ギャラリー日記

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9月28日 共存共栄

今日がKIAFの最終日だが、一足早く帰国することに。

毎日賑わいを見せたKIAFは前年の1.5倍の入場者数だそうで、今日は日曜だけに更に多くの入場者が期待できる。
私のところの売り上げも前年比で倍増の勢いで、まだペンディングになっている作品もいくつかあり、今日1日で更に売り上げが上がることを期待したい。

正直これほどとは思ってもみなかった。
今まで売れることのなかった作家の作品も繰り返し紹介して来たお陰で大きな成果を得ることができた。

どう分析したらいいのだろうか。
文政権下にあって経済は停滞し、戦後最悪の日韓関係の悪化の中で、このような思ってもみなかった結果が出たことは心底嬉しく思う。

売上が上がったこと以上に嬉しいのは、日本人作家を抵抗なく受け入れてくれたことである。
今までも反日のかけらさえ感じたことはなかったが、今回ほどその思いを強くしたことはない。

毎晩コレクターの方や画廊の方に招待を受けたが、口を揃えて日韓が手を携え未来に向かう必要性を説く。
私も全く同感で過去にこだわっているのでは一歩も前に進まない。
未来に向かい手を携えることこそ更なる東アジアの安定と発展が得られることを何故わからないのだろうか。

私たちは微力でなんの力にもなれないが、せめて文化を通じて両国の親善と発展に尽くしたいと思っている。

帰って3日おき、今度は上海に行かなくてはならない。
中国も香港、台湾、そして日本と大きな軋轢があるようだが、覇権主義から脱却し、共存共栄の関係をなんとか構築してもらえないのだろうか。



9月27日 海外のアートフェア

KIAFも3日目に入ったが今日も賑わいを見せている。
例年に比べて今年の人出は一段と多いように感じる。
事務局の女性も同じことを言っていて、売り上げも上々とのこと。

私がインタビューを受けたニュースでも大きくKIAFの展覧会を取り上げていた。
ただその中でロンドンのフリーズという大きなフェアがソウルに出ようとしていて、KIAFも危機感を持っているという旨の少し心配なニュースが流れた。

昨年台北にバーゼル資本の大きなフェア「ダンダイ」が開催され、大きな反響を呼び、海外の大手ギャラリーがアート台北に参加せずこちらに出たことで、 アート台北を主催する台湾画廊協会がその対応に追われていて、KIAFも台湾同様に韓国画廊協会が主催するだけにその不安は人ごとではないようだ。

どちらも大きな市場だけに欧米資本が参入してくるのは仕方がないことだが、長年の積み重ねでKIAFやアート台北に多くの海外画廊が参加してきただけに、 両国の画廊協会にとっては黒船襲来といったところだろうか。

振り返って日本のフェアには海外からほんの僅かしか参加がなく、それもあまり聞いたことない画廊ばかりで、国際フェアとは名ばかりとなっていて、 無論欧米資本のフェアにも見向きもされないのはなんとも寂しい限りである。

ただ現実にそうした巨大フェアが日本に上陸となると、日本独自のアートフェアは危機に瀕するだけに、複雑な気持ちで成り行きを見守るしかない。

まあ私のところはそうした巨大資本とは無縁で、長年お世話になっているフェアを優先する気持ちに変わりはない。


9月26日 彫刻コレクション

若き彫刻家と音楽家のためにレジデンスを提供し、発表の機会を与え、更にそうした彫刻家の作品をコレクションするロッテに次ぐ第二のお菓子メーカークラウンのユン会長が、 リユンボクの彫刻をコレクションの一つに加えていただいた。
夜は食事のご招待を受け、会長の彫刻コレクションの壮大な夢を聞かせていただいた。
素晴らしい方である。
有名アーティストの作品を収集する日本の企業経営者からこうした作家支援に取り組んでいただける経営者が出てくれるとといいのだが。


9月25日 KIAF

ソウルのアートフェアKIAFに来ています。

昨日は展示日
今回は担当のスタッフが手術をして、しばらく安静ということで、急遽私ともう一人今月から社員となった韓国出身の女性スタッフとともに行くことになった。
展示は13時から始めて20時に終了。
73歳クタクタです。
助かったのは韓国の出品作家二人が手伝ってくれたことで、二人がいなかったらどうなっていたか。

そして本日3時より開幕。
韓国の経済も思わしくなく、日韓関係も悪化していて、参加もためらったのだが、豈図らんや始まって早々に大勢の人で賑わいホッとしている。
私どものブースも多くの人が訪れ、山本麻友香の作品は大作、小品、ドローイング、初めて作ったリトグラフの20点余が早くも完売で、日本製品不買運動もどこ吹く風のようだ。
テレビ局のニュース 番組で、こんな状況で参加したことについてのインタビューを受けたが、政治と文化は別で、日韓の文化交流をさらに深めていきたいと話をさせてもらった。

終えてレセプションパーティーがあるのだが、スタッフと作家さんに任せて私はホテルに直行。
不安も杞憂に終わり、今夜はよく眠れそうだ。





9月19日 学校の縁

9月も半ば過ぎだというのに蒸し暑い日が続く。
来年のオリンピックがこんな中でやるのだから、選手や観客の体調は大丈夫なのだろうか。

中村萌展も終了し、次の展覧会小林健二展の準備が始まる。

同時にソウル、台北のフェア、上海の岩渕華林展などの梱包、発送にスタッフは忙しい毎日を過ごしている。

長く勤めていたスタッフが退職したり、もう一人のスタッフが手術をしたりで、手が足りず、処分品の運び出しには私自身が2トンのロングバンを運転して行く羽目に。
そのバンは高さもあって、幅寄せをしようとして、マンションのエントランスの上の部分にぶつけてしまった。

処分品の絵画は150点あり、全て帆船の絵で、他にジャズのレコードやCDが10000枚、ジッポーのライターやコイン、 世絵の春画の画集、フクロウの置物などなど数え切れないくらいのコレクションが所狭しと置いてある。

所有者は私の高校のヨット部の後輩のお兄さんで、重い病気にかかり、後輩ががその処分をしなくてはならなくなった。

全部を引き受けるわけにはいかないので、絵画と春画の画集だけを預かることにしたが、猛暑の中をこの歳で運び出すのは実に辛い。

大した金額にはならないとは思うが、後輩のために頑張るしかない。

同じく高校の後輩の映画監督で手塚治虫の息子さんの手塚眞氏には、今月の30日に私が所属するロータリークラブにて講演をしてもらうことになっている。

代表作「白痴」では私どもで長年発表を続けている恒松正敏が美術を担当したこともあって、お付き合いが続いている。

映画の話や父親の話などを楽しみにしている。

もう一つ学校繋がりで、高校の同級生で大学も一緒だったT君から、彼が新たに引き受けることになった会社を手伝ってくれないかと頼まれた。

その会社は35年にわたり、海外から日本の公立美術館に美術展を紹介する仕事をしていて、ピカソ展やルノワール展など大きな展覧会を長きにわたり、日本に紹介をしてきた。

そこの社長が高齢となり、友人に会社を引き受けてくれないかとの相談を受け、私も相談に乗っていたのだが、具体的に会社を引き受ける段になって、 美術に携わっている私の力も借りたいということになった。

海外を股にかけ、著名な美術品を日本に紹介するのはとても魅力的な仕事で、手伝ってあげたい気持ちは山々なのだが、 トラックの運転手もしなくてはならない今の私の状況ではとても時間を割くことができない。

すでに三年先までの展覧会企画は決まっていて、前社長も手伝ってはくれるというが、この歳で新たな仕事を引き受けるのは、 どう考えても無理な話で、顧問という形で何かあればお手伝いをさせていただくことでどうだろうかと思っているのだが。

どちらにしても学校の縁がいろんなところで繋がってくる。

8月31日 現代美術特別展

今回の上海行きで大きな企画が持ち上がった。 青島市や成都市で日本のアーティストによる現代美術特別展をやってもらえないかという依頼である。
あまりに唐突な話と出来れば12月にやりたいということで、全く時間がない。
まずはうちの作家 30名でも構わないという。
作家達に新作は多分無理だと思うので、旧作でもよければというと、それでもいいという。
条件は申し分なく、平面なら100号前後、立体は1メートルくらいで各2点、全て買い上げ、 諸費用はもちろん10名の作家を招待し、往復の飛行機と宿泊費は持ってくれるという。

降ってわいたような話で、正式に契約を交わさないことにはにわかに信じ難いが、急ぎ準備だけはしなくてはならない。

8月30日 帰国

昨日上海から帰国。
2泊の慌ただしい日程だったが、中身の濃い充実した上海行きであった。

帰国の朝は雨空で、昨日までの蒸し暑さが嘘のように肌寒い。

昨日も画廊での個展の打ち合わせを終えて、同行した人たち共々画廊オーナーから昼をご馳走になった。
野菜を中心とした上海料理なのだが、次々に料理が運ばれ、ざるそばやラーメンで済ませるいつもの昼飯とは大違い。
北京ダックやお焼きのような饅頭が格別に美味しい。

食べきれないくらいのボリュームで、こんなに中国の人は昼から食べるのだろうか。

お腹のすく間も無く、夜はお世話になったお役人のS氏の招待で、上海の街中の高層ビルの86階にある会員制のレストランで、本格的な上海料理をまたまたご馳走になる。

高層ビルも上には上があって、86階の窓から見える向かいのビルは空に突き刺すようにそびえ立っていて、先の方は霞んで見えないくらいだから、 どれだけの高さがあるのか呆れるばかりである。

用意されたお酒もワイン、シャンパンから30年寝かせたという50度を超える中国酒までがテーブルに並ぶ。

この強いお酒で5分おきくらいに一気飲みで乾杯を繰り返すのである。
つくづくお酒が飲めなくてよかったとこの時ほど思ったことはない。

料理も次々に15種類以上は出ただろうか。
食べたこともないようなご馳走のオンパレードで、昼夜の食事とともに、一年分の上海料理を食べたような気分である。

かくのごとくの接待ぶりで、只々感謝するしかない。

この上海行きでは、自治体による大きな企画もほぼ決まり、その準備で帰ったらのんびりはしてられない。

それについては後日報告をさせていただく。

8月29日 SOUMEI GALLERY

朝はまた昨日のお役人S氏とその方をを紹介してくださった日本在住の中国人N氏、 そのビジネスパートナーで日本人のY氏がわざわざ私達を迎えに来てくれて、画廊まで連れて行ってくれるという。
そのお役人は都市計画を担当する方で、同じ政府関係者で金融を担当する女性を紹介され、その方も一緒に画廊に行く事になった。

画廊はホテルのすぐ近くにあり、この地域は高級住宅やマンションが立ち並び、上海郊外の別荘地なのだそうだ。
ホテルの窓から見えたいくつもの蔵のような建物もリゾートビレージといったようなものらしい。
高さ制限があるのか、それぞれの敷地内には低層の瀟洒な建物が緑に囲まれいくつも並んでいる。昨日もそうだったが暑さの上に湿度が高く、避暑地のリゾートといった趣はなく、どうしてこんな場所が別荘地なのか不思議である。

ホテルの前にはお洒落なレストランやカフェが並ぶ通りがあって、私がイメージする中国とはまったく違ったお洒落な町並みが続いている。
昨夜ホテルに着いた時も以前に来た上海は確か川を挟んで古い町並みと超高層ビルが軒を並べていたはずだが、草木ばかりで、ビルの影さえ見えず、随分辺鄙なところに着いたものだと思っていたのだが。

画廊もそうした高級別荘地の一角にある。
画廊の前にはテラスがあり、お客さんたちがそこでゆっくりとお茶でも飲むのだろう。
画廊に入ると壁面は真っ黒で、焦点を絞った特殊な照明でライトアップされた作品が闇から浮き上がる仕組みになっている。

常設作品の中に今回個展をする岩渕華林の作品も飾られていて、黒いバックが特徴の彼女の作品はこうした壁面で一層引き立てられている。

先に送った岩渕の作品はこの一点を除いて既に売却をしたそうで、今回持って行った4点と展覧会直前に持っていく4点の合計8点では少なすぎるという。
私どもは前に送った作品も個展用と思っていただけに、予想外のことに慌てる。
何とか4点はお客様から借りてもらって、後は版画の大作を4点新たに持っていくことで収まりがついた。
こういう行き違いが海外では多い。

個展のオープニングには記者会見やテープカットも予定されていて、プロモーションビデオも作ってくれるというから、その力の入れようにこちらの方がタジタジである。




8月28日 上海

昨日から上海に来ている。

10月5日から上海の策美画廊で岩渕華林の個展が開催されることになっていて、その出品作を岩渕とともに持っていくことになった。

初めて開催してもらう画廊ということもあって、挨拶と視察も兼ねてだが、中村萌の個展開催中ということもあって、 2泊だけの強行軍で大きい作品を抱えての出張となった。

美術品を中国に持ち込むのはなかなか大変で、中国へ送る運送会社もなかなか見つからず、 手持ちで行くのがいいということになったのだが、これも無事通関ができるか心配をしていた。

そこへ救世主が現れた。

新たにうちの画廊に入ることになった韓国の女性スタッフがの知人が中国の都市計画のお役人と取引をしていて、 その方にお願いすると南京経由で来てくれればフリーパスで持っていくことができるという。

ということでまずは南京空港へ向かい、南京から上海へ新幹線で行くことになった。

南京空港にはそのお役人が直々に迎えに来てくれていて、空港から新幹線の南京駅までは用意された車で向かう。

新幹線の南京駅は空港と見まがうばかりの巨大な駅で、ホームまでの長い距離をその方が汗だくになって大きな作品を運んでくれるではないか。

その上、グリーン車のチケットまで買ってくれていて、上海まで同行してくれることになった。

南京駅も空港同様に荷物検査が厳しく、一緒でなけrばどうなったことやら。

おんぶにだっこで上海駅に着くと、そこからは置いてあるご自分の車と荷物を運ぶワゴン車が待っていて、おんぶだっこの上に肩車でホテルに到着。

更にはホテルには、そのお役人を紹介してくれた日本の若きビジネスマンと、 日本在住の中国の方が待っていてくれて、お役人からホテルで上海料理をご馳走になるという、何から何までお世話になるという感謝感激の上海行きとなった。

明日も画廊まで車で連れて行ってくれるという。

韓国もそうだが、反日なんてかけらもない。

これだけのもてなしを日本人はできるだろうか。


8月24日 新たな出会い

中村萌展も一週間が過ぎた。
この間、内外から多くのお客様にお越しいただいた。
その中には中国や香港、韓国の著名なコレクター、そして日本の大コレクターと言われる方もお見えになり、新たな知己を結ぶことができた。
アートフェアーなど違って、お客様とじっくりとお話をする時間が持て、お客様の人柄や、お仕事、そしてコレクションなどを知ることができた。
中村の人気は怖いほどで、海外から若い方も多く訪ねてきて、その熱狂ぶりには驚かされる。
ただ皆さん礼儀正しく、アートフェアー東京のときのような無礼な転売業者は見当たらない。
来週は10月から上海のSHOUMEI画廊で開催される岩渕華林の個展用の作品を持って、岩渕とともに上海に行かなくてはならない。
帰ってきて、韓国ソウルでのアートフェアーKIAFや台北のフィギュアショウ、台北のアートフェアなどがが控えていて、そこに来てスタッフの一人が手術で長期入院、更に10年勤めた女性スタッフがこれまた体調の不安を訴え、退職することになり、零細企業は老骨鞭打って社長が働かなくてはならない。
私どもの画廊企画以外でも、来年の春まで内外での美術館、グループ展や個展の予定が次々に入っていて、私自身の身体が持つかどうか心配である。
なんとか頑張るしかない。

8月17日 初日

台風が去り暑さが戻ってきた。
その暑さの中、中村萌の展覧会初日を迎えた。

アートフェア東京の時と同様な混乱を避けようと、今回は警備員を二人配備して、朝8時から待機したが、10時半になっても誰も見えず、全くの拍子抜け。

作品はオリジナル、150限定ののフィギュアも前日までに完売していて、それでもなんとかならないかと言ってくる人がいるのではと戦々恐々としていたが、これも今のところは無しで、ありがたいことなのだが、身構えていただけにどこか肩透かしを食らったような気分である。

今回は先着順や抽選をやめ、事前にお得意様だけに限定して販売するとの告知をし、また近隣の迷惑になるので、画廊の前には並ばないようにとの通達をホームページやフェースブックで流していたことが功を奏したのかもしれない。

暑い中を手持ち無沙汰の警備員の方には申し訳ないが、何事もなかったことを喜ばなくてはいけない。


8月15日 中村萌個展

8月4日からの夏休みを終え、13日からは中村萌の個展の準備で休みボケも一気に払拭される。
ようやく昨日搬入展示を終え、あとは明後日からの初日を迎えることになる。

海外での人気が高まるにつれ、多くの方から購入希望の問い合わせが休み中にも殺到し、有難いことではあるが、点数に限りがあり、お断りをせざるを得ない状況となっている。
作品は以前に比べ格段に進化していて、細かい彫りが彫刻全体の質感をより高めている。
表現も今回は柔らかで温かな雰囲気を醸し出している。

更に特筆すべきは、今まで以上の大作に取り組んだことである。
高さ2メートルにも及び、巨大な立像は圧倒的な迫力をもって観る者に迫る。

先にも述べたような細かいエッジが全体を包みこみ、長く伸びた髪の毛のようでもあり、細い葉の衣装をまとっているようにも見える。
森に精霊ががいるとすれば、まさしくこの立像のようなものなのかもしれない。
母が子を抱く姿は神々しく気高く、その前に佇むと、心安らぎ、敬虔な気持ちに包みこまれ、思わず祈りを捧げたくなる衝動にかられる。
まさしく森の女神像であり、もしくは菩薩像と言ってもいいかもしれない。

この力作の制作過程が、大学で映像を専攻する黒岩蓮さんの手による短編映画の中で、つぶさに描き出されていて、会場内にて上映されることになっている。
因みに、蓮さんの祖母はニキ・ド・サンファールの大コレクターであり、ご両親はそのコレクションを管理し、
六本木の国立新美術館や韓国の美術館で、そのコレクションが展示され、多くの入場者が詰めかける展覧会となったことは記憶に新しい。
大学で油絵を専攻していた中村萌がニキの作品を目にしたことで、木彫を志ざすきっかけになったのだが、
ニキコレクターの孫である蓮さんが処女作となる中村萌のドキュメンタリーを制作したのも、どこかで繋がっている縁を感じざるを得ない。

既に海外からお世話になっているコレクターの方が画廊が次々と見えていて、その応対に追われ、初日がどうなるのか怖いくらいである。


8月2日 夏休み

4日から12日まで画廊は夏休みを取らせていただく。

オークションの整理も一段落で、一部まだ取りに見えてない方がいるが、ほぼ完了といっていいだろう。
入金は7月30日までとなっていて、若干お支払いのない方がいるが、出品者にお支払いしなくてはならないので、一日も早くお願いをしたい。

夏休み明けは中村萌の個展なのだが、海外からの購入希望者が100名を超えていて、その対応に追われている。

すでに私どものお得意様の予約で完売となっていて、多くの方にお断りをしなくてはならず、大変心苦しく思いをしている。

転売をされる方も多く、そうしたブローカーが初日は詰め掛けてきて、行列をするかもわからず、それが何よりの心配である。

前回のアートフェアの個展の折には、転売屋に雇われた人達が多数並んで大混乱になり、警察まで来る騒動となった。

今回は先着順も抽選もせず、お得意様だけの販売としているので、前のようにはならないと思うが、万が一ご近所に迷惑をかけてはいけないので、 警備員を2人雇い、警察にも事前に何かあればすぐに来てもらう手はずになっている。

この仕事に携わって50年になるが、まさか警備員まで雇って展覧会するとは夢にも思ってもいなかった。

何もないことが一番で、無事展覧会がスタートできることを祈るばかりである。


7月30日 作品の紹介

いきなりの暑さで熱中症で病院に運ばれる人も多いようだ。
画廊の中もエアコンは効いているが、落札作品と片付けられた作品の山に囲まれ、なんとも暑苦しい。

今週いっぱいで夏休みに入るので、落札された方は暑いのに申し訳ないが、一日も早く引き取りをお願いしたい。

夏休みが終わると早速に中村萌の搬入と展示が始まる。

300キロ近い大作もあって、これまた展示に一苦労なのだが。

彼女も今追い込みで大変だろうが、なんとか制作が間に合ってくれるのを願う。

出来上がった新作と150限定のフィギュアを紹介させていただく。



7月29日 梅雨明けと中村萌個展に関して

ようやく今日関東地方の梅雨明けが発表された。
昨年より1ヶ月遅い梅雨明けだそうだ。

長雨と梅雨寒でうんざりしていたが、突然猛暑となるとあの寒さが懐かしいから人間の身体は勝手なものである。

昨日は久しぶりにゴルフをしたが、暑さに慣れないせいかクタクタ。
スコアーもクタクタ。

画廊は今週いっぱいでオークションの片付けを終えて、12日まで夏休みに入らせていただく。

夏休みを終えるとすぐに中村萌の個展の準備となり、17日より中村萌個展が始まる。

既に毎日のように海外から個展の問い合わせと作品購入希望のメールが来ていて、どう対応していいか頭を悩ませている。

日本開催ということで、日本の私どもが日頃からお世話になっている方から優先的に予約を受け付けることにしようと思っている。
その後はこれも私どもの作家を多くコレクションしてくださっている海外の方を優先させていただくことにしている。

初めての方の中には、台湾や香港などの著名なコレクターからもオーダーがきていて、今後につながればとは思うのだが、それに応じるだけの作品がなく、 ここは日頃からお世話になっている方を優先させていただこうと思っている。

ただ、フィギュアはエディションがあるので、希望するようであれば、こうした方にもまず持っていただき、今後につなげていきたい。

それとおそらく転売目的の方も多く来られると予想されるので、今までのように先着順も抽選もやめて、予約のみとさせていただき、 どの方の予約を受け付けるかも、私の判断とさせていただこうと思っている。

更に、購入された方には三年間オークションに出品しないという契約書にサインをしていただくことにした。

混乱は予想されるが、なんとか中村の作品を長きにわたり愛していただけるお客様に渡るようにと願うばかりである。


7月26日 北原照久コレクション・SF&ROBOT展

北原照久氏のSF&ROBOT 展とトークショーに行ってきた。
浅井飛人の「黄昏」が展示されていて、トークショーの折に扱い画廊ということで私も紹介されてしまった。

このテーマにそったおもちゃコレクションや漫画雑誌は膨大な数で、それに加えて現代作家もので荒木博志のアトム、 ムットーニのジオラマなど多種多様なコレクションが所狭しと飾られていて、北原氏の飽くなき好奇心と探究心、それに加えての貪欲なまでの所有欲のなせる技ではないだろうか。
私も仕事柄マッドコレクターと呼ばれる人との縁も深いが、北原氏を知って、改めて世の中広いものだと感心させられた。

台湾のトイショーでも溢れんばかりの人がフィギュアを求めて殺到するのに驚かされたが、こうしたオモチャ、 フィギュアとファインアートのの境界が更に取り払われることで,新たなアートファンが増えることを期待する。

そういう意味でも、北原氏の存在は大きい。



7月24日 落札結果

約300点が落札された。

とは言え、700点を超える出品があったので、まだ壁面には多くの作品がアフターセールということで飾られている。
今日の午後には落札結果が指定の住所に届くはずで、明日からは作品の支払い、引き取り、送付の依頼で画廊は大忙しの一日となりそうだ。

すでに仕分けは済んでいるので、速やかにお渡しできる手筈にはなっているのだが、スタッフとアルバイトだけで果たして対応できるか不安である。

それに加えて、アフターセールで品定めする人も多くなりそうで、画廊の中はお渡しする作品で溢れかえっていて、足の踏み場もない状況の中、混乱なくすませることができるよう祈るばかりである。

また次回のオークションということで、150点にも上る出品依頼も来ていて、倉庫もいくつあっても足りそうもない。

アフターは今週土曜日までで、そのあとは画廊の片付けを終え、3日から夏休みに入らせていただくので、それまでには落札作品の引き取りはお願いしたい。

明けて、8月17日から中村萌の個展が始まるので、その展示で休み明けの13日からはその準備でまたまた大忙しとなりそうだ。


7月22日 オークション終了

20日から3日間の開催で、心配された雨も降らず、多くの方にお越しいただいた。

これから改札でどんな結果となるか、入札された方はもちろんだが、私たちもドキドキハラハラである。

76の入札箱を振ってみると、ほぼ全部と言っていいくらい入札表が入っている。

最低価格をかなり安めに設定をさせていただいたこともあってか、多くの入札をいただいているのだろう。

出品されたコレクターの方の思いを引き継ぎ、次のコレクターに作品を渡ることになるのだが、こうしたオークションがなければ、多くの作品は評価されないまま埋没してしまうかもしれない。
出品は個人コレクターの個性ある作品がほとんどで、一般のオークション会社に出るのとは違った作品であり、市場性があるものはそれほど多くはない。

それでも絵好きな人には魅力的な作品で、それを思案を巡らし入札してくださるのだからありがたいことである。
私にはこれが本来のアート市場なんだと思う。

こういう方達がいる限り、アートっていいな、アートって捨てたもんじゃないよねと思うのである。

入札されたみなさんそれぞれに作品が行き渡るように願うばかりである。

結果については改めて書かせていただく。

7月18日 いよいよオークション

いよいよ今週土曜日からギャラリー椿オークションが始まる。
昨日には750点の展示も終わり、後は最終チェックと入札準備をするだけ。
すでに多くの問い合わせが来ていて、問い合わせ作品の写真を送るのにスタッフは忙しくしている。
遠方の方は画廊にくることができないので、リストで関心のあるをチェックして、写真を送ってもらい、事前入札をする人が多い。
期日前投票と同じ様なものである。
投票日と入札日の日が重なり、忙しい方は両方とも事前に済ませるのをお勧めする。

出品作品は若手作家から古い作家まで、名品珍品が多数出品されているので、お時間のある方はお越しいただき、じっくりと品定めをしていただくのがよりベストではある。
せり方式と違いじっくりと作品を眺めることができ、お気に入りの作品を見つけていただきたい。

毎夏恒例のイベントで楽しみにしている方も多く、大勢の方で賑わう週末となりそうだ。

この週末に梅雨も明けてくれればいいのだが。


7月13日A T氏コレクション

続いてT氏コレクションの200点余がギャラリー椿オークションに出品されます。
現代アートを中心に初期に集めた油彩も出品され、コレクションの変遷が伺えます。

川俣正、流麻仁果、菊池玲司、エルンスト、小川信治、山下菊二、関根伸夫、草間弥生、石元博康、森山大道、滝口修造、桂ゆき、夏目麻麦、堀込幸枝などなど。






7月13日@ I氏コレクション

来週20日から22日までのギャラリー椿オークションには昨年夏に急逝されたI氏コレクションの作品200点以上がご親族より出品されることになった。

I氏は若手作家のサポートに情熱を傾け、私どもの作家を始め多数の若手作家たちの作品をコレクションされた。
それは大変熱心で、いつも展覧会に作品が到着するのを待ち構えて、いち早く作品を見るのであった。
その熱い想いは志半ばで途絶えたが、ぜひI氏の想いを引き継ぎ、オークションにて手元においていただければ、I氏への何よりのはなむけになるのではないだろうか。
ご参加をお待ちしている。

出品作品の一部を紹介させていただく。

山田純嗣、スズキマサアキ、呉亜沙、井澤由花子、篠原愛、大坂秩加、永山真索、大谷有花、佐藤香奈、小野寺麻里、大河原愛、夏目麻麦





7月12日 食事会

ここ連日食事会が続き、イタリアン、すき焼き、鰻、天ぷらとお腹の休まる暇がない。
写真をFBや日記でアップしているが、お腹の出っ張りが気にかかる。

ロータリーの仲間と月曜は広尾のイタリアンレストランで年度替りの親睦会。
30名ほどが集まり和気藹々賑やかな会となった。
ここ最近はこうした集まりに新旧多くの会員が集まり、私が入会して43年になるが、久しぶりにクラブが一体となって活気のあるクラブ運営ができている。

翌日はお昼から小学校のクラス会。
私達のクラスは25名と少なく、内4名が鬼籍に入ったが、16名と多くの仲間が参加した。
担任の先生はその後東工大の教授を務め、定年後も東工大の仕事に携わり、90歳を機に退職されたというから驚きである。
その矍鑠たる先生を囲み、先生以上に歳がいったように見える我が教え子たちは60年以上前に戻り、豆腐料理、すき焼きをつつきながら懐かしい話に花が咲いた。

クラス会を終えて、ジュリアンオピー展の内覧会に向かう。
そこで出会ったパトロンプロジェクトの菊池さん達と、コレクターでお世話になっている初台の鰻屋さんに向かうことにした。
ご主人にとっておきのおいしいワインを振舞っていただき、これまた美味の鰻重に舌鼓を打つのであった。
最も私は下戸で食べる方専門なのだが。

そして翌日はこれまたロータリー仲間数人と贔屓の天ぷら屋へ。
ここでもワイン、シャンパン、日本酒を飲みながら揚げたての天ぷらを食べるのであった。
この中には80代が4人もいるのだが、その元気きなことといったらない。
当然私は食べるだけで、いつものごとく割り勘負けをするのであった。

左に座ってられるのが90になられた先生。

7月11日 ギャラリー椿オークション

7月20日から22日まで私どもで恒例のギャラリー椿オークションが始まる。

750点を超える作品が出品される予定で、ピカソ、ポロックなどの海外作家から日本の棟方志功や三岸節子などの著名作家、 世界でますます評価の高まる草間弥生、菅木志雄、写真の森山大道、石元博康、アラーキー、幻想美術の山下菊二、中村宏から若手の人気作家まで各分野の作家の作品が出品される。

入札形式で行われるのでじっくり見ていただき掘り出し物を見つけていただきたい。

一部を紹介させていただく。







7月10日 アトリエインタビュー

パトロンプロジェクト代表の菊池麻衣子さんが化粧品の業界誌「国際商業」のアート欄のインタビューのため、中村萌のアトリエ訪問に同行した。

アトリエは「Kunst haus(クンストハウス)」と言って 10人のアーティストがシェアをしているアトリエである。

8月17日から予定されている個展のために、大作を制作中で、その合間を縫っての取材であった。
美術とは違う分野での紹介だが、関心を持ってもらえればありがたい。


7月9日 ジュリアンオピー展

イギリスを代表する現代アーティスト・ジュリアンオピーの展覧会がオペラシティーギャラリーにて明日から始まる。
それに先立ち内覧会に行ってきた。
オピーは点と線のシンプルな画面構成で知られ、その表現は絵画、版画、立体、ビデオと多岐にわたる。
今回の展示は25点と少ないが、会場に入ると圧倒されるような大作が2点目の前に現れる。
オピーが直接壁面に描いたものを下地に、その上にフォルムをかぶせたもので、天井までいっぱいに描かれた大作で、そのために早くに来日し、会場構成を含め全て自身の手によって準備された。

展覧会が終わって、壁に描いた作品がどうなるか気になるのだが、どうやら破棄されるようだ。
壁の一部でもこそっと手に入れたいものである。

会場で明日、中村萌の取材でアトリエに一緒に訪ねることになっているパトロンプロジェクトの菊池さんが偶々いて、彼女のインタビューに便乗して、オピーさんと一緒に写真を撮って貰った。

作品同様にお洒落なイケメンで、なんとなく気後れしながらも記念の写真となった。

同時開催で寺田コレクションでは池田良二治の版画作品が並んだ。
初期からの作品が多数あって、興味深い展示であった。



7月7日 補聴器

先日のペット検査の結果が送られてきた。

特別問題になるところはなく、初めて受けた脳検査でもアルツハイマーの所見は見当たらず、まずは徘徊逆走の心配はしなくてすみそうだ。

健康であることは自分にとってもありがたいことだが、それ以上に家族に迷惑をかけなくて済むのが何よりである。

ただ老人力はますます高まるばかりで、指先の感覚が衰えてきたのか、紙やレジ袋をめくるのがままならない、車がまっすぐ止められない、テレビの音量がますます大きくなる、 靴下を履くのに一苦労などなどさまざまな症状が出てきている。

一番困るのはテレビもそうだが、話し声が聞こえなくってきたことで、お客様と話していても聞き取れないことが多く、 生返事をしたり、とんちんかんな受け答えをしていることが多くなった。

そんなこともあって補聴器の無料試聴というのをやってみた。
試してみると性能が良すぎるのか、本をめくる音や風に揺れる葉っぱの音まで聞こえてきて、かえってと鬱陶しくなり、すぐに返してしまった。

それよりも驚くのは価格が60万から80万円もしていて、それが永久に使えるのではなく、5年ほどで交換しなくてはいけないのと、電池も一ヶ月くらいで替えなくてはならず、 その電池もコンビニで売ってるようなものではなく、専門店で買わなくてはならず、これまた高いときている。

そんなこともあって補聴器は諦めたのだが、偶々家電量販店で補聴器に代わる集音器というのを見つけた。

試してみると相手の声やテレビの音がよく聞こえる。
更にいいのは電池でなく充電式なのと、価格も補聴器に比べるとかなり格安でいうことなし。
早速購入することにした。

欠点は聞こえすぎて、自分の声がうるさいことだが、これは致し方ない。
しばらくはこれで試してみようと思っている。

7月1日 ボルタンスキーと塩田千春展

今日は画廊を休んで、国立新美術館のボルタンスキー展と森美術館の塩田千春展を見に行ってきた。

二つとも大掛かりなインスタレーションが注目の展覧会。

まずはボルタンスキー。

現代のフランスを代表する作家で、活動の全貌が見られる日本では過去最大規模の回顧展。
映像、写真など多彩な表現の作品とともに暗い空間にいくつかの巨大なインスタレーションが並ぶ。
私には不安感を増幅されるような作品が多く息が詰まりそうだったが、唯一日本の風鈴を使ったインスタレーションが安らぎを感じさせてくれる。


塩田千春。

ベルリンを拠点に精力的に発表を続ける塩田の25年にわたる活動の全貌を見ることができる。
こちらも圧倒されるようなインスタレーションが並ぶが、ボルタンスキーと違ってインスタレーションに身体ごと包まれるようで心地がいい。
展覧会タイトルの「魂がふるえる」を実感させられた。

糸を張り巡らせたダイナミックな空間は圧巻で、日本人でそれも女性作家でこれほどスケールの大きい作家がいたとは驚きで、今後世界のアートシーンの頂上を極めるのは間違いなさそうだ。

思わず、帰りに彼女のリトグラフを衝動買いしてしまった。



7月1日 もう7月

もう7月で、あっという間に半年が過ぎてしまった。

年々月日の経つのが早く感じるようになって、よく言うように、歳をとると一日が長く、一年が早いのを実感している。

今月は一月前倒しで、毎夏恒例のギャラリー椿オークションが20日から3日間開催されることになっている。

約600点の作品が出品されることになっていて、著名作家から若手まで多数の作品が並ぶ。

掘り出し物を探しに是非お越し頂きたい。

海外では6月29日からすでに始まっているが、ロスアンジェルスのCorey Helford Galleryでキティちゃんの誕生45年を記念したグループ展が開催されている。

オープニングの様子が送られてきたので紹介をさせていただく。

参加している山本麻友香の作品には海外のお客様から多くの問い合わせがあったが、こちらのギャラリーのみでの販売ということと、 著作権の関係もあって、類似した作品の制作も難しく、この一点のみとなっていて、それもすでに売れたとの報告を受けている。
以前に鉄腕アトムの一部を絵に取り込んだ作品を山本が描いたことがあったが、これも著作権料を手塚プロに納めなくてはならなかった。

キャラクターものをテーマにするにはなかなか難しい面がある。

今、イギリスの大英博物館や日本の美術館で漫画をテーマにした展覧会が多く開かれていて、 そんなこともあってか手塚の作品はオークションでも高い価格で取引されるようになり、ますます著作権との関連が問題視されてくることになるだろう。

9月に親しくさせていただいている手塚治虫のご子息で映画監督をされている手塚眞氏にロータリークラブでお話をしていただくことになっていて、 この辺の問題にも触れてもらえればと思っている。

山本にはこうした機会を与えてもらったこともあり、次の展開にもおおいに期待をしている。


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