阪から帰ってくるスッタフはオリンピックどころではなく、28日からの二つの個展の準備が待ち受けている。 暑さもあって体調を崩さないようになんとか頑張ってもらいたい。 頑張ったご褒美でボーナスは当然はずまなくてはならない。 art osakaについては下記のリンクよりご覧ください。 -http://www.gallery-tsubaki.net/2021/art%20osaka/info.html- ●7月11日 「Life Art Exhibition」 無印良品銀座、Idee Tokyoなどで「Life Art Exhibition 」が始まった。 無印良品銀座では一階に尾関立子の作品が展示されている他、各フロアーに他の作家たちの作品が展示されている。 画廊とか美術館ではなく生活用品や家具の中にアートが展示されることで、アートが生活の一部であることを知ってもらえるいい企画である。 7月9日から9月5日まで観ることができる。 ●7月9日 寺田コレクション 寺田小太郎 「いのちの記録」コレクションよ、永遠に 多摩美術大学美術館で今日から始まった。 40年を超えるお付き合いをさせていただいたコレクター寺田氏のコレクションに再び出会うことができた。 寺田氏はそのコレクションをオペラシティアートギャラリーをはじめ多くの美術館に寄贈されその数は4500点に及ぶ。 寄贈されていない作品を含めるとおそらく7000点を超える美術品を蒐集された稀有のコレクターである。 多くの無名のアーティストを支えていただき、私の今があるのは寺田氏のおかげと言っても過言ではない。 美術館に寄贈することで再びコレクションされた作品に光が当たることとなり、アーティストにとってこれほど嬉しいことはないだろう。 前編、後編に分かれていて、後編には私どものアーティストの作品が多数出品されることになっている。 今回の展覧会では寺田氏の本業であった造園業にもスポットをあて、自然の造形と美の探求の関連にも触れている。 前期 7月10日〜9月20日 後編 10月2日〜11月22日 ●7月8日 ポーラミュージアムアネックス ポーラミュージアムアネックスから9月に開催される中村萌個展のリリースがアップされたので紹介させていただく。 ギャラリー椿でも同時に個展を開催する。 こちらはリリースの準備が出来次第紹介させていただく。 信号を一つ隔てた直近のスペースでの開催となり、両会場を行き来しつつ展覧会を楽しんでいただきたい。 国内初の大型個展 『our whereabouts -私たちの行方-』 ポーラミュージアムアネックスにて 展覧会名:中村萌「our whereabouts - 私たちの行方 -」 会 期:2021 年 9 月 3 日(金)- 10 月 10 日(日)[38 日間] ※会期中無休 開館時間:11:00 - 19:00 (入場は 18:30 まで) / 入 場 料:無料 会 場:ポーラ ミュージアム アネックス (〒104-0061 中央区銀座 1-7-7 ポーラ銀座ビル 3 階) アクセス:東京メトロ 銀座一丁目駅 7 番出口すぐ / 東京メトロ 銀座駅 A9 番出口から徒歩 6 分 主 催:株式会社ポーラ・オルビスホールディングス 協 力:ギャラリー椿
http://www.po-holdings.co.jp/m-annex/ ※諸事情により内容が変更になる場合がございます。ギャラリーHP で最新の情報をご確認のうえ、ご来場をお願い致します。 【リリースに関するお問い合わせ】 株式会社ポーラ・オルビスホールディングス コーポレートコミュニケーション室 info-annex@po-holdings.co.jp TEL 03-3563-5540 / FAX 03-3563-5543 【読 者 か ら の お 問 い 合 わ せ 先 】 ポーラ ミュージアム アネックス TEL 050-5541-8600(ハローダイヤル) 詳細はこちらから
https://www.po-holdings.co.jp/news/pdf/20210708_csr.pdf ●7月2日 コロナ感染 スコットランドでは行われたサッカー欧州選手権で観戦者を通して1900人がコロナに感染したというニュースが流れた。 いよいよ東京ではオリパラが始まるが大丈夫だろうか。 東京の感染者も再び増加傾向にある。 酒類提供の自粛がまた取り沙汰されている。 政府や自治体が色々と施策を講じるが収まる気配はない。 テレビのインタビューで、政府ががどうのこうのと言うよりは人それぞれの自覚ではと答える人がいた。 まさに正論である。 休みの日に家内とうちの隣にあるお店で昼を食べていると、食事を終えた若い男女が数人でマスクもせずに大声で喋ったりバカ笑いをしていて、それが延々と続き、思わず注意しようとしたが家内に喧嘩になるからやめなさいと止められた。 默食とまでは言わないが、せめて食事が終わったらさっさと帰って欲しいものである。 若い人は感染しても重症化しないと言うが、感染が学校や職場、家庭に広がると言う自覚がないのだろうか。 画廊でも微熱が出たスタッフに無理せず5日ほど休んでもらい、念のためPCR検査も受けてもらった。 結果は陰性で、どうやら小学生の息子さんの風邪がうつったようだ。 お客様商売をしているので、万が一も懸念しスタッフ達も万全を期してほしい。 オリパラで海外からも多くの人がやってくる。 心配の種は尽きない。 ●7月1日 現代アートバブル 早いもので一年の半分が過ぎ今日から7月。 梅雨入り宣言があってからは天気予報は雨マークが多いにもかかわらず、大した雨も降らず、展覧会の人出にもそれほどの影響がなく喜んでいたのだが。 ところが昨日の夜からは大粒の雨が降り続き、今日一日も止みそうにもない梅雨空となった。 昨日まで画廊はSPES展の抽選申し込みの整理に追われていたが、ようやく抽選も終わり当選者への告知メールの準備も整い、1日遅れだが今日から当選した方には嬉しいニュースをお届けすることができる。 ただこうした状況を手放しで喜んではおられず、もう少し冷静な眼で見る必要があるのではないだろうか。 今、現代アートはバブルの様相を呈していて、今回のSPES展もその流れの中に入ってしまったようだ。 国内外のオークションでは、イラスト、コミック系のアートの高騰が続き、(かたや日本市場だけだが美人画人気も高い)こうした作家の作品には注文が殺到していて、私のところと同じように抽選など今まで考えられなかった状況が続いているようだ。 おそらくコロナ禍で、使い道がなくなったITやファンド、不動産といった業種の若手経営者のお金がこうした現代アートなどに流れ込んできているのだろう。 これはアートだけではなく、株や金、タワマン、高級時計、貴金属、はたまたウィスキーやワインも同様で、、高騰に拍車がかかっている。 今回の展覧会でも今まで見たこともないような若い人が多く来ていて抽選に参加をしていたのもそうした現象の一つかもしれない。 巷ではバブル期末期にあったような投機を目的とした高額美術品の共同所有などの広告が流れ、経済誌や一般紙も現代アート特集を組み、投機熱を掻き立てるような記事が目立つようになってきた。 こうしたことが起きてくると、もはや末期症状といっていいのかも知れず、手当てをしないと瀕死状態に陥ってしまうのではないかと危惧する。 バブル崩壊もそうだが、こうした状況はいずれはじけるのが常であり、私も50年を超える経験の中でこうした悲喜劇を何度も見てきた。 ついこの前まで無名のアーティストの作品に1000万円を超える値がつき、それが当たり前のように売れていき、結果あっという間に暴落し、私自身も昭和48年のオイルショック時には、そうした憂き目に遭い、取り返しのつかないような痛い目に遭った経験がある。 振り返るとその時の渦中にあったアーティスト達は数人を残し全て消えていった。 それだけに今の現状に有頂天にならず、先を見据え、私どもが関わる作家さんが露頭に迷うようなことはしたくない。 そのためにも高みを目指すのではなく、長きに亘り作品を愛し、特定の作家だけを求めるにわかコレクターや画商ではなく、私どもの多くの作家たちを支えてくださる真のお客様とともに地道に歩んでいきたいと思っている。 ●6月29日 抽選締め切り SPES展の抽選は土曜日にて締め切った。 日月とお休みをいただき、本日抽選申し込みシートを確認し、作品ごとに抽選をさせていただく。 出品作品76点、うちエディション作品が7点あるが、申し込み総数が何と620件となった。 抽選申し込みがなかった作品は8点でこちらは改めて先着順にてお申し込みをいただくことにしている。 こちらは下記をご覧いただくと確認ができる。
http://www.gallery-tsubaki.net/2021/Spes/Spes_list_Gallery%20Tsubaki210629.pdf 私どもの予想をはるかに超える多くの数の申し込みがあったこと厚くお礼を申し上げる。 明日から当選された方には順次ご連絡をさせていただくが、ご連絡のいかなかった方は大変申し訳ないが次の機会をお待ちいただきたい。 尚、抽選結果については混乱をきたすのでお問い合わせはご遠慮いただきたい。 ●6月24日 お客様の投稿 お客様からの投稿が心に響いた。 私も同じ思いでいたので我が意を得たりでとても嬉しい。 ギャラリー椿で開催中の「SPES」展を見に行った。 9人のアーティストによる見応えのある展示。 特に岩渕華林さんの、和紙に墨や鉛筆を使って描いた絵がとても良いなと思った。 いま、巷ではやりの「美人画」を私は好きでない。それはただ若さゆえの混乱と過剰な自意識と稚拙さばかりが目について全く美しさを感じ取れない「美人画」があまりにも多いから。 だが今回の岩渕さんの絵には確かに豊潤な「美」が感じられ、改めて素晴らしい作家だと思った。 全ての作品が抽選販売なので数点に申し込み。倍率は高いと思うが、当たるといいなぁ 下記のリンクから作品を見ることができます。
http://www.gallery-tsubaki.net/2021/Spes/info.htm ●6月23日 抽選申し込み 緊急事態宣言が解除となり、初日、二日とSPES展も賑わいを見せている。 油断はできないが、私が2回目のワクチンを終えたことで気分的にも楽になり、大勢のお客様で賑わう会場を見ていると今までの不安も一掃されるようだ。 今回出品の作家たちは皆人気作家ということもあって、購入希望が殺到することが予想され、お申し出のお客様には申し訳ないが抽選とさせていただいた。 ただ、出品作品のインフォーメーションが初日ギリギリとなったこともあり、勢いこんだ割には事前の問い合わせが少なく、一抹の不安を覚えながらのスタートとなった。 ところがどっこいで、蓋を開けると同時に抽選申し込みのメールが雪崩の如く押し寄せ、会場にも早くから投票用紙を片手にじっくり作品を見さだめる人が多く見られ、そうした不安も杞憂となった。 来られている方も従来のお客様だけでなく比較的若い年齢層の方が多く、美術ファの裾野が広がっているのか、はたまた現代美術バブルに乗った人たちなのかは定かではないが。 抽選申し込みの数は二日間で300をはるかに超え、今朝もパソコンを開けるとずらっと申し込みメールが並んでいる。 どの作家の作品にも申し込みは来ているのだが、一部の作家の作品には相当数の申し込みが集中していて、他の作家の作品の方が当選確率が高く、その辺を考慮して申し込んでいただくと大変ありがたい。 今週いっぱい抽選申し込みを受付け、来週には当選した方には連絡をさせていただく。 当たらなかった方には連絡が行かないことでご了承をいただき、画廊への問い合わせはお控え願いたい。 落札された作品はホームページにてご案内をさせていただき、結果残った作品は先着順にて販売する事にさせていただく。 残り物に福ではないがそちらも楽しみにしていただければ幸いである。 最後に一つお願いがあり、山本麻友香のフィギュア作品は見本となっていて、作品制作はこれからとなることもあり、抽選に当たった方は予約ということで、かなりのお時間をいただくことをご了解いただきたい。 ●6月19日 「SPES」展開催 梅雨に入り今日は本格的に雨が降るようだが、そんな中9名のアーティストによるグループ展「SPES」が始まる。 会場には70点余の力作が陳ぶ。 作品リストがまだ出来ていないが、出来次第ホームページ、SNSにて紹介させていただくのでご覧いただきたい。 人気の作品ばかりなので、今回は全て抽選とさせていただき、会期が始まって一週間後に抽選をさせていただき順次当選の方にはお知らせをさせていただく。 複数の作品への申し込みも可とさせていただく。 抽選後お知らせの通知がなかった方は残念ながら当選しなかったということでご了承をいただきたい。 抽選の対象とならなかった作品はその後先着順にて販売をさせていただくことにしている。 抽選の申し込みの方法もホームページにて作品リストと共にご案内をさせていただくのでご覧いただきたい。 画廊に来られた方は直接に、来られない方はメールまたはFAXにて申し込んでいただき、電話では聞き間違いがあるのでお断りをさせていただく。 お客様にはご厄介をかけることになり大変申し訳ないがご理解をいただきたい。 緊急事態宣言が解除されたとはいえ、まだコロナ禍が続く中くれぐれもお気をつけいただき是非のお越しをお待ちしている。 ●6月15日 ART OSAKA 久しぶりにアート大阪に参加する。 コロナ禍で海外のフェアも昨年来全て参加を取りやめにしていてフラストレーションも溜まっていた。 そんな折、アート大阪の案内が来た。 以前は参加していたホテルの部屋を使ったホテルフェアだったが、狭いのと大阪の暑さがきつく、ここ数年は参加を見合わせていた。 今回は中之島にある歴史的建造物の中央公会堂を使って開かれるということでブースも広いこともあり、久しぶりに参加の申し込みをした。 幸い選考に通り、久々の大阪のフェアへの参加である。 アート大阪はアートフェアのはしりで、CASOという名称で大阪の南港で開催されたのが始まりだった。 その時の主催者で長年の知己があるギャラリー山口のオーナー山口氏に誘われて参加をすることになったのだが。 まだ大阪というよりは日本でアートフェアの黎明期で認知度も少なく、さらには大阪の中心から外れたところでの開催ということもあって、成功とは言い難いフェアであった。 山口氏には名前のCASOが過疎に聞こえて仕方がないと言ったのを覚えている。 そこからホテルフェアに移行し、現在は大阪の若手美術商のグループによる主催となり、大阪だけではなく東京でもホテルフェアを開催するようになり、年と共に盛んになってきたフェアである。 大阪では大学を卒業して5年間当時の一番の大手画廊であった梅田画廊にお世話になった。 ここでは社長宅に住み込みで働いていて、いわゆる丁稚奉公というのを経験した。 当時は大阪万博があり、絵画ブームも到来し、大阪の美術市場が一番華やかな時期でもあった。 その後のオイルショックによる美術品の大暴落も味わったが、私にとっては美術商のいい時期悪い時期を一度に凝縮して経験した思い出深い所である。 そんなこともあって、今回このような時期ではあるが、久しぶりの参加を楽しみにしている。 ●6月9日 ワクチン接種 6日の日曜日に家内ともども2回目のワクチン接種を終えた。 これで一安心。 お客様商売をしているので自分の安全もそうだが他人に感染しないためにも早くワクチンを打つことができてホッとしている。 ワクチン打つなという人もいるが、こういう人は概して理屈っぽく、自分の得た知識をひけらかし、いかにワクチンが怖いかを声高に語る。 打つ打たないは自己責任であって他人に強制するものではないと思うのだが、こういう輩に限って何だかんだとお節介をやいてくる。 コロナが蔓延し始めた頃、そんなに騒ぎ立てることはなく、インフルエンザよりはマシであると叫んでいたご仁もいたが、これだけ世界で蔓延し死者もインフルエンザをはるかに超えることになると、何も言わなくなってしまった。 ワクチンもそうなってくれることを願い、私のような小市民は大きな流れに身を任せることにしている。 ●6月8日 「spes」展 6月19日(土)より9名のアーティストによるグループ展「SPES」が始まる。 SPESとはラテン語で希望、勇気と言った意味を表す言葉である。 コロナ禍にあってアートの力で沈みがちにな気持ちを奮い起こすことができればとこのタイトルを付けさせていただいた。 立体を中心に癒し系の作品が並ぶ。 心が和み晴れやかな気持ちになっていただければ幸いである 尚、大変申し訳ないが作品は全て抽選となることをご了承いただきたい。 ●6月7日 骨董通り 先日銀座百点について書いた折、京橋界隈がアートゾーになっていて、「京橋アートゾーン百点」みたいなものができたらいいなと書いたが、何と「京橋、日本橋骨董通りマップ」というものが送られてきた。 現在京橋に本社ビルを建築中の戸田建設が発行した小冊子である。 そこに100を超える古美術店や画廊が紹介されている。 実際は150を超える美術商が軒を連ね、マップには銀座に次ぐと書かれているが、銀座を超えるアート密集地となっている。 銀座はどちらかというと近代美術系の画廊が多く集まり、京橋日本橋は古美術、現代美術の専門店が多いといった違いがある。 特に古美術店は日本橋から京橋を繋ぐ東中通りに集中し、日本橋の壺中居から京橋の繭山龍泉堂までが骨董通りと呼ばれている。 現代美術では伝説の画廊「南画廊」があったところで、その後南天子画廊や佐谷画廊、かんらん舎、かねこアートといった現代美術のパイオニアの画廊が開廊し、 私もそこに惹かれて銀座よりは京橋とその一角に38年前にギャラリー椿をオープンした。 当時はまだ上記の画廊があったくらいで、今のような数ではなかったこともあり、このエリアを現代美術のメッカにしたいと思い、南天子、かねこ、 かんらん舎やその後に参入したユマニテ、トコロ、池田美術、東邦画廊などに声をかけ、銀座一丁目を含め京橋界隈と名付けて、同時企画やオークションなどを開催した。 そのことが呼び水になったのかもしれないが、多くの現代美術系の画廊が集まるようになり、今の賑わいとなった。 古美術、現代美術はともに海外のコレクターからの関心も多く、コロナが終息した後は、国際的なアートゾーンとなることを願っている。 ●6月2日 アート振興政策の動向 5月28日、主催文化庁、財務省、協力全国美術商連合会によるアート振興の動向、保税地域の活用に関する説明会がオンラインにて開催された。 まずは文化庁文化経済国際課課長補佐の林保太氏より近年のアート振興政策の動向についての説明がなされた。 平成25年に政府予算案に「現代アート」を対象とした文化庁予算が初めて計上。 平成26年「現代美術の海外発信に関する検討会」が設置。 現代美術の海外発信について短、中、長期目標を設定。 平成27年国税調庁通達の改正により美術品の減価償却が20万円から100万円に変更。 平成28年文化庁の京都移転決定。 平成29年内閣官房文化経済戦略特別チーム設置 文化芸術基本法成立 平成30年政府予算「アート市場活性化事業」計上 文化経済戦略 「美術館機能強化、国際ネットワーク構築などをアート市場の活性化」が重点戦略 自民党政調文化立国調査会アート市場活性化小委員会発足 文化財保護法改正 令和元年税制改正 登録美術品に係る物納の特例に制作者が生存中の美術品も加える 令和2年財務省関税局 国際的オークションやアートフェア開催に際し、保税地域の活用を明示。 令和3年文化審議会アート市場活性化ワーキンググループ報告書「文化芸術立国の実現に向けて」公表 以上の説明があった。 次に財務省関税局監視課 保税調査官 川上司氏より保税措置に関する通達改正及び保税許可申請手続きについての説明があった。 保税地域とは輸入許可前の海外からの貨物、または輸出の許可を受けた貨物を「外国貨物」とされ、税関長が外国貨物を置く許可した場所 民間企業の申請で税関長が許可した場所を保税蔵置き場という。 保税地域において国際的なオークション、ギャラリー、アートフェアが許可を受けて作品の展示販売が可能になった。 販売された外国貨物が国内に引き取られるときは輸入となるので関税の納付をしなくてはならないが、販売されず輸入されることなく、外国へ送られる時は関税の納付の必要はない。 今までは販売の有無に関わらず、一度輸入したものには関税が課せられ、外国に戻すときに改めて関税を戻す手続きをしなくてはならなかった。 保税蔵置場の許可を受けたギャラリーや倉庫にアートフェアやオークションから運送するときは保税運送の承認申請ができる。 面倒な手続きはあるが、これによりアートフェアやオークションに海外のギャラリーが参加しやすくなり、アート市場の活性化につながる。 以上保税についての説明がなされた。 海外に比べるとまだまだの感はあるが、行政も少しづつアートの活性化に向けた施策を講じていることへの理解を深めることができた。 ●6月1日 木村繁之個展。 GT2では大島とは対照的な手のひら大の繊細で可憐な木彫作品が並ぶ。 木版用の彫刻刀と木版に使う絵の具で彩色された作品はどこか唐の時代の出土品を彷彿とさせる。 台湾の故宮美術館で見た唐三彩の女官の姿体と重なる作品もある。 デリケートな表現から奏でられる音色が観る者の心の奥底で響く。 ●6月1日 大島康幸展。 画廊では二つの木彫展が始まりまった。 一つは広いスペースで大島康幸展。 ダイナミックかつ繊細な表現は圧倒される。 動物や爬虫類だけでなく今回は人をイメージした作品も発表した。 どの作品も実体のない皮膜の表現と一部のリアリズムがバランスを取り合い、不可思議な存在感を感じさせてくれる。 木彫とは思えない材質感を体感していただきたい。 ●5月29日 「銀座百店」 銀座の文化的タウン誌「銀座百店」の「私のとっておき」に銀座ヨシノヤのマネージャーさんがギャラリー椿を紹介してくださった。 並み居る銀座の名店ではなく、京橋の私どもを紹介していただき感謝に堪えない。 「銀座百店」誌は創刊から70年近く経つ歴史ある冊子で、銀座百店に名前を連ねるのも一種のステータスで、並大抵のことではない。 京橋は老舗のお店が多くある銀座や日本橋と違い、デパートも映画館もなく、どちらかというとビジネス街といっていいかもしれない。 ただ、画廊や古美術店は今や日本の中でも一番多く集まっているところで、ブリヂストン美術館があり、近くには出光、三菱一号館、東京ステーションギャラリーなどもあって、アートの香り高い街といっていいかもしれない。 私もこの地に画廊を出して、40年になろうとしていて、この界隈では古株の画廊となった。 「銀座百店」同様に「京橋アートゾーン百店」のようなものが出来て、京橋が国内はもとより、海外にもアートのメッカとして発信できるようになればいいのだが。 ●5月26日 紋谷幹男氏展覧会印象記 紋谷幹男氏から先日の塩澤宏伸個展の印象記が送られてきましたので紹介させていただきます。 展覧会タイトルは、 ー妄想内燃機工匠 / 並走式巡行装置図鑑ー。 陶による立体作品。 緻密に再現的に作られたパーツ群を組み合わせて 「あり得ない事態」が、 「実際、ここにこうやってあるじゃないですか」的 清々しいまでの ふてぶてしさ、唯我独尊さで、 アクリケースに収まっています。 この造形的説得力は、 いい加減さ、妥協を許さない作風によるもので、 ここが緩まると、 「アート」は「趣味のクラフト」へ押し出されてしまいます。 恐竜や昆虫などの生物(有機物)と 内燃機関(無機物)の組み合わせは、 主に、意思決定と、作動部分は有機物が担い、 仕事のエネルギー部分を無機物が担い、 姿形は有機物で、 メカの部分が無機物という、 ロボコップ系サイボーグの「約束」に準じています。 情報過多によって 観る側の好奇心を刺激する。 そんな印象でした。 ●5月20日 ワクチン接種 16日に第一回目のワクチン接種を済ませ、また息子夫婦に厄介になり、6月6日に第二回目接種の予約が取れることになった。 接種会場は予約時間が大幅に遅れて大混乱、受付や案内をするスタッフを怒鳴り散らす人達も見受けられた。 65歳以上の年寄りばかりなので、会場でも右往左往、問診表の記載漏れや間違いなどもあって、混乱は避けられないようだ。 若い人より先に優先して接種を受けられることに感謝して、スタッフ達も慣れない中を一生懸命やっているので、もう少し優しい気持ちになれないものかと思いながら帰ってきた。 ●5月15日 ワクチン接種 明日、日曜日に高齢者優先のワクチンを接種する事になった。 息子夫婦がパソコンとiPad2台を使い、朝一番からウェブ予約の申し込みを頑張ってくれたおかげで、思いの外早くの予約を取ることができた。 家内は今日の午後に予約が取れ、夫婦揃って明日からは多少ほっとした日を過ごすことができそうだ。 ワクチンがどうのこうのという輩もいるが、今考えられる最善の予防策はワクチンの接種で、自分のことだけではなく、家族や他人への感染を考えると、ワクチン接種が多くの人に行き渡ることを願うばかりである。 1回目の接種でかなりの確率で感染予防ができるそうだが、変異株には効果が薄く、2回の接種が必要だそうで、これはまた息子夫婦に頼るしかない。 ネット予約というのは年寄りにはそう簡単にはできず、結局は電話や直接窓口に並ぶしか手がないようだ。 友人達もなかなか予約が取れず、私が早くに接種できることに驚いている。 これも息子夫婦のおかげである。 どちらにしても、蔓延してから一年半を超えていて、経済もそうだが、心の不安が大きく、みんな落ち着かない日を過ごしている。 神戸の震災以降、バブル崩壊、東日本の地震と原発事故、温暖化による異常気象そしてコロナの蔓延とこの25年は世界もそうなのだが、特に日本列島は痛めつけられている。 それまでは高度成長、バブルによる金満国家を謳歌していただけにそのツケが回ってきたのだろう。 私は昭和21年生まれで、戦争も体験せず、団塊の世代の一年手前で学年に人が溢れる競走世代でもなく、豊かな時代の恩恵に浴して日々のほほんと過ごしてきたのだが、50歳を過ぎてこんな時代になるとは予想もしなかった。 ただこうした苦難が、人の生き方考え方を変え、次なる時代に対応して生き抜いていくしかなく、わたしたちのような軟弱な世代と違い戦前の人たちと同様に打たれ強い強靭な精神を持った人たちが多くなっていくのかもしれない。 そういう意味では大変な時代だが、次に期待をすること大である。 ●5月12日A 崔恩知展 崔恩知は多摩美術大学に韓国から留学し、日本滞在も12年に及びます。 渡辺達正教授の指導により銅版画を学び、このたび同時に個展を開催する事になりました。 銅版画は教授の影響もありますがモノタイプ、ミックスメディアは独自の世界を展開しています。 ●5月12日 渡辺達正個展 5月31日まで緊急事態が延長されましたが、休業要請業種が緩和されたことで延期していた渡辺達正個展、崔恩知個展を今日12日から25日まで開催いたします。 多摩美術大学元教授と教え子の二人が同時にメーンスペースとサブスペースにて、それぞれの作品を発表します。 渡辺達正は銅版画と銅版ベースにしたコラージュ、彩色による作品を展示します。 ●5月7日 営業再開 11日まで都知事にはには怒られそうだが、県境を超えて河口湖の山中にある別荘に疎開している。 富士河口湖町のコロナ感染者数は1月半ばから4月半ばまで0人で、その後の1週間で4人ほどが出たようだが、東京の感染者数に比べるとすこぶる安全である。 それだけに東京からの人間は肩身を狭くしていなくてはいけないのだが、標高1000m近いところの自然の森に囲まれたところでは、人に会うこともなく、 新鮮な空気を胸いっぱい吸い込んで、東京にいる時のようにビクビクしながら過ごす心配がない。 休業要請に従って11日まで休業して、展覧会も8日からを延期して12日から始める事にしていたが、どうやら緊急事態宣言は31日まで延期になりそうである。 のんびり過ごすのはいいが、仕事ができないのは困る。 国や都の指示に従い画廊を後20日自粛休業するのは辛い。 頑張って制作してきた画家さんにも酷な話で、展覧会を楽しみにしているお客様もおられる。 昨年のこの時期は2ヶ月休廊して、展覧会の会期をずらしたり、オンラインによる販売でなんとか乗り切ったが、同じことを繰り返すには私どももいささか息切れがしてきた。 ここは腹を括り、12日から営業を再開する事にしようと思う。 そもそも画廊は飲食店やデパート、美術館などとは違い、人が密になるようなことはなく、大声で話したり飲み食いすることもない。 その美術館でも多くは12日から再開するようなので、画廊の再開は問題ないと思っている。 換気に心がけ、消毒に努め、お茶やお菓子を出すことも控えさせていただき、お客様にはソーシャルディスタンスを守っていただき、マスクの励行、手指の消毒をお願いして、安全安心で展覧会を楽しんでいただく事にした。 予約による来場も考えたが、昨年の経験で予約が面倒で来られないお客様も多く、私自身も美術館の予約が億劫で取りやめた展覧会もいくつかあった。 そんなこともあって、12時から18時の短縮営業で、電車やバスの混雑時間を避けてお越しいただければと思っている。 不自由、ご迷惑をおかけするが、ご容赦いただき是非のご来廊をお待ちしている。 ●4月25日 緊急事態宣言 25日からコロナ感染拡大により三度目の緊急事態宣言が発令された。 またかという思いが強いが致し方ない。 画廊も休業要請業種に入っているようなので、今日から画廊を閉じて、5月11日まで休廊することにした。 連休明けの5月8日からは渡辺達正個展と崔恩知個展が予定されていて、すでに案内状も配布済みということで、さてどうしたものかと悩んでいるが、5月12日からの開催に変更せざるを得ない。 作家さんやお客様には迷惑をおかけする事になるがご理解をいただきたい。 ただ何故画廊が休業要請業種なのかがよくわからない。 うちは比較的お客様が来る方だが、それでも他の業種に比べたら静かなものである。 その上コロナ禍で余計に来る人が少なく、東京都はどんな基準で決めたのか教えてもらいたいくらいである。 遊園地やゴルフ練習場が無観客で開催ができるというが、これも意味がわからない。 遊園地やゴルフ練習場は行った人が楽しむところで、それを見物する人はそんなにいないと思うのだが。 また古本屋さんや自転車屋さんも対象のようだがこれも何故なのだろうか。 画廊も含めて考えられるのは、どれも古物商の鑑札が必要な業種で、古物商という括りで指定されたとしか思えない。 小池知事も大雑把なものである。 古物商というのも不思議な法律で明治時代の法律がそのまま残っている。 この法律は盗品故買を防ぐためにできたもので、美術商も盗品と知って美術品を購入すると罰せられることになる。 同様に古本屋や自転車屋、衣料品店、貴金属店、眼鏡屋などもその対象になるが、リサイクルショップのようなところなら別だが、今時洋服を盗んで売りに出しても大したお金 にはならず、普通の衣料品店や自転車屋、眼鏡屋が古物商の対象になるのはおかしいと思うのだが。 今回の自粛で感染がおさまればいいのだが、自粛疲れと慣れや油断もあって、最初の時の緊急事態宣言のようにはいかないと思う。 それぞれが自覚して、行動に気をつけるしかないのだろう。 ●4月24日 APAGA会議 アジアパシフィック画廊協会会議(APAGA)が台湾の主催によりリモートで開催された。 今回の参加国は台湾、韓国、香港、インドネシア、シンガポール、日本の6カ国で、中国、オーストラリアが不参加。 以下は議事録から。 Josephine: 2014年台北サミットにおけるAPAGA設立の原点である出席者について紹介し、その成果を紹介。過去5年間の提携と、議長選挙に関する手続きのルールについて説明。 APAGAの議長選挙に関する議論: 崔様: 選挙を来年に延期し、議長の任期を3年にすることを提案し、原則とルールを強調。 選挙過程に関する規則 参席者からのフィードバック: 椿原様:延期の提案に同意。 張様:次期議長になる機会を得る意向を表明し、台湾は次のステップに進む用意ができている。 規則や議題についていくという提案を尊重する。 再選提案は、ここにいる参加者が議論できる公開討論。 ホリ様:コロナウィルスの期間中にオンラインで会議を実施した場合の効果についてシンガポールの経験を共有。新しい議長をオンラインで選出する可能性はある。 Kherlakian 様:香港は柔軟性があり、選挙を延期するか、オンラインで実施するか、多数の希望に従うことができる。 Papadimitrou様:インドネシアの選挙と委員会のオンラインでの会合の経験を共有。オンライン選挙は現在の状況に対する新しい戦略を考える新しい選挙と議長国を持つ機会。 張様:来期のAPAGAの発展に関する提案。 (1)東南アジアと南アジアの国々を招待 (2)現地の台湾大使館とも強固な関係を構築し、APAGA メンバーとの強固な参加を確立する。 (3)ART TAIPEI 2023 で APAGA メンバーのための特別セクションを構成し、アートマーケットレポートを発行する。 他のメンバーからのフィードバック: APAGA メンバーと共同展示会の開催について議論。 韓国:APAGA の主な目的は、国際交流を促進し、特にアジア市場を強化することである。 APAGAのメンバーはそれぞれの国で展示会などを開催することができる。 日本:展示会に参加し、メンバー国と交代でイベントを行うことは素晴らしいこと。APAGAのために特別なスペースを提供するART TAIPEIの具体的な提案に特に興味がある。 それを手始めに進めても良いかもしれない。 シンガポール:昨年11月、政府後援の第1回シンガポールアートウィークエンドの開始についての経験を共有。 5月にオープンスタジオプログラムを、8月にはグループ展を開催する予定。 オーストラリア、ニュージーランド、タイ、フィリピン、マレーシア、 インドなどを招待することを賛成。コラボレーションはアートフェアだけでなく他のプログラムもできる。 台湾チーム:シンガポールが発表したプログラムをとても楽しみにしている。 日本:政府からその支援を受けることは素晴らしい。日本では政府の支援がかなり不足。 インドネシア:政府の支援が不足。 代表者たちはパンデミック期間中にオンラインイベントを開始するというアイデアについて話し合った: インドネシアPapadimitrou 様:インドネシアの現状を共有。 ギャラリーの大部分は閉鎖されていますが、オンラインアクティビティはかなり活発。 オンラインは新しい良い機会である、オンラインイベントをそれぞれ続けれルことを提案。APAGA のパブリック化とソシアルにも良いこと。 台湾Chang 様:オンラインイベントのアイデアに非常に同意し、支持する。台湾チームはVR開発の経験と昨年よりART TAINANとART TAIPEIで開催されたオンラインフェアで、 今後のオンラインプロジェクトの開発の重要性を強調。 シンガポール ホリ様:South Southの例に言及し、オンラインで何かをすると、対象はアジアまたはアジア太平洋に限ったことではなく、インタナショナルになる。 日本 椿原様:現状を踏まえると、オンラインイベントは最も実用的で有望である。 クロージング: Choi様:今年はオンラインプラットフォームを通じて皆さんにお会いできてとても嬉しい。韓国は積極的に新議長の新事業に支援し、賛成する。 張様:アジアの勢力を結集する彼のAPAGAの設立趣旨について述べた。すべてのメンバーが協力してアジアの大勢力となることを提案。台湾はここにいる全てのメンバーの国に協力する。 椿原様:しばらくの間、旅行は難しいと思う。 今のところ、いくつかのオンラインイベントを開催し、 次のような状況がどのように実現されるかを見ることができるかもしれない。今後のAPAGAにとって良い政策かもしれない。 以上だが、コロナの状況下では難しい面があるが、台湾がAPAGAに対し積極的にその活動を推し進めようとしていることは喜ばしい限りである。 従来からのメンバーは私と韓国の代表だけで、新たな各国の代表がAPAGA各国との連携や拡大を推し進めようとしていることは、更なる発展に繋がると大いに期待をしている。 更なる発展を期待したい。 ●4月15日 美術品詐欺 高額の美術品詐欺が横行しているようだ。 偽版画といい、世の中盗人の種は尽きない。 関係各位にも注意していただきたいので、名前を騙られたギャラリーからのコメントをお伝えする。 ギャラリーと弊社スタッフの名前を無断で悪用し作品を販売して入金させるといった詐欺が昨年末より発生しており、 関係者の方々にも注意喚起のため情報をお送りさせていただきました。 詐欺にあった方々、そのようなメールを受け取っている方々は、現時点で全て外国人で海外在住者(英語でのやりとり)です。 弊社スタッフの名前とメール署名を無断で使用し、酷似したアドレスを作成して、ターゲットの方に作品紹介のメールを送っています。 (草間彌生、奈良美智、Andy Warhol, KAWS, 五木田智央, バンクシー, Nathaniel Mary Quinn, Javier Callaje, Robert Nava等の作品情報を提供しています) ターゲットの方々は、直接の弊社のお客様ではありませんが、個人コレクター、ギャラリー等、美術の購入をしている方々で、 詐欺を働いている者も 美術の知識を持っており、ディーラーとして業務をしていると見受けれられます。 その内のお一人の方は、すでに高額な金額を海外送金で支払ってしまっています。 相手側の銀行口座は、アメリカの口座ですでに3つアカウントがあることを確認しています。 他にも、海外のギャラリーが同じような被害にあっているという情報も得ており、関係者の皆様にも同じような被害に遭わないよう、 すぐに対処できるように情報をお送りさせていただいております。 被害にあわれた方は、既に現地の警察に被害届を出しており、我々も地域の警察に届け出を提出しております。 現在は、被害拡大を防ぐため、弊社から犯人と思われる者へ直接メールを送り捜査中である旨を知らせており、それ以来不審な動きはないように思われます。 関係者の皆様にもお気をつけていただくようお願いいたします。 この詐欺行為はハッキングされているわけではなく、別の類似したメールアドレスを取得してそのギャラリーになりすましてやり取りをしているため、 我々に限らず他のどのギャラリーでも被害にあう可能性が高いことが予想されます。 それ故にアート関係者の皆様に出来るだけこの件を周知徹底してもらい、このような詐欺に対しての認識を持ってもらうことが、 被害防止につながると思いますので、何卒お力をお借りさせていただければと思います。 オファーする作品が人気があるもので、値段が少し安い設定なので、気を付ければ簡単におかしいと思うものでも、つい引っかかってしまうようだ。 以上だが皆様もくれぐれも気をつけていただきたい。 ●4月14日 塩澤宏信個展VR 塩澤宏信個展がVRでご覧いただける。 全てのパーツが陶で制作され、とても陶とは思えないほど精緻に造られている。 今回は並走式内燃機関と題され、親子恐竜が仲良く並走している。 巨大な恐竜にはオートバイが内蔵され、その馬力は途方もなく大きなものとなっていて、作者の夢が具現化されている。 そのリアル感を是非ご自分の目で確かめていただきたい。 〇印をタップすると移動、拡大できる。 !印をタップすると作品データを見ることができる。 ●4月7日 オケタコレクション展 青山スパイラルホールで開催される「オケタコレクション展」のオープニングに行ってきた。 まさに今真っ只中のアートシーンが会場に展開されていた。 私どももコレクションをいただいてますが、その圧倒的なスケールの大きな作品群と質の高さに目を見張るばかりであった。 特に加藤泉の作品群は圧巻。 オケタコレクションについて。 桶田俊二・聖子夫妻が2000年代より始めたコレクション。長年、ファッションビジネスに携わってきた夫妻が、骨董の収集からスタートし、草間彌生の作品との出会いをきっかけに、コンテンポラリーアートの本格的なコレクションへと大きく踏み出した。 それぞれの作家の、最もアクティブな時期の典型的な作品、完成度の高い作品を直感的に見極める。さらに、今、勢いのある作家に着目し、「一目惚れ(love at first sight)」のように強くインスパイアされた作品をピックアップする桶田夫妻のセンスが、時代を反映した作家、作品の個性と重なり合い、ユニークなコレクションを形成している。 2016年より毎年、限定公開にてコレクション展を開催。具体、アンフォルメルの作家から草間彌生、村上隆、奈良美智、名和晃平といった現代日本のトップ・アーティストたち、またゲルハルト・リヒター、ヴォルフガング・ティルマンスなど大御所から、NYやLAのトレンドを担う作家たちの作品に加え、骨董や盆栽も展示、桶田コレクションの特徴を印象付けてきた。港区にビューイングルームを開設している。 INSTAGRAM @oketacollection ●4月7日 あれから一年 思い返すとちょうど去年の今頃は新型コロナによる感染を抑えるため、外出自粛要請が発令され、私どもも3月末から5月末まで画廊を休むことになった。 あれから一年が過ぎ、感染は収まらず、新たに変異型というウィルスまで蔓延し始めた。 街には人が溢れ、以前のような外出自粛はどこ吹く風といった状況ではあるが。 先だって開催されたアートフェア東京も大盛況で人が溢れていたそうだ。 こういうイベントが少なくなっているだけに、みんな楽しみにしていたに違いない。 主催者側は顔認証や入場制限の対策をしたようだが、それにもかかわらずで対策の効果はなかったようだ。 私も海外を含め一年以上アートフェアーに参加していないので、7月に大阪で開催される「ART OSAKA」に久しぶりに参加を申し込むことにした。 従来はホテルフェアーで開催されていたが、今回は中之島の中央公会堂が会場となる。 ホテルの一室をブースとして使うのは狭く息苦しいので参加を躊躇っていたが、公会堂のホールが会場になるとのことなので、選考に通るようだったらぜひ参加をしたい。 ただ心配なのは大阪のコロナの感染者がここにきて東京以上に増加していることである。 それも変異型の感染が増えているようで心配である。 この調子だと開催も危ぶまれるが、なんとか感染がおさまり、開催できることを願っている。 ●3月30日 VOCA展 VOCA展最終日ぎりぎり間に合った。 岩絵具、色鉛筆、水彩、写真、映像など多様な技法の作品が多く、他の公募展に比べると油彩表現の作品が極端に少ない。 テーマも観るものに問題提起をしているような作品を多く見かけた。 「FACE」展や「昭和会」展もそうだったが、そうしたコンクール形式の公募展では美術流通市場とは距離を置いた作品がほとんどで、以前のように受賞作が市場に結びつくことは難しくなっている。 逆に言えば、今の市場にはコンクールには入選しない安易な作品が氾濫していると言えるのかもしれない。 というよりはそういった作風の人はまず応募をしない。 VOCA展は公募展ではなく、全国の美術館学芸員、ジャーナリストや美術評論家などから推薦された40歳以下作家30名が選ばれ、そこから選考委員によりVOCA賞、奨励賞、佳作賞などが与えられるので、公募のように誰でも応募できるわけではない。 そのため市場からは離れた立場の人が推薦するだけに余計に市場とは無縁の人たちが選ばれるようだ。 これがいいかどうかは意見が分かれるところだが、できうれば健全な市場と研究する立場の人とが同じ目線であればと思うのだが。 ●3月25日 桜満開の中の 毎日散歩がてらに公園を通って画廊に向かうのだが、昨日今日は桜満開の中の格別の散歩であった。 昨日の代々木公園では花見の宴がコロナのために禁止されていて、公園の中は桜の周りを囲いが施されている。 花見客にとっては物足りないだろうが、ゴミも出ないし、桜の周りで大騒ぎすることもなく、私にはゆっくりと桜見ることができるので、この方がありがたい。 今日は駒場公園を通って画廊に向かうことにした。 どちらの公園も歩いて10分ほどだし、豊かな自然に囲まれ何よりの環境である。 駒場公園は代々木公園に比べこじんまりとしているが、覆い尽くすような桜が見事で、近所の子供や家族連れだけで、花見の絶好の穴場である。 ここの公園には下前田侯爵邸のお屋敷で、豪壮な洋館と閑静な日本家屋があり、更には敷地内に日本近代文学館、隣接して駒場民藝館、 ちょっと足を伸ばせば松濤美術館、戸栗美術館もあり、おすすめの散策コースである。 画廊に向かう前にリフレッシュできるのが何よりである。 代々木公園 駒場公園 ●3月24日 メダリストの死 柔道オリンピックの金メダリスト古賀稔彦氏の訃報をニュースで知った。 直接は私は知らないが、長男と弘前大学医学部社会人枠の博士課程で学び、ともに医学博士を取得しただけに、とても身近に感じていて、その訃報には驚くとともに53歳の若さでの死は柔道のの指導者として期待されていただけにさぞかし無念なことであろう。 その前には体操のメダリスト小野清子氏の訃報も報じられた。 小野先生には私が大学一年の時に体育の先生として大学に来られ、わずかな時期だったが教えていただいた。 美人で聡明でメダリストでもある先生に、若い私たちには眩しく憧れの先生であった。 その後要職につき衆議院議員にまで上り詰めた。 現在オリンピック組織委員会の長を務める橋本聖子氏の先駆者であり、東京オリンピックを楽しみにしていたのではないだろうか。 運動選手は現役時代激しいトレーニングと競技のストレスもあるのだろう、比較的早死にする選手が多い。 運動することは健康の証なのだが、あるレベルを超えると、それは体をすり減らして命と引き換えに競技に邁進するのかもしれない。 お二人のご冥福を心よりお祈り申し上げる。 ●3月18日 うじまり個展 GTUでは明日から「うじまり」個展が始まる。 仙台在住の作家で震災に翻弄されながらも制作を続け、今回は6年ぶりの個展となる。 日本画の顔料を使い黒い下地に点描による描写で、花のようでもあり、花火のようでもある。 「少しづつ大人になる」「ひびゆっくりあたためればいい」と言ったつぶやきのようなタイトルがついていて、作品の制作過程を言葉に被せているようだ。 それぞれが画面もタイトルにも拘らず、イメージを膨らませて観ていただければ幸いである。 ●3月17日 服部知佳個展 息つく間もなく、金曜日から服部知佳個展が始まる。 色が香り立つようで、画廊は服部色に染まり、一足早く春の到来。 魚、クラゲ、イソギンチャク、珊瑚など海の生き物達が透明感のある服部独自の妖艶な色彩で描かれ、まるでアクアリウムの中にいるような錯覚を覚える。 コロナ禍の中癒されにきませんか。 ●3月12日 オープンスタジオ 中村萌や三木サチコ、内田望達の制作拠点のスタジオ「クンストハウス」に行ってきた。 相模原市周辺は多摩美術大学、東京造形大学、女子美術大学があることから、卒業生達が共有するスタジオが沢山あって、毎年見て回れるオープンスタジオが開催される。 クンストハウス オープンスタジオ 会期 3月の土日、(6,7,13,14,20,21,27,28日) 時間 PM1:00?PM5:00まで 会場 神奈川相模原市 クンストハウス 地図等の詳細はSCHEDULEをご覧ください→ https://www.superopenstudio.net ●3月10日 アートフェア 先程、7月開催予定となっている台北のバーゼル系列の大きなアートフェア「ダンダイ」が、昨年に続き今年も中止にするとのメールが送られて来た。 台湾ではコロナ感染者がトータルで1000人を超えず、死者も僅か10名と日本では考えられないくらい封じ込めに成功しているにもかかわらず、中止の決断をした。 それとは逆で、日本では緊急事態宣言の延長の最中にある3月18日から「アートフェア東京2021」が強行開催される。 入場を予約制にして来場者を制限するようだが、それでも台湾や韓国と比べてもかなり狭い会場に141画廊が出展することになっていて、 密になることは避けられず、果たして大丈夫だろうかと心配になる。 アートフェア東京には参加しないが、私のところは台北のフェア「ダンダイ」には参加を申し込んでいて、これが中止になると云うことで、かなりショックである。 私どもも作家さんも準備を進めていただけに、さてどう対応していいか戸惑っている。 できれば昨年の中村萌のように、単独で展示会場を探して展覧会ができればと思っていて、急遽、会場の目処だけはつけようと台北の関係者にもあたってもらっているが、 これだけ厳しい状況だと、日本から行って展覧会を開催するのは難しいのかもしれない。 日本では、中止となった「ダンダイ」と同じ7月にオリンピックも開催の方向で進めているが、無観客にしたとしても果たしてどのくらいの国が参加してくるか疑問である。 オリンピックを目指して頑張って来た選手たちには気の毒だが、観客もいない、参加国も少ないオリンピックの開催に意味があるのだろうか。 シドニー大学の高度医療センターで医者をしている娘によると、オーストラリアでは一人でも感染者が出ると、その地域だけではなく広い範囲でロックアウトをするのだそうだ。 ワクチンもまずは海外からの入国者と接する機会の多い空港関係者、ホテルスタッフが優先だそうで、感染者が少ないこともあるのだろうか、医療従事者は後回しだそうだ。 因みにオーストラリアでは感染者は3万人には達していず、死者も900人である。 日本は約45万人、死者は8000人超である。 かくのごとく、厳しい規制を敷く国と比べ、規制の緩い日本では未だ毎日死者と感染者の数が減ることはない。 命を優先するか、経済を優先するか、難しいところだが、私のところもその渦中に巻き込まれ途方にくれている。 ●3月6日 印象記 久しぶりに紋谷幹男氏の印象記が届いた。 昨年暮に開催された開催された金井訓志展の印象記。 咲いた花の、花の部分だけが極大化されています。 光源からの光を受けた花の各部分が色を示します。 視細胞は刺激され、色を認識します。 とはいえ、人はそのような色の集合体を、 総体として感じ取りますので、 微細の個別の色には、意識しない限り注意を向けません。 金井訓志は、極大化された花を、 二次元上の色面の集合体として捉え直します。 結果、これらのドローイング群は、 克明に花を再現した花の表情ではなく、 花の見え方(感じ方ではなく)の記号化(抽象化)と言えるでしょう。 見ているだけでは出会うはずのない、 花が見せているはずの「野生」が差し出されている。 そんな印象でした。 ●3月3日 FACE展 SOMPO美術館、読売新聞社主催の公募展「FACE2021」展を見に行ってきた。 私のところで発表している高見基秀が優秀賞、内藤亜澄が入選をしていて、他の作家の作品もレベルが高いように思えた。 市場で人気のイラスト系、細密美人画系とは一線を画していて、流行に惑わされない独自の作品が目立つ。 この後開催される第一生命主催の「VOCA展」もおそらく同じ流れになるだろう。 売れる絵を描くことと審査員受けを狙う絵もどちらもそれぞれの野心であり、どちらが良くてどちらが悪いとは言えない。 ただ私が長い経験で思うのは、その野心を貫き通している作家が結果残っていくように思う。 賞とか市場とは無縁の作家でも地道に制作を続けていくことで、のちに評価される作家もたくさんいる。 私はどちらかと言うとそう言う作家を応援したいと思っているのだが。 ●2月28日 「as it is」 古美術の名店「古道具坂田」が運営する千葉の長南町の山の上にあるミニ美術館「as it is」を訪ねた。 ここでは昨年の9月から3月27日まで望月通陽展が開催されていて、私どもの望月展が終了したこともあって、ようやく見に来ることができた。 よくぞこんなところにと思う場所にあるので意を決して出かけないとなかなやって来れないところだが。 主人の坂田氏とは望月を通して以前からの知人なのだが、松濤美術館で開催された「古道具、これからの行き先 坂田和實の40年」のオープニングで会って以来で久しく会うことはなかった。 その坂田氏が病に倒れ、目白のお店もたたみ、この「as it is」も望月展終了後に閉館し、建物自体も壊すことになっているそうだ。 この建物はシンプルな建築で知られる中村好文の設計によるもので、山の中の味わい深い建物がなくなるもの寂しい限りである。 実は望月の初めての個展は、坂田の目白の店で開催され、「as it is」の終焉も望月展とはなんとも感慨深いものがある。 展示をじっくり見せてもらったが、型染め、筒描き、ガラス絵、ブロンズ、木彫、レリーフと望月の集大成とも言える展示で、 これがこのシンプルな空間に実にマッチしていて、このまま終わらせてしまうのが惜しいくらいである。 足の便も悪く、是非にとは言い難いが、お時間がある方は見てほしい展覧会である。 ●2月26日A 武田史子ギャラリーコレクション 今日からGT2では武田史子ギャラリーコレクション展が始まる。 ここに並ぶ作品の多くは偶々まとまって市場に出てきた作品で、全てが額装されていて、私が一括で購入することになった作品である。 私が今まで見ていなかった作品や絶版になった作品もあり、よくぞ私の前に出てきてくれたものと感謝している。 多くは植物をテーマにした作品で、確かな観察眼と精緻なテクニックによる作品は、その香りさえ漂わせるようで、空想の建物をテーマにした作品が多い中、 武田のもう一つの側面を見せてくれる。 新作展が主になる私どもの展示だが、過去の作品に触れることで、作家の軌跡を知ることになり、こうした展示も満更ではないと思っている。 フェースブックに河原と武田の展示を同時に見ることができ、盆と正月が一緒に来たようだとのコメントがあった。 嬉しいことである。 是非のご高覧をお待ちしている。 ●2月26日 河原朝生個展 明日から河原展が始まる。 深いマティエールで描かれた河原独特のミステリアスな作品が並ぶ。 哀愁が漂うようでいて、どこか不気味な作風は私が河原を扱う以前から惹かれていて、20年前縁あって私の画廊で個展を開催するようになった。 ローマ国立美術学校で油彩画を学び、帰国後に肉筆浮世絵を世に広め、孤高の画家長谷川利行を世に送り出した羽黒洞店主木村東介氏に見出され、初個展が開催された。 木村の死後、私同様に河原に魅入られた画廊轍で個展を重ねていたが、轍が画廊を閉じることになり、念願であった河原の個展を私どもで開催することになった。 今は亡き大コレクター寺田小太郎氏もファンの一人で、オペラシティーミュージアムに多くの作品を寄贈している。 大規模なコレクション展が同館で開催されることになっていて、そこで河原の作品のいくつかを観ることになるだろう。 また、一昨年来、札幌で事業を幅広く展開する北部グループの会長小西政秀氏の独自の視点で蒐集した作品をもとに設立された美術館「HOKUBU記念絵画館」にも 多数の作品が収蔵されることになった。 今回の出品作品の一部も北部記念絵画館に収蔵が決まっている。 ご子息である小西政幸氏は河原の作品にインスパイアされ、写真小説「DO IT」を著し、私どもでも個展に合わせ紹介させていただくことになっている。 更に美術館名は教えていただけなかったが、香港の美術館のキュレーターが選んだ大作が数点海を渡っていて、いずれの日か公開されることを楽しみにしている。 コロナ禍の折だが、是非のご高覧をお待ちしている。 ●2月24日 富士山の日 昨日2月23日は語呂合わせで富士山の日だそうだ。 そういうわけでもなかったが、画廊が2月から月曜日を休みにしたので、昨日まで三連休ということで久しぶりに河口湖に行ってきた。 富士山の日にふさわしく、絶好の天気の中、富士山の絶景を見ることができた。 家の前の朝日に染まる富士山も素晴らしかったが、千円札の裏面の富士山と同じ本栖湖からも富士の眺めを満喫した。 今年は富士山に雪が積もらず、正月に行った時も頂には雪がなく、噴火の前兆かと心配したが、今は三号目あたりまで雪が被り、まずは一安心であった。 本栖湖からは身延山の日蓮宗総本山久遠寺を訪ねることにした。 延々と山を車で登り、駐車場からはミニロープウェイがあって、歩くことなく難なく到着。 写真でもお見せするが、以前は山道を登り、急な階段を上がって、麓からここ久遠寺まで辿り着くのは容易なことではなかっただろう。 久遠寺は壮大な伽藍が続き、拝観料は無料で先のロープウェイもタダ、賽銭箱だけが置いてあるだけ。 京都の小さなお寺が1000円近くの拝観料を取るのとは大違いである。 いく棟かの伽藍を廊下伝いに巡ったが、これがまた金箔に覆われた荘厳な伽藍が続き、見応え十分である。 圧巻は本堂の天井に掲げられた「龍墨」図である。 加山又造画伯の手によるもので、11m四方の巨大な墨絵で、龍の姿は迫力満点である。 長いこと河口湖にいながら行くことのなかった久遠寺であったが、ようやく拝観することができて大満足であった。 帰りにボケ防止のお守りを買ってきた。 ●2月19日 認知症検査 今年の6月で75歳となり、後期高齢者の仲間入り。 その第一関門で、運転免許証更新前の認知症検査を受けに行ってきた。 日頃の行動を思うと不安でいっぱいだったが、結果はほぼ満点で一安心。 物忘れや思い込みも多く、家内にはボケ老人としょっちゅう言われているが、これで今夜は胸を張って帰ることができそう。 これで運転もしばらくは出来そうだが、判断力が衰えているのは間違いなく、油断は禁物である。 ●2月18日 昭和会賞 私どもで発表を続ける内藤亜澄から新人の登竜門と言われる日動画廊の「昭和会」展でグランプリを受賞したとの知らせが届いた。 同時に損保ジャパン日本興亜の公募展「FACE」展にも入賞したとのことでダブルで嬉しいニュースである。 私が初めて内藤の作品を観たのは、「シェル賞」で審査員賞を受賞した時のことであった。 このように内藤は公募展に応募し多くの審査員の目に留まり、次々に成果を出してきている。 それ以来私のところで個展を開催し、海外にも紹介してきて、内外の目利きのコレクターの目にも留まり、将来を期待する作家の一人として応援をしてきただけに、 今回の知らせは大変嬉しいことである。 ダイナミックで幻想的であり、未来を暗示するかのような内藤の画風は、とても惹かれるところで、スケールの大きい作家として今後の期待は大である。 ただ心配なのは受賞したことで、主催の日動画廊に囲い込まれることである。 以前にも、大いに期待し応援した作家が、昭和会で受賞することで囲い込まれ、予定していた個展をキャンセルしてきたことがあった。 歴史ある洋画界の重鎮画廊での発表は作家にとっては魅力的で、そうなるのも仕方がないこととは思うが、やはり複雑な思いをするのは否めない。 ただこの経験があるので、このことは作家の考え次第だと割り切るようにしている。 さらに飛躍を求めて大手画廊で発表するのも一つの選択であり、零細な私のところで細く長く発表することを選ぶのも作家の考え方一つである。 受賞したからといって、急に絵が良くなるわけでもなく、その賞も一つの評価の証と受け止め、さらに先を見据え進んでいくのが作家としての心構えではないかと思っている。 毎日新聞主催の当時は同じように注目を浴びた新人作家の登竜門「安井賞展」というのがあり、そこで大賞を受賞した作家は、 初めての個展が私のところで、それ以来いまだに私のところで発表を続けている。 その時彼に言ったのは今まで振り向かなかった人が、受賞を機に振り向くようになったくらいに思って、そこが頂点ではなく、 逆に受賞がハンディーだと思って頑張ってほしいと言ったことがある。 同じ言葉を内藤亜澄にも送りたい。 -内藤亜澄 アーティストページ- ●2月9日 税務の豆知識 顧問をしてもらっている会計事務所から事務所通信というリーフレットが毎月送られてくる。 今月は「絵画が経費で処理できる?」というテーマ。 身近な問題なので要約加筆して転載させていただく。 絵画を会社で飾ろうと思うが経費として処理できるかという質問が来た。 業務のために用いられる資産で、建物や備品は時間の経過とともにその価値が減っていく資産を原価償却資産という。 絵画や彫刻などの美術品は2015年以後に取得するものから新たな取り扱いが適用されることになった。 それ以前は一点20万円以上かどうかで判定されていたが、改正後は1点100万円未満の美術品は原則として減価償却資産に該当することになった。 ただし、金額に関係なく時間の経過により価値が減少することが明らかなものは減価償却資産として扱われる。 壁画とか屋外のモニュメントなどはそうした範疇に入る。 また展示されていなくても倉庫に保管されて維持管理ができていて、いつでも展示ができる場合は償却資産の対象となる。 償却期間は金属の彫刻などは15年、それ以外の彫刻、絵画、陶磁器などは8年となる。 額縁の費用も絵画の一部として取得価格に含まれる。 古美術品は今のところ減価償却の対象となっていない。 以上ですが参考になったでしょうか。 ●2月8日 偽版画 昨日今日の新聞,テレビニュースで「日本画巨匠の偽版画」と大きく報じられた。 報道の内容については事実であり、業界全体の問題として既に弁護士にも相談し、その対応について準備を進めているところであった。 偽版画を制作販売をした画商は私も以前に理事長をした組合のメンバーであったが、この件は許し難い由々しき問題であり、組合の信頼を著しく傷つけたということで、 この事実が判明した時点で除名処分にしている。 また、全国美術商連合会の理事長の呼びかけで、各美術商組合や交換会(美術業者だけのオークション)の代表が集まり、業界全体の問題として捉え、 「臨時偽物版画調査委員会」を設立し、判明した偽版画の対象となる作品については東美鑑定評価機構を通して鑑定をすることになった。 すでに警察では著作権侵害ということで捜査を進めていて、詳しい内容についてはいずれ解明されることになるだろう。 ●2月6日 小原馨展 今日からGT2では小原馨展が始まる。 彼も望月同様に古い付き合いである。 うちの元スタッフが彼の奥さんという縁もある。 小原が作品を持ち込んでみてほしいというのがきっかけだった。 当時彼は盲学校で子供たちに美術を教えていた。 目の見えない子供達に美術を教えるのは並大抵のことではない。 色も形も健常者と違い認識ができない。 それでも形は手で触ることで漠然と判るが全体像を立体的に把握するのは難しい。 小原は手の感触で作品を作ることを教えた。 ドロドロに溶かした紙を伸ばし、子供たちはその紙を引っ掻いたり摘んだりして形を作っていく。 本人達には実体の感覚がないままに線や形が創出されていく。 そこには当たり前に形や線を認識する健常者と違った手によるイメージだけの絵画が生まれる。 それは小原にとっては新鮮な形であり線であった。 子供たちに触発されて、小原は「子供の情景」というタイトルの作品を制作するようになった。 それが今に繋がり、「子供の時間」というタイトルの連作が生まれ、今回の発表になった。 紙に染み込む色彩は微妙に混ざり合い、海や空の色を見るかのように遠く深い色となる。 線や形も自在に躍動し、その融合からポエジーが生まれる。 パウル・クレーがそうであったように、小原の絵画から音が聞こえ詩が奏でられる。 コロナ禍の中、小原の作品を観ることで、少しでも荒んだ心が癒され揺さぶられれば幸いである。 他の作品画像はこちらから http://www.gallery-tsubaki.net/2021/kaoru_obara/works.html ●2月5日 望月通陽展 ギャラリー椿オークションも終了し、はや2月。 緊急事態宣言は更に延長されましたが、私どもではめげずに今年初の二つの個展が明日から始まります。 一人は望月通陽、もう一人が小原馨で二人とも長きにわたりお付き合いをさせていただいているアーティストです。 特に望月は私が新たに独立して京橋にギャラリー椿を構えて最初の個展をやらせていただいた大変ご縁のある作家であります。 当時は彼は全く無名の染色家で、個展は絵画と違い染色ということもあってか、また開いたばかりの画廊ということもあって、会期中ほとんど訪ねてくる人はいませんでした。 その彼が今や染色界と言っても伝統工芸の世界ではありませんが、そうした中では第一人者と目されていて、染色にとどまらず絵画、立体をはじめ多方面で活躍をしております。 特にブックデザイナーとしては大手出版社では欠かせない存在となっていて、装丁画集というのが出てもおかしくないほど素晴らしい仕事を数多くしております。 尤も新潮社が創立百年を記念して望月の画集も出したくらいですから、装丁集の出版ももさほど遠くない話のように思います。 今回は染色でも型染めと違い筒描きという糊を筒から絞り出して描く技法で、それを絵画表現だけではなく、王羲之の書のような文字による筒描き作品も多く出品されています。 中でもヨブ記の一節を表した超絶的な技法による作品は実に見事で、絵画以上の表現といっても過言ではありません。 コロナ禍の中、大変な時期ではありますが、その卓越した表現をぜひご覧ください。 小原馨の紹介は次の日記にて。 他の作品写真はこちらから http://www.gallery-tsubaki.net/2021/Michiaki_Mochizuki/works.html ●1月28日 フェースブックより 去年の今頃、中国の展覧会でFBにこんな事を書いていました。 それから一年、中国のことを心配していたのが、それどころではなくなり、日本も今や二度目の緊急事態が出されるまでになってしまいました。 アートの力がどこまで発揮できるかは分かりませんが、作家の皆さんとともに作品を発表し続けることで、少しでも皆さんに勇気、元気を与えることができたらと思っています。 2020年1月26日 新型肺炎が中国で猛威を振るっている。 日本を始め諸外国にも感染は広がり、不安はつのるばかりである。 4月から7月にかけて中国7都市で私どもの作家30名による展覧会が予定されていて、果たして実施できるのか心配になってきた。 参加を予定している作家さん達も動揺しているに違いない。 恐らく発表される中国の感染者や死者はそんな数字ではないと思っている。 そんな時にのこのこ出かけて行って、展覧会ををやっていいものか、それどころではない状況なのに決まったことだから展覧会は計画通りにやって欲しいとはとても言えない。 今日も中国側と連絡を取り、無理なようなら延期もしくは中止もやむを得ないと伝えてある。 ただ私の考えは正直なところ真逆なことを考えている。 こういう時だからこそ迷惑でなければ展覧会を本当はやりたいと思っている。 アートの力がどのくらいあるかは知らないが、不安に慄き身を竦める人がいるならば、展覧会を開き中国の人たちに見てもらい、 少しでも癒しになったり、勇気付けることができるならと思う。 神戸の震災の時に避難所に行って歌を歌い続ける人がいたそうだ。 こんな時に何だと思う人もいたそうだが、だんだんと人が集まりじっと歌声に耳を傾ける人たちが増えていったという。 物資を送ったりボランティアで被災地で復旧に手助けをする人もいるが、音楽が被災者の人たちの救いになっていることを知った。 原発事故の風評で疎開先でいじめにあったり、海外で福島の野菜や魚の輸入を禁止した国も多い。 もう少し被災地や被災者の身になって考えたらどうなのかと思ったものである。 中国の人たちを避けるのではなく、寄り添うことも大事ではないかと私は思う。 参加者が減っても私はできれば展覧会をやりたいと思っている。 中国の関係者にもその思いは伝えてある。 ●1月25日 オークション終了 オークション無事終了。 コロナ禍と週末の悪天候の中にあって結果はまずまずといったところでしょうか。 緊急事態宣言下、寒さの中をお越しいただいた多くの方に厚くお礼申し上げます。 いつものオークションに比べて落札率、落札総額は劣りますが、正直なところ今回のオークションは殆どお客様には来ていただけないものと思っておりました。 当然落札も微々たるものと予測をしていました。 そのために急遽作品を撮影し、オンラインによるオークションへの参加をお願いすることにしました。 その効果もありメールやFAXによる入札もありましたが、それ以上に初日にたくさんの方に来ていただいたのには感激しました。 やはり絵好きな方達にとっては一年に一度のオークションで掘り出し物を探すことが楽しみなことを改めて実感させられました。 落札の詳細はホームページに掲載されておりますのでご確認ください。 また落札された方には請求書を送らせていただきますのでご入金と引き取りをよろしくお願いいたします。 配送希望の方はお申し出ください。 不落札の方にはお知らせは届きませんので、ご不明の方はホームページにてお確かめください。 なお同額落札の方は私どもが代行しジャンケンにて落札者を決めさせていただきましたのでご了承ください。 今一度皆様にお礼を申し上げ、引き続きのご厚誼をよろしくお願い申し上げます。 ●1月24日 冷雨 予報通り昨日今日と冷たい雨が降っています。 幸い雪にはなりませんでしたが、雨は止みそうにありません。 暮れからずっと雨が降らず、乾燥しきっていただけに雨が降るのを願ってはいましたが、よりによってオークションの時に降るとは。 私は友人達には稀代の雨男として知られていて、ゴルフや旅行に友人たちと出かけるとかなりの確率で雨になります。 晴天下でゴルフをしていると突然空が掻き曇り雹が降ってきたり、台風が日本列島を襲うという予報の中、 釜山に行った折には進路が急に変わり釜山を直撃し大変な目にあったこともあります。 数え上げたらキリがありませんが、嵐を呼ぶ男とも言われております。 日照りでお困りの時は私を呼んでいただければ喜んで参上いたします。 そんなわけで今年も年明けから雨力を発揮しておりますが、そんな中でも画廊にお越しいただき熱心に作品を品定めし、 入札していただく方も多く、大変ありがたい事と心より感謝申し上げます。 今日明日とあと2日ありますので、ご興味のある方はこんな中ではありますがぜひご参加ください。 コロナ禍の中、来ることが叶わない方にはギャラリーのホームページのリストと画像をご覧いただき、メールやFAXにて入札いただくこともできます。 こうした状況下の中で開催できたことだけでも大変有難いことで、これもご出品いただいたお客様、悪条件の中お越しいただいたお客様のお蔭と厚くお礼申し上げます。 引き続きのご支援よろしくお願い申し上げます。 ●1月22日 オークションスタート オークション始まりました。 緊急事態宣言下にあって、蓋を開けてもお客様が来てくださるか心配しましたが、心配は杞憂となり、来る人が途絶えることはありませんでした。 と言っても密になるほどではなく、じっくりと作品を見定め、入札していってくださいました。 また画像をホームページに掲載したことで、お越しいただけない方からもメールやFAXで入札をいただいております。 土日は雨模様で少し心配ですが、今日のような具合で皆様に来ていただければ有難いのですが。 ●1月20日 ギャラリー椿オークション 22日よりいよいよオークションが始まります。 準備もほぼ整い皆様のお越しを待つばかりですが、今回ばかりはそうもいきません。 WEBによる画像紹介もほぼ終わりましたので、お越しいただけない方には、こちらをご覧いただきオークションにご参加ください。 詳細は以下の通りです。 ギャラリー椿オークション2021 【オークションの開催につきまして】 ギャラリー椿オークション2021は1月22日〜25日の日程にて予定通り開催いたします。 現在の状況を踏まえ、オンラインからもオークションへご参加いただけますよう出品作品の画像をwebにて公開致します。 ご入札をご希望のお客様は、参加方法をご確認・ご了承の上メールまたはFAXにてご入札ください。 ギャラリーでは従来通り作品を展示致しますので作品を実際にご覧頂くことも可能です。 ご来廊の折は必ずマスクを着用の上、アルコール消毒をしていただくなど感染予防のためご協力をお願い致します。 会場が混雑した場合には入場制限などさせて頂きますのでご了承ください。 皆さまに安全に楽しんでいただけますよう準備を進めて参りますので是非ご参加下さい。 今後も状況により変更が生じる場合が御座います。 ギャラリーのウェブサイト、SNSにてご確認下さい。 2021年1月22日[金] - 25日[月] 22 January − 25 January , 2021 会期中無休 / 12:00AM - 6:00PM 24日[日]は営業いたします。 25日16:30 入札締め切り 17:00より開札 --- リストはこちらから http://www.gallery-tsubaki.net 画像はこちらから http://www.gallery-tsubaki.net http://www.gallery-tsubaki.net http://www.gallery-tsubaki.net http://www.gallery-tsubaki.net http://www.gallery-tsubaki.net http://www.gallery-tsubaki.net ●1月12日 仕事始め 今日から仕事始めです。 今年はコロナ騒動から幕が開きました。 昨年から続くコロナ感染が更に増加し、1月7日には再び緊急事態宣言が発令され、暗雲垂れ込める新年となりました。 私どももそれに備え、長い冬休みを取ったつもりでおりましたがそれどころではなく、一応2月7日まで自粛要請がなされております。 その間の私どもの予定は1月22日から25日まで「ギャラリー椿オークション2021」が予定されております。 本来は昨年8月に開催予定でしたが、当時の状況を鑑み、延期として今年1月に開催を予定しており、昨年末には出品リストも皆様に送らせていただいておりました。 今回は多くのお客様から売却依頼の作品が来ており、またオークションについての作品問い合わせもすでにいくつかきております。 そんなこともあり、苦渋の決断ですが今回は実施ということにさせていただきます。 但し、オークション前日の1月21日までは画廊は閉廊とさせていただき、画廊内にてオークションの準備をさせていただくことにいたしました。 スタッフもその間は行き帰りのリスクを少なくするためにフレキシブルに出勤することにいたします。 ご用事のある方は前もって電話にてアポイントを取っていただいた上でお越しいただければと存じます。 また従来ですとリストを参考にお問い合わせをいただくか、会場ライブで作品をご覧いただき入札をしていたでいておりましたが、 今回は全作品画像を掲載したPDFを作成し、皆様にはそれをダウンロードしていただいた上で作品をご覧いただき、メールもしくはFAXにて入札をしたいただくようにいたしました。 また、会場には従来通り作品を展示させていただき直接ご覧いただくことも可能です。 但し、ご来廊の折はマスク着用の上、入り口にて検温、アルコール消毒をしていただき、ソーシャルディスタンスをとって、ご覧いただくことにいたします。 私どもも出来うる限りの安心、安全の準備で皆様をお迎えすることにいたしておりますので、どうぞご無理のな範囲でお越しいただければと存じます。 大変な幕開けとなってしまいましたが、皆様のご支援のもと今年も何卒よろしくお願い申し上げます。 ●12月28日 来年は丑年。 かって、農家では牛を飼っていて、水田を耕したり重い荷物を運んだり、農家にとってはかけがえのない大切な動物でした。 台湾の知人には牛肉を食べない方がおられます。 宗教上の理由かと聞くとそうではなく、牛は一家のために一生懸命働いてお金をもたらしてくれるということで、牛肉を食べないのだそうです。 それだけ人にとっては身近な動物だったようです。 コロナで今年は大変な一年でした。 亡くなられた方も多く、画廊の近所でもお店を閉じたり、長く休業しているところがいくつかあり、私どもも4月5月とは休業を余儀なくされました。 営業時間も短縮したり、展覧会に来ていただく方を予約制にしたりと、今までにない経験をいたしました。 幸いオンラインによる作品紹介で国内外の方から多くのご注文をいただき、この苦難の年を乗り切ることができました。 これも皆様の支えがあってこそと心より感謝申し上げます。 まだまだコロナの勢いが収まる目処が立ちません。 来年もまたコロナに振り回される年になりそうですが、牛のように牛歩の歩みで慌てずゆっくりと時の流れに身を任せながら歩んで行きたいと思っております。 さすれば牛がご褒美を運び、世の中に平穏安寧幸をもたらしてくれるに違いありません。 画廊は12月30日より1月12日までお休みさせていただきます。 どうぞ皆様におかれましてはお身体に気をつけていただき良き年をお迎えください。 ●12月14日 入院 9月に発症し、10日ほど入院して、炎症がひどくて後回しになっていた胆嚢の全摘手術を12月初めに終えて、ようやく昨日くらいから痛みも取れ、これで安心して年末年始を過ごすことができそうです。 驚くのは医療技術の進歩で、友人が30年前に胆嚢の手術をした時は、開腹手術で1ヶ月入院し、術後も具合が悪くなりもう1ヶ月入院したそうですが、私は腹腔鏡手術で二日後には退院ですからびっくりです。 コロナもようやくワクチンができて、これがうまく行けば収束に向かうことになるのでしょうが、 今のところは感染者は増えるばかりで、Go To トラベルも休止、65歳以上は外出自粛となり予定していた旅行もやめることにしました。 身体は元に戻りましたが、まだ脂系は食べては行けない、3ヶ月は散歩以外運動禁止で、年末年始旅行にも行けず、美味しいものも食べられず、ゴルフにも行けずではてさてどう過ごしたらいいのやら。 ひたすら冬眠するしかありません。 ●12月12日 個展初日 桑原展の作品購入は先着順ということになっていて、毎回コアなお客様が徹夜で並ぶのが恒例となっていましたが、 今回はコロナのこともあり、始まる二日前の18時に順番に整理券を出して、初日の朝に整理番号順に作品を選んでいただくことにしたのですが。 そうしたにもかかわらず、展覧会4日前から熱心なお客様が何人かお見えになり、整理券を受け取るまで昼は画廊の中で、夜は外でお待ちいただくことになりました。 ただ今回は早めに並んでいるのをみて、諦めて帰られる方もいて、混乱なく初日を迎えることになりました。 私どもにとっては大変ありがたいことなのですが、時節柄体調を崩されていないことを願うばかりです。 ●12月9日 金井訓志個展 桑原展と同時に金井展をギャラリー椿で開催いたします。 私どもで発表する作家ではベテランの部類に入りますが、相変わらず色彩の華やかさとメリハリの効いた画面は若々しさを感じさせてくれます。 金井氏のコメント 今回は「せつりのかたち」というテーマで、引き続き花のかたちにこだわって描きました。また人間もチャレンジしてみました。 掲載の作品は昨年から今年にかけて制作した大きい作品です。自然の摂理は自由奔放なフォルムを生み出します。わたしの頭には摂理などない訳なのに、 不自由な「かたち」ばかりを作ってしまう。まだまだ勉強が足りません。 コロナ禍の中ですが、もしお近くにお出掛けの際にお立ち寄りいただければ幸いです。 ●12月8日 桑原弘明個展 12月12日から桑原展が始まります。 例年だと徹夜組が出たり、会期中も毎日長い行列ができる人気の展覧会です。 ところが今年はコロナ禍。 それもここに来て第三波、感染者が増加し開催も危ぶまれましたが、精緻な作品のため一年に4、5点しか制作されない桑原作品、新作を心待ちにしているお客様も多く、その方達のためにも感染防止を万全にして開催をすることにいたしました。 そのためには完全予約制として一日の観覧時間も区切り、その時間に観ていただく人数も制限することにいたしました。 また、いつもですとボランティアの方たちにお願いし、小箱の中を覗いていただくときには、いくつか開けられた小さな穴からペンライトをかざして光の変化を楽しんでいただくのですが、今回はそれも避けなくてはならず、鑑賞者がご自身でペンライトをかざして観ていただくことにいたしました。 v このように桑原ファンの方には大変ご不便をおかけいたしますが、どうぞこういう状況下でありますのでご無理をなさらずお越しいただければ幸いであります。 なお、日本橋高島屋美術画廊Xでも9日から13日まで桑原作品が展示されますので、併せてご覧ください。 ●12月6日 台湾バブル 台北のオークションが昨日今日と開催されました。 私どもの作家の作品が驚くような価格で落札されたました。 中には30万円で売った作品が手数料を入れると1000万円を遥かに超える価格で落札されました。 簡単なドローイングでも300万円を超えていて怖いくらいです。 他の日本人作家も高値で落札されていて、オイルショック前の絵画ブーム、20年前のバブル時代が思い出されます。 キャリアのあるアーティストがそれなりに評価されるのはいいのですが、まだ無名の発展途上にあるアーティストたちが高値となり、 結果ブームがはじけると消えていくのを何度も見てきました。 コロナ禍にあっても国内でも一部の若手アーティスト達の作品が即日完売や抽選といった状況が多く見られます。 一部のアーテェストに群がる状況は昭和40年代の絵画ブームとそっくりです。 バブルの時は企業や美術館、富裕層が著名作家を高値で購入する時代でしたが、今は内外共に若手作家に殺到する状況です。 私どももその渦中にありますが、バブルに踊らされず、本当に作品を愛し、 若い作家を支援する方達も多くおられ、そういう方とともに足元を見つめながら歩んでいきたいと思っております。 そのためにも人気作家だけを求める方ではなく、私どもの多くの作家を支え、長くお付き合いをしてきた方、 人気の出る前から支援をしてくださった方、新たな出会いの中で私どもと信頼関係を築けると思える方とお付き合いをしていきたいと思っております。 ●12月5日 蔦屋展覧会 4日夜8時から銀座シックスにある蔦屋ギャラリーにて蔦屋のVIPを招待して一夜限りの展覧会が開催されました。 私どもから山本麻友香、横田尚、中村萌が参加しました。 私は残念ながら入院中で伺うことができませんでしたが内外のお客様で賑わっていたそうです。 蔦屋は書店から広く文化事業を拡大させ、今後は上海にも大きなスペースの建設を予定していて、そこでの文化事業の展開を計画しているようで、私どもにも協力を依頼されています。 蔦屋ブランドを活かしての文化事業に注目が集まります。 ●12月2日 師走 早いものでもう今年も最後の月となりました。 先生も走る忙しない年となるはずでしたが、コロナ感染者増加で外出自粛、飲食店の時短要請や65歳以上は旅行も自粛せよとのお達しです。 ということで、高齢者の私はじっとしているに越したことはありません。 画廊は4月5月のように休業するような事態にまでは至っておりませんが、お客様やスタッフにも何かあったらと心配は募ります。 そうは言いつつ、今開催中の展覧会が終わると、あと二つの展覧会が12日から始まり、年末29日までは営業をすることにしています。 その間、ソウルでも山本麻友香の個展が予定されていて、休むわけにはまいりません。 年始は12日からとなりますが、夏から延期されたギャラリー椿オークションの開催を予定していて、年明けから忙しくなりそうで、暫しも休まず槌打つ響きといったところでしょうか。 プライベートでは本来なら、年末年始に北海道に子供達ニ家族を連れてスキーに行く予定を立てていましたが、これは早くに断念し、そこで私は年明けに金沢から鳥取島根に行く予定を立てました。 椿原神社という神社が金沢にあると聞いていて、一度はお参りに行かなくてはと思っていて、鳥取には生前お世話になった写真家植田正治先生の美術館があり、島根にはこれも私が大阪の画廊に勤めていた時にお世話になった足立美術館、それと元スタッフが嫁いで開いているイタリアンのお店があり、それぞれを回ってみようと計画を立てていたのですが。 それが65歳以上はGO TO トラベルを控えよということで、年末年始の長い休みもまた4、5月のようにじっとしているしかありません。 思ってもみない年末年始となりますが、画廊はコロナに負けずに頑張りますので、皆様よろしくお引き立てのほどお願い申し上げます。 ●11月29日 オークションの免税 読売の朝刊一面に「オークション免税で誘致・美術品など対象」の見出しが。 財務省は美術品などの国際的なオークションを国内で開きやすくする方針を固めたようです。 海外の富裕層の消費拡大や関連する美術イベントなどによる文化・経済振興を図ることに。 競売品を海外から持ち込む場合には10%の消費税がかかり、高額な作品の税負担は大きく、我が国で国際的なオークションは開催されていませんでした。 一方、国が指定する保税地域では消費税や関税を払う必要がありません。 そこでオークション主催者が会場を保税地域とするように申請すれば、税関が許可を出し納税の必要がなくなることになります。 アジアでは優遇税制を敷く香港で国際オークションが開催されることが多かったのですが、政情不安もあり日本での開催を検討する動きが出てきているそうです。 美術品などの取引は年7兆円を超え、アメリカ4割、イギリスと中国が約2割を占めていますが、日本はわずか3%にとどまっています。 ここまでは読売新聞の記事ですが、税金以外にもう一つ問題になるのが追及権という遺族や著作権者に二次市場で売買された美術品の売買額の一部を還元しなくてはならないという法律です。 フランスで制定されて以降EU諸国などで広く施行されてきました。 文学や音楽などは印税で著作権者が保護されているのに、美術の世界では作品自体が複数作られるものでないため、印税といった制度にはそぐわず、遺族などにいくら高額で美術品が取引されても還元されないという矛盾があり、こうした制度ができてきた経緯があります。 ただしこうした法律を日本やアメリカ、香港などでは未だ制定されておらず、そのため多くのオークション会社がヨーロッパではなくアメリカや香港でオークションを開催するようになりました。 免税措置が講じられた上で、追及権による支払いの必要がないということは、日本でのオークションや大規模な国際アートフェアの開催は大きなメリットがあることになります。 ところが我が国の富裕層が美術品をコレクションするケースが少ない日本では、追及権がないにもかかわらず国際規模のオークションやアートフェアは開催されることはありませんでした。 こうした日本の状況が続く限りは、もし実施されても海外からの富裕層に頼らざるを得ないでしょう。 昨日も日本に帰化した台湾出身のご婦人お二人を案内して、ワインのオークションに行ってきましたが、会場の多くは日本在住の海外の方のようでしたし、入札、電話でのオークション参加も多くは海外の方だったようです。 ただ現状はそうであっても、こうした優遇税制による国際オークションの誘致が日本の美術市場の活性化の起爆剤になれば、私たちにとってこんなありがたいことはありません。 ●11月25日 コロナの中の展覧会A TTF終了 TTFは無事に22日に終わりました。 コロナ禍の中で心配しましたが杞憂でした。 入場券の販売も制限して、入場者を少なくするなどの対応をしたようですが、入場待つ人で延々長蛇の列。 台湾は感染者が少ないこともあるのでしょう。 送られてきた写真を見ると三密どころか、濃密状態でこれで大丈夫なのかと心配してしまいます。 ギャラリー椿ブースは1番の賑わいだったようで、ブース前には連日400人の人が並んだそうです。 フィギュアの抽選、Tシャツやポスター、ポストカード、画集などの販売でブースに詰めていただいたモンスター台北のスタッフの方にはすっかりお世話になってしまいました。 ただ残念なのは毎回のことですが、転バイヤーに雇われたおじさんおばさんが早くから並んでいて、抽選をしたフィギュアの一部はそういった方の手に渡ってしまったようです。 TTFでは不特定多数の人が大勢押しかけるので、こうした方法を取らざるをえないのでしょうが、 私どもでは顔の見えない方、今までお付き合いがなく初めての方、所謂一見さんには販売をしないようにしています。 抽選もそういう方が参加できないようにしています。 それでも手を変え品を変えてやってきます。 人気があるのは大変ありがたいことなのですが、本当に欲しい方の手に渡らないことは残念でなりません。 TTFの最終日に別の場所で開催されたオークションでも中村萌の以前に制作されたフィギュアが数種類出て、販売価格の5倍、6倍で落札されていました。 市場原理で仕方のないことなのでしょうが、私たちは地道にやっていくしかありません。 ●11月25日 コロナの中の展覧会 コロナがまた蔓延してきました。 その影響なのかもしれませんが、土曜日初日を迎えた展覧会も見に来る人が少なく、二日目になる連休明けの昨日も同じような状況でした。 幸い海外からの注文や大作の予約などで作品は売れているのですが、やはり実際に作品をじっくりと鑑賞していただくのが展覧会の本来のあり方ですので、 仕方ないとはいえ、こういう状況を心配しております。 2ヶ月の休業中や真夏の山本麻友香個展、先日までのオンラインフェアーでの売り上げは予想をはるかに超える売り上げとなっていて、 大いにSNSの恩恵に与ってはいるのですが、やはり見にきて実際の目で作品を鑑賞していただきたいというのが本音です。 いくら精度の高いカメラでも本来の色彩や質感は再現できませんし、それをさらに画像にしたり、印刷をすることでその精度は落ちてしまいます。 また会場での臨場感はSNSではなかなか味わうことはできません。 私どもでは360°VRを使い、会場の雰囲気を味わっていただくようにしていて、 見たくても画廊に来れない方たちに少しはお役に立てていると思うのですが、やはり現場で見るのとはだいぶ違ってしまいます。 GO TO トラベルも制限されることになり、外出していただくのは更に難しくなってきましたが、画廊は換気に心掛け、密になることに配慮し、 消毒の励行、マスクの着用をお願いし、私たちでできる範囲で皆様をお迎えすることにしておりますので、どうぞご無理のないところでお越しいただければ幸いであります。 https://storage.net-fs.com/hosting/6425311/35/ ●11月20日 台北トイショー 今日から台北トイフェスティバルTTFが始まりました。 私たちはコロナ禍のため台北に行くことができませんが、ギャラリー椿としては参加していて、 ブースでは主催者のモンスター台北の黄社長をはじめスタッフの方にお任せしています。 コロナのため入場券も制限をしていて、入るのにはかなりの狭き門のようです。 フィギュアも間に合わず、見本だけが展示されていますが、3日間毎日20体を抽選予約をするそうです。 ドローイングも展示されているようですが、既に完売をしているみたいです。 私はフィギュアもドローイングも全く見ていなくて、お客様から送られてきた写真で初めて知ることになりました。 ブースデザインも写真で知りましたが、うちのスタッフが森をイメージしてデザインしたようです。 いい雰囲気になっています。 作品以外にTシャツや新たに制作したポストカードなども販売されますがこれも人気沸騰だと思います。 会場はおそらく大変な熱気に包まれていることでしょうが、三日間無事に終わることを願っています。 ●11月19日 井澤由花子展 21日から始まる井澤由花子展の作品が届きました。 水彩による表現ですが、色彩の美しさに微妙な色の重なり合いが相まって、水彩で描いたとは思えないインパクトのある画面が表出されます。 妊娠した時に浮かんだ胎内のイメージが今のモチーフになっています。 女性作家には妊娠というかけがえのない体験から生まれる本能的なイマジネーションが制作に大きな影響を与えるようです。 ●11月17日 TAMAVIVANT TAMAVIVANT2020 幕間以前・以後ー信号・シグナル・標識・サイン 多摩美術大学美術学部芸術学科の学生が企画・構成・運営する現代の美術・芸術のアニュアル展が学内のアートテークギャラリーにて開催され、昨年は井澤由花子、 今年は北村奈津子が参加している。 彼女の飄々としてどこかユーモラスな作品を広い会場に並び、画廊とはまた違った視点で作品と対峙することができ、はるばるやってきた甲斐があったというものである。 11月19日(木)までの会期となるが、是非足をお運びください。 https://www2.tamabi.ac.jp/geigaku/blog/201116/ 多摩美は都心からは遠く離れた八王子郊外の山の上にあるが、自然に囲まれ、紅葉真っ盛りのキャンパスは実に美しく、 この素晴らしい環境でキャンパス生活をおくれる学生達がうらやましい。 私が在学した大学はちょうど70年安保の真っ最中で、書きなぐった立て看板が林立し、バリケードに囲まれた騒然としたキャンパスの中で勉学どころでなく、 この美しい自然に囲まれたキャンパスに当時を思い出し、しみじみと感慨に耽っている。 ●11月15日 琵琶湖ビエンナーレ 京都駅から琵琶湖線で彦根に向かう。 彦根の手前に草津駅があるが、ここは父親が生まれたところ。 父親は5歳で両親と死別し草津には僅かしか住んではいなかったのだが。 子供の頃に両親に一度連れて来られた記憶があり、ものすごい田舎だったような気がしていたが、 車窓から見ると小綺麗な住宅が立ち並び、全く記憶とは違う風景が広がっている。 聞いてみると草津は今や大阪京都のベッドタウンとして人気の街だという。 彦根駅から三木サチコの展示場にむかう。 途中に昔の城下町を思わせる通りがあって土産物屋やうなぎ屋に立ち寄るが、日曜日とあって人と車で溢れていて、食事するにも土産を買うにも長い行列。 その通りの先の足軽屋敷に三木サチコの作品が展示されているのだが、細い路地が入り組んだところにあり、やっとのことでたどり着いた。 古い屋敷に三木作品では違和感があると思ったが、不思議とマッチしていて、それなりに三木作品の魅力を感じることができた。 他の展示を見るにも場所が点在しいて見切れそうになく、駅に向かいながら彦根城に向かうことにした。 しかしながら、ここで力尽き果てお堀沿いに天守閣を見ただけで、たまたまやってきた人生初の人力車に乗って彦根駅に戻ることになった。 この四日間に実によく歩き、最後に精魂尽き果てたが、久しぶりの国内旅行を堪能させてもらった。 これにて関西の芸術祭見学と紅葉見物は無事終了。●11月14日 八坂神社 2泊3日のきついスケジュールだったので、もう一泊京都に泊まり、明日日曜日に琵琶湖ビエンナーレに行くことにした。 昨日の平日でも相当人が出ていたこともあり、今日の観光は三密間違いなし。 あまり遠くには行かずに、注意しながら八坂神社近辺を散策することにした。 祇園祭の山鉾が展示されているところがあり、覗いてみると胴懸けを外して本体の構造と荒縄の絡みが見られるようになっている。 見ていると熱心に解説をしてくださる人がいて、祇園祭の由来から説明していただいた。 八坂神社は大昔疫病が流行し、各神社が祈祷をしたが収まらず、東山の祟りとわかり、祈ったところ疫病が収まり、 天皇家、将軍家庇護のもと発展し、八坂神社となり現在に至ったのである。 祇園祭は八坂神社のお祭りで疫病、悪霊退散を祈願して山鉾、神輿で練り歩くお祭りで、日本三大祭りのひとつとなっている。 私もこのコロナ禍の中、神社に行き疫病退散の祈願してきた。 ただあまりの人出にコロナも退散しなくなっては困るので早々にホテルに戻りじっとしていることにした。 ●11月13日 有馬アートナイト 鎌倉幕府ができる1年前の1191年に創業という由緒ある有馬温泉御所坊に宿泊。 夕食の後、有馬アートナイトというイベントで私どもで発表をしている岡本啓ともう一人中島麦による映像作品を見に行ってきた。 指定された地点でアイフォンやアイパッドにダウンロードしたものをクリックするとデジタル化された映像が地面や夜空に投影される仕組みになっている。 温泉街の路地を巡ると色々な地点で見ることができるのだが、迷路のような路地を回るのは大変で、出展者の岡本氏が案内してくれなければ迷子になるところであった。 また作品を見るのではなく有馬の夜に投影した画像を見なくてはならず、そのためのダウンロードもしなくてはならないため年寄りになんとも分かりにくい。 ただ永久にその地点に行けば映像を見ることができるので、制作者にとってはたいへんありがたい企画といっていいかもしれない。 戸惑いつつも有馬温泉でのファンタジックなひとときを堪能させてもらった。 ●11月13日B 京都紅葉 今日は芸術祭の合間を縫って、京都のお寺の紅葉巡り。 真っ盛りとは行かなかったが、染まりかけの紅葉も風情があって楽しむことができた。 清水寺、南禅寺、夜はライトアップされた永観堂と周り、夕食は南禅寺門前の料理屋で豆腐料理を食し、京都の秋を満喫。 ●11月12日A 六甲ミーツ 六甲山の頂上近くにある旧六甲山ホテルでは2室を使って中村萌の作品が多数展示されている他、山頂の展望台にはインスタレーションが飾られている。 リニューアルされたレトロな部屋に、木彫を始め木の板に描かれた絵画作品が所狭しと飾られていて圧巻である。 西宮、神戸市街と海の大パノラマが広がる展望台に併設されたレストランのテラスでは、絶景を背景に木のパネルに描かれた大きな作品が並ぶ。 レトロなホテルの空間と大パノラマを取り込んだ空間演出が実に見事で、画廊やフェアで見る中村萌の作品とは違った新たな側面を見せてくれていて、 これは現場でしか味わえない感動であり、遠くまで見にきた甲斐があった。 ●11月12日 三つの芸術祭 今日から3泊4日で紅葉見物を兼ねて関西の三つの芸術祭を見に行くことにした。 六甲ミーツは中村萌が、有馬アートナイトは岡本啓、琵琶湖ビエンナーレで三木サチコが参加している芸術祭が、六甲山、 有馬温泉、彦根で開催されていて、三ヶ所を巡るとともに、あいだに京都を挟んで、真っ盛りの紅葉を見てくる予定にしている。 ただ、六甲は14会場、琵琶湖は彦根と近江八幡に18会場が点在していて、それぞれ1日ではとても見切れそうにない。 最初は二泊三日の予定を立てたが、これでは京都見物もままならず、一泊増やして、京都では南禅寺近辺を回ることにしている。 GO TO トラベルもあって、有馬の旅館、京都のホテルもいっぱいだったが、なんとか予約を取ることができた。 ネットの申し込みがうまく出来ず、銀座のJTBを訪ねたが、人で溢れかえっていてソーシャルディスタンスどころではなく、入り口には予約の方のみと書いてある。 外から明日の予約はできますかと声をかけると、予約は10日後しか空いてないという。 それまで待ってたら部屋が取れないので、何とかならないかというと、親切なスタッフが1時間ほど待ってくれたら特別で受け付けをしてくれrことになった。 隣にある画廊で待つことにしたが、そこのオーナーの話では、ついこの前まではガラガラで閉めている日もあったそうだ。 旅行解禁となって一斉に多くの人が堰を切ったように出かけるのだろう。 私も出かけるので偉そうには言えないが、これではコロナの感染者が増えるのは間違いない。 私も完全装備で出かけることにしているのだが。 ●10月31日A 武田史子個展 こちらは銅版画をメーンにガラス絵、テンペラ画など多岐にわたり発表する。 武田独自の緻密な表現から、ファンタジックな空想世界が生まれる。 気球や大きな風船に誘われ、ピーターパンのように悠久の世界を旅する。 はたまた、さりげない自然の情景を夢想の世界に引き込み、見る人の心を響かせる。 武田の無限の空想世界は限りなく続く。 ●10月31日 小林裕児展 息つく間もなく二つの展覧会が今日から始まった。 まずは小林裕児展「合歓の庭」 相変わらず精力的に描いていて、3メーター50センチの大作から小品、ドローイング帳まで飾り切れないほどの作品が並ぶ。 自由奔放な絵はとどまるところを知らず、ますます拍車がかかる。 前の個展でも書いたが、内容は初期のストーリー性の強いに表現に戻ってきたようだ。 シャガールを思わせるような空想の夢幻の世界が広がる。 支持体も自由で、アフリカのマサイ族が使った盾やヨルバ族の占いボード、古いインドの小箱、 エチオピアの古いトレーといったそれだけでアートになりそうなものの上にも遠慮会釈なく描き、一体化させて作品とする。 夏に手術をしたというが、それをものともせずに描き続ける小林のエネルギーには感服させられる。 美しくも楽しげな世界をご堪能いただきたい。 ●10月27日 オンラインフェアA 昨日でオンラインフェアの画廊での展示は終了したが、10月31日まではオンラインで展示を見ることができる。 3割ほど残っていると言っていた作品もほぼ完売し、後は木下雅雄、高木まどかの作品が若干残っているだけで、 オンラインでご覧になりご興味のある方はぜひお申し出をいただきたい。 コロナ禍の中、台北のフェアに参加できないことから、苦肉の策として画廊にて台北アートフェア用の作品を展示し、 オンラインで見ていただこうとなったのだが、意外やほとんどの作品が売約となり、更には山本麻友香、中村萌作品には大勢の人の申し込みがあり、 抽選という方法を取らざるを得なくなった。 抽選も無事終了し、山本麻友香の作品は日本人の方2名、台湾の方3名、韓国の方1名が当選。 中村萌は日本の方3名、台湾の方2名、中国の方1名が当選。 フィギュアについても申し込み多数の中から抽選で35人の方にお渡しすることになった。 当たった方には順次お知らせをさせていただき、ご連絡のない方には申し訳ないが当選しなかったということでご了承をいただきたい。 このようにフィギュアを入れると80点余の作品が売れたことになり、現地にいかなくても成果が挙げられることになった。 それでも、実際の作品を見ていただき、画像では表現できない色彩やマティエール、立体のボリューム感をご自分の目で確かめていただくのが肝要で、 これだけはオンラインではなし得ないことである。 コロナが収束した暁にはぜひ画廊にお越しいただくか、フェアに参加したときはブースに足を運んでいただき作品に触れていただきたい。 まずは無事終了したことに心よりお礼を申し上げる。 ●10月23日 オンラインフェア 17日から始まったオンラインフェアは大変好評で、約7割の作品が売約となった。 抽選とさせていただく山本麻友香、中村萌の作品も驚くほどの申し込みをいただいていて、その返信もままならない状況である。 大変勝手ながら、私どもを長年サポートしてくださるお客様、今回の他のアーティストを購入してくださった方から優先抽選とさせていただくことにしていて、 ホームページ上で告知させていただいているが、既にそういう方で出品点数を上回る申し込みをいただいており、 山本、中村のみの抽選申し込みをいただいた新たなお客様にはご希望にそうことができそうもないことをお許しいただきたい。 あとはキャンセルが出た作品を抽選させていただくことになるが、その時は改めて通知をさせていただく。 26日の画廊での展示終了後に抽選となるが、当選した方には翌日お知らせをさせていただき、当選が叶わなかった方は翌日お知らせがいかないことで、 当選が叶わなかったことをご了承いただきたい。 アート台北に参加できないことで、このようなオンラインフェアを開催させていただき、果たしてどうなることかと心配したが、 今まで参加していた時以上に盛り上がり、売約も例年を超える結果となっている。 26日まであと3日、まだ3割ほどの作品が残っているので、残っている中にご興味のある作品があれば是非お申し込みをいただきたい。 まずはお声をかけていただいた方、ご購入をいただいた方には心よりお礼を申し上げさせていただく。 ありがとうございました。 ●10月17日 AITUMN SHOW・TAIPEI/TOKYO/VR 今日から不参加のアート台北に変わり、10人の作家の出品予定作品を一堂に展示することになった。 アートフェアの限られたブースと違い、画廊ではゆっくり展示ができる。 この広さのブースをフェアで借りようとすると、恐らく500万以上のブースフィーがかかるだろう。 フェアを楽しみにしていた台湾の方に見ていただけないのは残念だが、ブースフィー、作品輸送費、渡航費、滞在費、保険、通訳や手伝いの人件費、 その他の費用がかからないのでその分は助かるが、果たして台湾のお客様がオンラインで購入を申し込んでくださるかどうか不安もあったが、 昨夜に各お客様に画像と作品リストを送らせていただいたところ、収拾がつかないほどの購入希望とお問い合わせが殺到した。 初日は冷たい雨が降り続いたにもかかわらず、大勢のお客様にもお越しいただき、ネットでの台湾の熱い勢いも伝わってきて、幸先のいいスタートとなった。 画廊にお越しいただけない方は、他の参加予定だった画廊と一緒に360度VRによる展示風景も画廊のホームページから見ることができるので、是非お試しいただきたい。 AUTUMN SHOW - TAIPEI | TOKYO | VR - 2020年10月17日[土] - 10月26日[月] http://www.gallery-tsubaki.net/2020/autumn_show/works.html Japan online VR ART FAIR 2020 https://www.artokyoprogram.com/vr-art-fair ●10月14日 紋谷幹男氏印象記 岩渕華林 モチーフは少女、大人になる前の女性。 いずれ消えることになる何かが、 内面でほのかに燃えています。 衣装表現の異様な緻密さが、 日常の一場面風を一気に非日常へと深めます。 「心をこめたひと時が生き方に豊かさを与える」 ならば、 それを絵画で表現するためには、 「心をこめた手仕事で豊かさを与える」 必要があるのでしょう。 筆者がこれらの作品を見る時、 眼前の絵画で心地よい驚きを感じるだけではなく、 画家と和紙の問で作品が醸成されゆく、 密度の濃い時の流れとも対面することになります。 ここには現実に存在している絵画があり、 同時に人間の生きる兆しも漂っている。 そんな印象でした。 ●10月13日 GO TO トラベル 11月12日から2泊で六甲ミーツ、有馬アートナイト、琵琶湖ビエンナーレ行くことにして、ネットで宿を予約しようとJTBにアクセスした。 案内をしてくれる有馬アートナイトの出品作家岡本啓君推薦の老舗旅館が空いていて、そこを予約すべくなんとか予約までは進むことができた。 ところが、その先にGO TO トラベルの割引とクーポン利用を登録すべく手順に従ってやるようにと指示されるのだが、これができない。 何度やっても登録できず、旅館の予約も完了しない。 ついに諦めて近くにあるJTBの銀座支店に行くことにした。 行ってみるとなんと大勢の人が中で待っているではないか。 入り口には予約して来てくださいと表示されている。 ついこの前まで閑古鳥が鳴いていた旅行代理店だったのだが、GO TO キャンペーンで東京もその制度を利用できることになったせいなのか、 今まで旅行を控えていた人たちが一斉に押しかけてきたのだろう。 中に入って聞いてみると、予約待ちで1週間後でないと予約できないという。 これでは申し込もうとした旅館も空き部屋がなくなってしまう。 事情を話すと、親切なスタッフが1時間待ってくれたらなんとかすると言ってくれた。 待つこと1時間、ようやく旅館と往復の新幹線の予約、それに割引14000円、クーポン券6000円を手に入れることができた。 家に帰りニュースを見ると、キャンペーンの申し込みが殺到し旅行代理店やネット予約の枠が一杯になってしまい、割引やクーポンの特典が大幅に減額されることになったと報じられた。 ギリギリセーフで私は特典を受けることができ、これも待っている人の中を割り込ませてくれた優しいスタッフのおかげと感謝しなくてはいけない。 今まで外出を自粛せよ、蜜を防げ、ソーシャルディスタンスをと言っていたのが嘘のようである。 ●10月10日 六甲ミーツ他 9月12日から11月23日まで六甲山上の12の施設を舞台に「六甲ミーツ・アート 芸術散歩」が開催されていて、 数々のアート作品をピクニック気分で回りながら楽しめる現代アートの展覧会である。 その中に中村萌も参加していて、旧六甲山ホテルをリニューアルした六甲山サイレンスリゾートに新旧作品が展示されている。 同時に六甲山からロープウェイで降りたところにある有馬温泉では「有馬アートナイト」と題して、 これまた私のところで発表をしている岡本啓ともう一人中島麦による光のインスタレーションが美しく色づいた紅葉のライトアップや夜景と共に光のページェントが繰り広げられている。 さらに場所は移るが、近江八幡と彦根にて今年9回目を迎える「BIWAKO BIENNARE 2020」も開催されていて、 ここには三木サチコが参加していて、日本屋敷の中に多くの作品が展示されている。 関西圏なので皆さんに是非とは言えないが、「GO TO TRAVEL 」もあって紅葉見物を兼ねて行ってみてはいかがだろうか。 私も11月に入ったら行ってみようと思っている。 ●10月6日 小浦 昇展 小浦昇展も既に一週間が過ぎた。 今回版画よりはアクリルガッシュによる絵画作品がメーンの展覧会である。 版画のテーマでもあった長閑だがどこかミステリアスな世界が展開される。 高橋同様に夜の情景の中に月の一筋の明かりが小浦の持ち味ではあるが、今回は昼のビーチの心温まる情景など、その表現も多岐にわたってきた。 版画も小品だが今までとは違ったエロスの世界が描かれていて、ちょっとびっくり。 一度取り組んでみたいテーマだったようだ。 そんなこともあって、今回は小浦の多様な表現が観られる展覧会となっている。 ●10月3日 高橋舞子展 退院してからも検査が続き、今日も朝早くから検査であちこちと振り回された。 さらに検査が続くみたいだ。 そんなこともあって展覧会の紹介がすっかり遅れてしまった。 既に一週間が過ぎたがまずは高橋舞子。 私は彼女を暗闇の画家と呼んでいて夜の雪の情景を描くことが多かったのだが、今回案内状にもなった作品は「幾度も西日を巡る道」と題した夕景を描いている。 夕日があったり、真っ赤に染まる空を描いているのではないが、微かに注ぐ西陽の光が染まりゆく情景を見事に描き出している。 達者な表現力で近代絵画の風景画とは一線を画した風景画なのだが、それでもバルビゾン派や印象派に通じる懐かしさもあり、 人物画全盛の時代にあって彼女の風景画はより新鮮に見える。 表現力で言えば雪が舞い散る情景を描いた「流れ星探しの道」は秀逸で、雪が細かく降る様子が描かれているのだが、 全体は雪に煙るような情景になっていて、見事という他はない。 流行に流されず独自の道を歩む彼女に期待をしたい。 ●10月2日 70の手習い。 長年の友人が会社を移譲して故郷の長野に戻り、安曇野にログハウスを建てて残りの人生を謳歌している。 先日も仲間たちと自宅で恒例の音楽ライブを開いたが、彼もドラム演奏で初登場。 バンド仲間に70になってドラムを習っていたのだが、いよいよ今回デビューとなった。 その様子が地元の新聞に載り、記事が送られてきた。 既にドラマーとしての風格を備えている。 手足を使いリズム感を養うということで、ボケ防止に始めたそうだが大したものである。 さて我が身を振り返ると情けないもので、何も自慢するものがない。 高校大学とヨット部でヨットレースに没頭し、40になってスキューバーダイビングに夢中になり、50からはテニスを始め、 今は下手くそなゴルフをやるのみで、身体は使っても頭を使うような趣味は一つもない。 来年は後期高齢者の仲間入り。 今回も入院して思ったのだが、身体も言うことを聞かなくなると、スポーツもそう長くはやっていられない。 それに代わる趣味を持たないと、それこそボケの進行が早まる。 さてと言って思い当たるものはないが、何かをやらなくてはいけないと友人の新聞記事を読んで焦っている。 |
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