ギャラリー日記

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9月30日

明日からまた韓国。
ソウルで始まるアートフェアーKIAFに参加するのと、アジア画廊協会代表者会議が3日にあって、明日の早朝に出発。

今回のフェアーは釜山のギャラリーWOOさんが手伝ってくれるので、こちらは気楽なもの。
WOOで開催した山本麻友香の個展の作品を中心に並べることになっている。
12月はソウルのSPギャラリーで山本麻友香の個展予定があり、更には来年4月にテグのJ−ONEギャラリーでも予定されていて、その二つの画廊のブースにも彼女の作品が並べられる。

韓国も経済が下降気味で、フェアーの動向も気になるが、地元の画廊が頑張ってくれることで、私のところの売り上げに繋がるので、何とか頑張ってもらいたいものである。
またフェアーの様子は日記やフェースブックでお伝えしたい。

9月29日

日曜日は所属しているゴルフクラブの委員会があって6時半集合。
先に委員の人とラウンドして、その後昼食を終えて会議となっている。

一緒にプレーする中に女性の委員が二人いて、同じ白マークからスタートすることになったが、無茶苦茶上手くて、飛距離も私とさして変わらない。
もう一人の男性委員に負けるのは仕方ないとしても、女性二人にもスコアーで大きく引き離されてしまった。
負けてなるものかと思えば思うほど力が入り、チョロはするは、OBは連発するはで恥ずかしい限りであった。

次回は会議だけにして欲しい。

9月28日

イギリス出身のアートコーディネーターのライアン・ロス氏の招きで、汐留にあるイタリアンレストラン「BECE」で昼食。
ここには彼が選んだ日本人、韓国人作家の二人の作品が飾られている。
まだ若い彼だが、世界17ヶ国で多くのアーティストを紹介し、発表の場を提供しているそうだ。

今回はロスアンジェルスのある財団のチャリティーオークションに森口祐二の作品を出品しないかとの話で、直接森口にコンタクトを取ってきた。
海外との話で不安なこともあり、私がその間に入って契約等についての話し合いを持つことにし、「BECE」でランチをしながらとなった。

ロスに送る費用は財団持ち、オークションで落札した価格の半分をチャリティーに、半分を作家に還元し、最低価格は作家側の提示価格とするということだったが、契約書をよく見てみると二通りあって、一つは100%寄付の場合は財団が経費を負担、50%の時は作家が負担となっている。
1点は必ず100%寄付としなくてはならないと書いてある。

寄付文化の国アメリカでは、それが当たり前なのかもしれないが、落札されるかどうかもわからず、作家負担でアメリカに送るリスクと、1点は寄付という話には乗れないと言うことで、お断りをすることにした。
ロスの大金持ちが高額で落札する可能性もあり、これをきっかけにアメリカでの展開の可能性もあると言われたが、あくまで仮定の話なので?

彼がよくわからないままに契約書にサインをしていたら、とんでもないことになっていたが、ライアン氏も依頼された仕事なので断るのはぜんぜん構わないとアッケラカンとしていた。
話は成立しなかったが、東京湾や浜離宮を一望に見渡す豪華レストランで美味しいイタリアンをご馳走になっただけでも良しとしなくては。



9月27日

昨日は青柳正規文化庁長官就任のお祝いの会に出席した。
受付に行くと、東京美術倶楽部の青年会のメンバーがずらりと並び、受付のお手伝いをしていて、いつもながら美術倶楽部の結束力には驚かされる。

会場には400名を超える人が来ていて、政治家から文化庁、美術館関係者、美術商など大勢の人で賑わっていた。
何人かの挨拶の中で、下村文科大臣が青柳長官のような現場の人が登用されたこともあって、文化立国を宣言し、文化庁の予算を今までの2倍・2000億円にすることを約束すると言っていた。
ここしばらく、自分の仕事以外に忙しくしているが、未来に繋がる文化行政の話が聞こえるようになり、嬉しい限りである。



9月26日

昨日は釜山のスタッフと一緒に銀座の主要画廊のプロモートのお手伝い。
日動、泰明、小林、広田美術や京橋界隈の南天子、セラー、戸村といった所を廻ってきた。
小雨降る中を案内して廻り、汗びっしょりになったが、どうも頼まれると嫌といえない性分で、これも仕方がない。

偶々日動では開光市の個展をやっていて、久し振りに作家にも会うことが出来た。
しばらく疎遠になっていて、彼も敷居が高くて行くに行けないと言っていたが、気にせず遊びにくるように言っておいた。
絵のほうは少し明るく優しくなってきていて、以前のような凄みには欠けるかもしれない。
ただここしばらく引き篭もりが続いたので、絵が明るくなったのは気持ちが前向きになってきた証しなのだろう。

また泰明でも、以前に香港のフェアーに紹介をしたリーリーちゃんことSHAO・LIの展示を見ることができた。
東京芸大の大学院に留学中の可愛らしい中国からの留学生で、見たことのある作品と共に新たに大きな作品がいくつも並び、前に見たような荒さが少なくなり、描写力の腕もだいぶ上がってきたようだ。

こうした老舗の著名作家を扱う大手画廊で、私が関わった若い作家の個展をやっているのも時代の流れなのだろう。

9月25日

連休の最中、大ヒットとなった「半澤直樹」の最終回と我が巨人軍の優勝決定の瞬間が重なることとなり、ミーハーの私はどちらを見るか大いに頭を悩ませた。
結局は巨人戦を録画して、後で感激を味わうことにして、半澤を見ることにした。(巨人ファンの風上にも置けないと怒られそうだが)

最後のどんでん返しは既に本で読んでいて、結末もわかっているのだが、それはそれでハラハラドキドキで楽しませてもらった。
上司に逆らう主人公を自分に置き換えて、溜飲を下げたサラリーマンも多かったのではないだろうか。
紅白や朝ドラや大河ドラマも見たことのない私が見るくらいだから、相当な視聴率だろうと思っていたが、42%を超えたというから驚きである。
それも巨人の優勝決定の試合がある同じ時間帯だから、これがなければお化けのような数字が出ただろう。

私が以前に正月の夜中の12時過ぎの番組に出た事があって、そのときの視聴率が3%ちょっとだったように記憶しているが、それでも多くの知人から見たよとの連絡をいただいたことがあった。
それの倍返しではないが、10倍以上の数字なのだから、どれだけの人が見ていたのだろうか。

続編を見たいという人も相当いるだろう、私もその原作も既に読んでいて、これも今まで以上に面白くて、次が楽しみである。

9月24日

昼から釜山の事務局の女性スタッフが二人画廊を訪ねてきた。
昨日の夜にニューヨークから日本に来て、今日明日と東京の画廊を廻り、明後日は京都大阪の画廊を廻り、土曜日に東京に戻って釜山に帰るという強行軍。

釜山のフェアーのプロモートなのだが、前回以上に熱心に参加依頼をされた。
今年の釜山のフェアーも光州もそうだったが、日本の作家があまり売れず、韓国作家の作品で売り上げを上げるという変則的な形で、本来の目的である日本人作家の紹介からは程遠くなってしまった。
そんなこともあって、来年の釜山フェアーは参加を躊躇していたのだが、美人スタッフ二人を送り込んできた向こうの戦略に乗ってしまい、心ならずも参加しますと言ってしまった。

その上、他の画廊の参加に力添えをということで、明日は近隣の画廊を案内することになった。
お昼までご馳走になってしまい、食い気と色気にすっかり篭絡されてしまった私である。

9月23日

連休は河口湖でのんびり。
ママチャリで湖畔をサイクリング。
電動自転車だが、乗りなれない私はお尻が痛くてしょうがない。
自転車日本一週とかツーリングをしている人はどうしているのだろう。

コスモスが咲き乱れ、ススキが高く伸びていて、河口湖は既に秋の気配。
気温も朝は12度くらいで、思わず身震いがするくらいの寒さ。
木々も少しづつだが色づき始めたようだ。



9月21日

昨日は文化推進議員連盟と全国美術商懇話会の会合に出席した。
お歴々の前で、「国家戦略の柱の一つに文化を」ということで浅木理事長の挨拶の後に話をさせていただいた。
どの程度ご理解いただけたか分からないが、そうした構想のきっかけになってくれればと思っている。

終わって画廊に帰ると、偶々平成26年度の文化庁概算要求の資料が手に入った。
見てみると標題が「世界に誇るべき文化芸術立国の実現・2020年が日本が文化芸術のハブとなる」となっている。
私が常々言っていることが予期せず織り込まれている。
詳細を見てみると、『芸術文化の世界への発信と新たな展開』において、日本国内の国際フェスティバル、アートフェアー開催、海外の国際フェスティバルやアートフェアーの参加に対して支援を行うという内容で、初めて現代アートを対象とした予算が盛り込まれたことは特筆すべきことである。
約18億円の要求であるが、1000億円しかない文化庁予算の中にこれだけの数字を組み入れていただいたことは、私共にとっては何よりのことである。
更には、「文化芸術の発進力の強化」に昨年度以上の約8億5千万円を超える予算も盛り込まれている。

私が提言させていただいたことと合わせて、議員・役所がその端緒についていただいたことは、今までのことを思うと一歩も二歩も前進といっていいだろう。

9月20日

明日から呉亜沙展が始まる。
4年ぶりの個展である。

二人目の子供が産まれ、育児の中で子供達が寝静まってからの仕事であったが、その凝縮された時間の中で逆に緊張感のある充実した作品が生まれた。
100号の3点組から小品まで、今回は彼女の日常の中から生まれた作品だそうだ。
二人の子供が登場し、草花に包まれた姿は子供の成長への思いを表現している。
黄色い花は菜の花で、彼女の母親の実家のある岩手の原風景。
身体を包む草花は雑草で、雑草のように逞しくの想いが込められているのだろうか。

今までとはまた違った色彩豊かな呉亜沙ワールドをご覧いただきたい。



9月19日

昨日、首相官邸を草間弥生が表敬訪問をした。
河口湖美術館で開催された高橋コレクションを安倍総理が見に行ったお礼ということで、草間氏と現代美術コレクター高橋龍太郎氏、青柳正規文化庁長官、この段取りをした彩鳳堂画廊の本庄社長が出向いた。
もう少しメディアが取り上げると思ったが、美智子妃殿下が森美術館を訪ね、現代アートに触れたときほどの話題性はなかったようだ。
その折の総理の現代アートを海外に発信したいという発言は、社交辞令ではなく是非実行して欲しい。

明日、「文化藝術を考える議員連盟」からの呼びかけで、会合を持つことになっていて、甘利明経産大臣、河村建夫党選対委員長、谷垣禎一法務大臣、古屋圭司国家公安委員長、野田佳彦元総理、太田昭宏国土交通大臣等超党派の国会議員9名と面談することになっていて、総理発言を是非実現して欲しいとお願いしてこようと思っている。



9月18日

朝日新聞の朝刊のリレーオピニオンに東京現代美術館チーフキュレーターの長谷川裕子さんの記事が掲載されていた。
文化政策に世界戦略をとのタイトルで語っているが、私が常日頃言っていることと同じで我が意を得たりである。

アジアの近隣諸国にに遅れを取ってしまった日本の文化政策には戦略のかけらもない。
行政支援なくして、文化の育成・発展はあり得ないので、美術業界、美術館関係者、アーティスト、コレクターと美術に携る人が声を揃えて叫ばなくてはいけない。
私の周辺の状況を見ていると、若干動き出したかなとは思っているが、ここで一気に盛り上げていかないとその僅かな動きも消えてしまう。
日本が諸外国に遅れを取らないためにもこの動きを活性化したい。

今日も全美連の会合があって、そうした動きに対する技術論が討議されたが、先ずは私達が文化に対する大きなビジョンを持たなくては、多くのコンセンサスは得られないと申し上げた。



9月17日

読売新聞に 次のような記事が出ていた。

文化のおもてなし。
文化庁は2020年を目標に、文化芸術立国中期プランの検討を進めている。
地域の伝統芸能を生かした参加・体験型プログラムや五輪選手とほぼ同数の約1万人の芸術家を受け入れる計画などが検討されている。
21世紀に相応しい成熟した多文化の交流を実現させたい。

嬉しいニュースだが、現代の日本の芸術を紹介するプログラムがその中に入っているのだろうか。

おりしも、今年度の文化庁長官に国立西洋美術館館長の青柳正規氏が任命された。
有識者やお役所からの天下りではなく、現場から初めての登用である。
9月26日にその就任をお祝いをする会の案内が送られてきて、私も出席の返事を出させていただいた。

氏に期待したいのは、日本古来からの伝統芸術を紹介するのはもちろんだが、今ある文化、将来に繋がる文化をこの機会に海外に発信していただくことが肝要で、海外から受け入れるだけの一方通行にならないようにしていただきたい。
現代アートにおいても、今もてはやされているサブカルチャー、具体美術、もの派全てが海外マーケットに追随していることは論を待たない。
日本での評価がグローバルスタンダードになるべく、我々のような民間の力だけではなく、行政側からの支援を大いに期待したい。

10月30日には音楽・演劇・映画などの団体と共に全国美術商連盟も加盟している文化芸術推進フォーラムの会合が、東京美術倶楽部で開催される。
そこで、フォーラムの大きな目標である文化庁を文化省に格上げする議題が取り上げられ、それに向かっての戦略が練られることになっている。

オリンピック開催決定が、文化に対するムーブメントの大きな起爆剤になってくれるといいのだが。

9月16日

昨日、今日と連休は台風がやってくるということで、外に出ることなく、家に閉じこもりの二日間であった。
二日間も家にじっとしていることはいつ以来だろうか。
美術館に行ったり、別荘に行って畑仕事をしたり、ゴルフをしたり、買い物したりで、家にいることは先ずないのだが、久し振りに家でのんびり過ごした。
今流行の半澤直樹も一気に読んで、勧善懲悪スカッとした気分になり、子供や孫に手作り料理を振る舞い、気に入らないのは巨人軍が連敗したことぐらいで、いい気分転換をさせてもらった。

家内の実家の嵐山は台風で大変なことになっていたが、何の被害もなかったようで、こちらも雨風は凄かったが、予想されたほどのこともなく一安心。

来週の連休はさて何をしているだろうか。

9月15日

全国美術商懇親会という全国美術商連合会とは別組織の会がある。
前身に自民党とその政治資金団体への支援を目的として活動してきた全国美術商自由国民会議というのがあったが、平成5年の政権交代のおりにその活動を凍結していた。
それを引き継ぐ形で組織され、自民党だけでなく、文化行政に関心のある超党派の政治家たちの支援をし、文化政策や文化行政改革への提言やその実施を目指した団体である。

国会議員の中にも甘利明経産大臣を座長に文化芸術を考える議員連盟という超党派の会が一昨年に結成され、文化とりわけ美術に関する行政改革や刷新に前向きなグループで、自民、公明、民主、維新から17名が参加している

この両者が初めての会合を持つことになり、私も出席することになった。

おりしも、オリンピック・バラリンビッグ開催が決定し、行政の動きも活発化してきたようで、この会合も実りあるものとなればいいのだが。

9月14日

今月の男の料理教室・基本コースはハンバーグとコーンスープ。

お子様料理と馬鹿にしがちだが、なかなかどうして奥が深い。
デミグラソース作りから始めるが、最後にちょっとだけお醤油を入れるのがみそ。
ハンバーグも肉の混ぜ具合、焼き加減で出来が違ってくる。

コーンスープもハンバーグ同様にたまねぎのみじん切りから。
涙が止まらなくなるが、新聞に涙が出る原因のたまねぎの酵素を発見して、イグノーベル賞を受賞したとの記事が出ていた。
ノーベル賞のようにお堅いものではなく、ユーモアーセンスにあふれた研究ということで毎回話題になっている。
この発見で涙が出ないたまねぎが出来るかもしれないとのことで、もう少し早ければ、私のみじん切りにも間に合ったのに。
缶詰のコーンを使ったが、我が家には畑のとうもろこしの実を採れたてのまま冷凍してあるので、これを使えば更に新鮮で美味。

ハーブとチーズで和えたプチトマトを添えて出来上がり。
盛り付けもソースは下から上にかけるときれい。

高級レストラン並みのハンバーグとコーンスープが出来上がり。



9月13日

光州の日記に写真を添付したので、関心のある方はどうぞ。

今日もまた真夏のような暑さで、韓国の涼しさになれた身体にはきつい。

この暑さの中を、恒例の築地市場による野菜の無料配布が行われていて、長蛇の列である。
大根とバナナを配るだけなのだが。

今度の連休に、隣にできたスクエアーガーデンの1階広場にも模擬店のようなものが並ぶとのことで、祝オリンピック・パラリンピック招致記念の垂れ幕も用意したようだ。
ところが東京都と中央区からオリンピックの文字を使ってはいけないとの通達が来て、垂れ幕は無用となってしまったようだ。
IOCの規約で厳しく規制されているようで、デパートなどにあった垂れ幕も取り外さなくてはいけない。
スポンサー企業の兼ね合いや便乗商法を防ぐ意味もあるのだろう。

商標侵害、コピーから贋物なんでもありの中国の北京オリンピックの時はどうだったんだろう。



9月12日

韓国から帰ってきて、日本のあの暑さにもどるのかと恐れをなしていたが、向こうほどではなくても秋の気配が感じられ、ほっとしている。
と思った矢先に今日はまた夏の気候。

8月のオークションも出していただいたお客様への支払いを全部終えて一段落。

ただ未だにアフターセールのお問い合わせがあり、まだ残っているものには対応出来るので、遠慮なくお申し出いただきたい。
10万円を超えるものはほとんどないちっぽけなオークションだったが、300点が落札され、塵も積もればで出来高も1300万円近くとなり、落札された方にも、出品していただいた方にも喜んでいただけたのではないだろうか。

お客様の中には年2回やって欲しいという方もおられるが、専門のオークション会社ではないので、そうはやってられないが、夏には毎年開催していきたいと思っている。
そのためにも、まずお客様からの出品がなければ成り立たないので、是非整理をお考えの方は、ご一報をお願いしたい。

9月11日

10月27日に開催される日本橋京橋祭りのイベント協力を依頼されていて、中央通りでワークショップを開催することになった。

私どもの作家はタレント揃いだが、今回は北村奈津子にお願いをした。

対象を子ども連れの親子ということで、無地の手袋を使って動物を作る案と動物の原型を用意して、毛糸や紐を巻いてぬいぐるみのようなものを作るプランを出してくれた。
3月の大根河岸命名式のおりには綿引明浩によるアクリル板を使ったペンダントのショップを開いたが、震えるような寒さの中で頑張ってもらったことが思い出される。

その綿引にこれも町会の依頼で京橋のロゴマークのプランを出してもらった。

京橋ゆかりの大根河岸と江戸歌舞伎発祥の地ということで大根役者というイメージキャラが出来上がってきた。
屋号・青物屋、芸名・京橋之介という落ちまでついている。
これを頼んで一晩で作ってきたからたいしたものである。
まだ町会の予算不足ですぐに採用とはいかないが、いずれ採用されて、京橋のシンボルマークとなるだろう。

こんな風に作家さんの協力を仰ぎながら、京橋街おこしのお手伝いをしている。



9月10日

昨日遅くに帰ったので眠くて仕方がない。
とはいえ個展開催中で休むわけにいかない。

幸い何人か親しいお客様がお見えになり、個展の作品を購入してくれたこともあって、老骨に鞭打って出てきた甲斐があったというものである。

他にも懸案の事項がいくつかあってのんびりしてはいられない。
その一つに韓国画廊協会から提案のアジア画廊協会会議の件で人選と日程を詰めなくてはいけない。

日本の業界の代表ということで全国美術商連合会の浅木理事長が相応しいのだが、同じ時期に大英博物館での浮世絵展のオープニングと重なり、代理として私に行ってくれとの命令で、ちょうどソウルのアートフェアーに参加することもあり、お引き受けした。
ただ、私だけでは荷が思いので、保守的な体質の打破を考えている役員の一人・彩鳳堂画廊の本庄氏と東京美術倶楽部副社長の横井春風洞・横井氏に同行してもらうことにし、多忙の中を1日から2泊3日の日程で調整をさせてもらった。
今後引き続き定期的に会議を開催し、アジア全体で美術マーケットの拡大を図って行きたいとの構想のようなので、今後の日本側の対応も考えていかなくてはならない。

そのためには、国内市場の拡大を目指してきた美術倶楽部主体のメンバーだけでは対応が難しく、今後は海外展開を目指すコンテンポラリー系の人達にも加わってもらい、一体となって新たな一歩を進めなくてはいけない。
それによって、温度差のある新旧画商が一枚岩となれれば更にいいのだが。

オリンピック開催も決まったことで、それに合わせたアジア全体のアートイベントを提案していこうとも思っている。
そのための具体案や行政の支援のための施策も講じなくてはならず、おちおちと休んではいられなくなってきたぞ。

9月9日

8日間の光州滞在も今日で終わり。
夕方4時過ぎの飛行機で金浦経由羽田に向かう。

その前にホテル近くの郵便局へ行って、日本から送った荷物を返送。
韓国作家ばかり売れたので、同じものをすべて返送しなくてはいけない。
それでも韓国から日本への郵送代は格安で、40号、20号3点、10号6点、その他工具、文具、資料など諸々が入ったものを、2個口に分けて送っても1万円。
全く同じ容量で、日本から送ると4万円。
行きに京橋の画廊から羽田まで宅急便で送ったトランクが1個で3000円。

日本が高いのか、韓国が安すぎるのか、どちらにしてもこの違いは何なんだろう。
小泉政権の郵政改革に反対した民主党、郵政族にこの仕組みを説明してくれ。

面白いのは、航空運賃は日本の方が割安。
航空運賃というのは、片道で採算が取れるようになっているそうで、帰りを如何にうめるかが利益の差となっているようだ。
韓国の仕組みはどうなっているのだろう。

私が泊まったホテルのテレビは日本の放送が映らないのと、周りに日本人が全くいないので、日本の様子はオリンピック以外全くわからない。
その後の汚染水がどうなったとか、G20がどうなったとか、我が巨人軍がどのくらい優勝マジックを減らしたかは全然わからない。
パソコンで見れるのだろうが、メールとフェースブック以外はパソコンをいじらないというより、いじれないので耳にも目にも入ってこない。
帰ってのお楽しみにしたい。

それから大量のキムチをお土産にもらって、ビニールやら何やらでぐるぐる巻きにしてもらったが、ホテルの冷蔵庫にいれておいたら、中で水分が溢れ出し、臭いことこの上なし。
諦めて、珍しくもないだろうが、こちらの作家にあげてきた。
他にも大きな花瓶をもらったが、これも割れるといけないので、ホテルの人にプレゼント。
ホテルの人も困ったような愛想笑いを浮かべていた。

何はともあれ早く帰って、キムチの匂いのしない食事がしたい。

9月8日

今日は最終日。

日曜日を入場料を無料にしたことで、お客様の数はいきなり多くなった。
参加画廊のブースフィーとホテル代を無料にして、この光州アートフェアーを大きなイベントにしようと主催者も頑張っているが、地元でのフェアーの認知が今ひとつなだけに、集客にも力を入れなくてはの施策が、入場料を無料にしようとの試みなのだろう。
ただこういうことが可能なのも光州市や企業の支援があってこそで、国と市の文化支援がこういうところにもうかがえる。

地元の新聞やテレビも大きく取り上げていて、ある新聞には数ある中から、私どものブースと屋敷妙子の作品が掲載されていて、ありがたい限りである。
メディアもこうしたイベントを大きく取り上げることで、行政と一体となって文化の活性化に一役かっているのだろう。

おりしも、2020年の東京オリンピックが決定したというニュースが流れてきた。
とてもうれしいことだが、日本から来ているのは私一人なだけに、喜びを分かち合えないのが残念である。

フェースブックを見ていると批判的な意見もあるようだが、国を活性化させるには、光州市のようにビエンナーレやアートフェアーなどのイベントを立ち上げることで、そうした思いを達成させようとしていることと同じではないだろうか。
希望を持って、一つの目標に向かって邁進することはとても素晴らしいことのように思えるのだが。
昔の東京オリンピック、ソウル、北京のオリンピックの後もそうだったが、それぞれの国が著しい発展を遂げたのはいうまでもない。
私たちビジネスに関わるものも、国が盛り上がり、経済が発展することで、マーケットにも展望が持てるわけで、先の民主党のように建て前論ではなく、実行することで前に進める必要があるむのではないだろうか。

20年を超える不況、震災と原発事故、近隣諸国からの圧力、良いことなしの日本に少しでも明るい兆しをもたらしてくれる東京オリンピックとバラリンピックの開催を国民の一人として大いに喜びたい。

9月7日

昨日の寒さと打って変わって、蒸し暑い1日だったが、それでも日本で言えば、初秋の気候だろう。
人出は土曜日というのに相変わらずで、昨日夕食を一緒にしたインドネシアの画廊さんはあきらめ顔で、バカンスと思っていると言っていた。



私のところはフォトアーティストのソルジュの作品に人気が集まり、今日はうれしいことに大きい作品を光州市美術館が購入してくれることになった。
私も日本で写真の企画をするが、思うように成果があがらないが、まだアートマーケットが確立していない光州で写真が当たり前のように売れるのには驚く。
今までアートの普及が遅れていた分、先入観を持たずに油彩画などと分け隔てなく見ることが出来るのかもしれない。
実際韓国の多くのブースで、写真やビデオの作品を見ることが出来る。

逆に版画のポジションは低く、ブースで見かける版画はインテリア的なものが多く、コレクターの関心は今ひとつのようだ。
日本のアートマーケットがドメスティックな発展を遂げたのに対し、韓国は欧米の影響を強く受けているのかもしれない。

9月6日

今日は朝から小雨が降っていて、半袖では震えるくらいの寒さ。

そのせいなのか、フェアーへの関心が低いのか、来る人は少なく会場は閑散としている。
どのブースを見ても、作品が売れている気配はない。
唯一、来年の春に山本麻友香の個展を予定しているテグのJーONEギャラリーが高額作品がすべて完売していて、 羨ましい限りである。
是非、来春の個展の折にも、今回同様の成果を期待したい。

私のところは幸い、JーONEほどではないが二人の韓国作家に人気が集まり、大作を含め10数点が売約となり、これだけ人が来ないフェアーとしては大健闘といっていいだろう。
二人とも地元光州の作家ということもあるのだろうが、今回のマネージメントをしている崔さんの頑張りも見逃せない。
彼女は偶々ある画商の紹介で画廊にやって来て、今回の韓国作家二人を私のところでぜひ展覧会をさせて欲しいと頼まれた。
二人は彼女の出身の光州の作家で、何とか日本での発表の機会を作ってあげようと奔走していた。
韓国にはフェアーや展覧会で大変お世話になっているので、恩返しのつもりで二人の展覧会をすることになり、それ以降も韓国のフェアーで紹介することとなった。

彼女は美術とは無縁で、大きな商売をしている日本の実業家と結婚し、何もしなくていい身分なのだが、この二人の作家を一人前にしたいとの思いは強く、及び腰の私もいつもねじ伏せられてしまう。

今回もブースに見える全てのお客様に、熱心に話しかけ説明をしている姿には頭が下がる。
他のどのブースを見ても、椅子に座ったまま見にくる人に話しかけようともしない。
完売しているJーONEもこれまた熱心にお客様に対応をしている。
その違いなのだろうが、これがなかなかできない。
ブースの中に入り、話しかけるきっかけになるような工夫は、私なりにしているが、それでも彼女のように一生懸命になる姿は、私どものスタッフにもぜひ見らなって欲しいものである。

偶々、紹介されたことが縁だったが、その出会いを大切にしたおかげで、こうした成果に結びついているのだろう。
残る土日も、今度は日本人作家にも彼女の頑張りが生かされることを願う。



9月5日

今日から本番。

案の定人出は少ないが、私のブースは地元の作家が出品していることもあって、唯一賑わっている。
お陰で韓国の作家の作品ばかり売れて、金額はたいしたことないが、赤印だけはいっぱいである。
明日はなんとかはるばる遠くからやってきて日本人作家の作品に赤印がついてくれるといいのだが。



9月4日

今朝は芸術の街というところを訪ねたが、これが珍道中。
地下鉄を降りてから何度も道を間違え、途中尋ねて教えてもらい、やっとたどり着いたところはギャラリーゾーンという名前のファッションビルで画廊の画の字もない。
ようやく分かった芸術通りは画材屋さんと額縁屋さん、お土産さんが並ぶ芸術通りで期待はずれもいいとこ。



くたびれ損でフェアー会場に戻ることにした。

今回のフェアーではどうやら日本からの参加は私のところだけになってしまったようだ。
ある日本の画廊が参加をキャンセルしてきたようだが、その理由が時代錯誤も甚だしく呆れている。
韓国は今、人身売買が横行していて、渡航禁止令が出され、女性スタッフが行くのは危険が伴うので取り止めにしたいというメールがきたそうで、同じ日本の画廊として恥ずかしい限りである。

たまたま韓国画廊協会の会長が来て、KIAFの折に香港、シンガポール、インドネシアに韓国、日本を含めた画廊協会の代表者会議を開きたいので、その段取りをしてほしいと頼まれた。
飛行機代とホテル代も負担するので、是非参加してもらい、アジア全体でこれからの文化戦略を討議したいとのことであった。
こうした大きな見地に立つ画廊もあれば、今回のような国辱ものの画廊もあって、思いは複雑である。

9月3日

光州に前日に到着。
光州は交通の便が悪く、直通便がなく、乗り継ぎも時間がかかり、10時間かかって光州の空港にたどり着いた。
空港には今回手伝ってくれる崔さんと作家のソルジュ君が迎えにきてくれていて、そのまま釜山で紹介されたARKギャラリーのオープニングパーティーに向かうが、既にパーティーは終わっていて、二次会でいきなり分厚いカルビをご馳走になる。
昨年の釜山で増えた体重をようやく減らしたのだが、最初からこれでは元の木阿弥となりそうだ。

今日はホテルで朝をゆっくりさせてもらい、昼過ぎから展示を始める。
崔さん、ソルジュ、同じく出品作家のソンスーに手伝ってもらい、早々と終えてしまった。
いつもだと一番遅くまでかかっているのだが、他のブースはまだ終わっていないというよりは、殆ど手つかずの状態で、私のところだけ余裕で明日のオープニングを迎える。






終わり間際に日本からの出品作家の屋敷さんが無事到着。
彼女を誘ってホテルで紹介してもらった参鶏湯のお店に。
彼女は参鶏湯自体も知らず、無論食べるのも始めてということで驚いたが、美味しかったのか完食。
私はあまり好きな方ではないが、ここの参鶏湯は今まで韓国で食べた中で一番かもしれない。

明日はオープニングが3時からなので、近くにある芸術の街というエリアに行ってみようと思っている。
多くの画廊と骨董店や古書店が軒を並べているとのことで、ソウルの仁寺洞のようなところなのだろう。

気候も朝晩は肌寒いくらいで、昼間も日差しは強いがカラッとしていて、明日も何よりの散策日和となりそうだ。

9月1日

9月に入ったというのに真夏の暑さ。
昨日もフェースブックに写真を載せたが、土曜日の午後だというのに、銀座通りは人影もまばらで、歩いているのは外国人の観光客ばかりだった。
彼らも日本はこんなに暑いのかと驚いていることだろう。

今日は日曜日で休みにしたいが、残った仕事と買い物を兼ねて、このくそ暑い中を画廊に来ている。
画廊の中もエアコンが止まっていて、サウナ状態で汗が噴出してくる。
とは言え、外の暑さも生半可でなく、気合を入れて買い物にも行かなくてはいけない。

私は明日から光州のアートフェアーに出かけてしばらく留守をするが、この暑さから逃れられるだけでも有難い。
行っている間に東京オリンピック誘致が決まり、わが巨人軍の優勝マジックが一桁になっていることを願う。
スポーツで国民が一体となり、気持ちも高揚し、景気浮揚に繋がり、ひいては私共も恩恵を被ることになる。
阪神ファンは盛り上がらないかもしれないが。

光州からもブログで現地の様子をお知らせするつもりでいるので、引続きご覧いただきたい。



8月31日A

大変興味深いことが書かれていたので、柳画廊・野呂洋子さんのブログを引用させていただいた。

私も学生時代は歴史に一番興味があり、高校時代は一番得意な科目はと問われれば、一番に日本史をあげたものである。
授業も一番熱心に聞いたほうだが、何故か授業は明治維新で終わってしまい、受験勉強もそこから先に進むことはなかった。
日本近代史、現代史を教えないことで、私達世代の歴史観は相当歪められたものになっている。

今時間が出来て、学びたいと思うのは日本の近代史・現代史で、野呂さんも同様のことを言っている。
彼女はふた廻りも若い同じ大学の後輩だが、戦後の歴史教育は時を経ても一向に変わっていないことが伺われる。
現代から近代を学び、そこから古代に移ってもう一度現代に戻るという教育をしていかないと、今の日本を客観的に見ることができないのではないだろうか。

日本人はなぜ日本のことを知らないのか    2013年8月31日
〜竹田 恒泰 著  PHP新書

 最近、日本のことをもっと知りたいな〜と思っていたところに日経新聞のPHP新書の広告に、この「日本人はなぜ日本のことを知らないのか」という タイトルの本を見つけたので、早速アマゾンで購入して読んでみました。

 読んだとはいっても、ざっとの流し読みでの感想ですので、深く読み込んでおりませんのでご容赦願います。
 やはり、日本人は世界でもかなり特殊な性格の人種であるということを確認いたしました。
 この本の帯にも書かれて おりますが、「日本は世界最古の国」であるということと、「戦争なく統一 奇跡の国家誕生」ということです。
 この、世界最古の国というのは、きっと学者さんたちによっては様々な見解があるのだと思いますが、基本的には王朝が交代するということは、国がかわるということで、日本は天皇を起点に古代から続く王朝を守り続けているということになっています。
 ですから当然、世界最古の国になるわけです。
 そこには色々な思惑があるでしょうし, 養子をとったり、様々な形式の継承があったのだとは思いますが、わかることは日本人は閨閥が続くことを強く望む国民であるということです。
 たとえば老舗企業が大事にされたり、日本の横綱だって血統がいいとメディア受けも良く、ファンが増えたり、歌舞伎などにいたっては血筋によって役柄まで決まっているというお話です。
 ですから、安倍首相を始め日本の政治家を見ても血統がいいと有利である国であるのは確かです。

 さらに「戦争なく統一された国」とありますが、話し合いで日本という国は出来あがったことになっています。
 つまり争いごとが好きではない国民だということです。
 その傾向は主に外交問題を見ると明らかで、日本人は争う事を極端に嫌って、譲歩する方を選びます。
 特にトップが戦う姿勢を見せることを異常に嫌う傾向があると思っています。
 その証拠に、日本の大企業の社長さん方はTVや新聞などで拝見する限りにおいては、非常に穏やかな風貌をしています。
 何しろ、建国の時から宗教の自由がある国というのは珍しいと思います。
 ヨーロッパでは宗教戦争がありましたが、日本人にはあり得ない発想です。
 この本には建国についての記述が多く、私の知りたい近代にはあまり触れてはおりませんが、日本の歴史教育は戦後のGHQの実行した「War Guilt Information Program」が今尚根強く残っているということは 大きく納得しました。
 私自身がその一人だからです。
 今からでも、日本の歴史を学びたいですし、それが日本人の芸術家が海外で活躍するための必須条件なのだと思っています。

   文責  野呂洋子

8月31日

現代美術系の画廊が従来の美術業界の団体とは同床異夢であり、海外に主眼をおく仲間で新たな協会を立ち上げるとフェースブック上に投稿をしていた。
先日の日記でもそうした動きを危惧した彩鳳堂画廊の本庄氏の投稿を紹介させていただいたが、どうやらそうした動きは本格化してきているようだ。

その後、投稿は削除されたようだが、海外への進出を図る現代美術系の画廊が行政の文化支援を促すべく、そうしたグループをつくろうとしているのだろう。
その志は良しとしたいが、何故一線を画してそうした行動をとろうとするのかがよくわからない。
私に言わせると異床同夢ではないだろうか。
私も以前は東京美術倶楽部という業界の大本山に対し違和感を持っていたのは確かである。
しかし全国美術商連合会が出来て、私も所属団体の代表として同じ席につき、お歴々の意見も聞き、私なりの発言もさせていただいたが、そうしてみると、目指す思いは一緒であることが分かった。
是非新たなグループができたら、その代表が同じテーブルについてもらい、相互に意見を闘わしながら、同床同夢となって、業界発展と文化行政促進のために一致協力しあっていければいいと思っているのだが。

8月30日

猛暑がぶり返した。
8月も明日で終わりというのにこの暑さ。
月曜日から韓国光州だが、向こうはどうなのだろう。
日本と同様にかなり暑かったようだが、昨日ソウルから帰ってきた画廊さんの話では、だいぶ過ごしやすくなってきたと言っていたが。

オークションの片付けが済んだと思った途端、明日からの鈴木亘彦展の飾り付け。

彼はステンドグラスの技法とガラス絵を応用させた透明感のあるオブジェを造っている。

以前にあった東京のアートフェアーNIKAFに彼の作品で参加した時は大成功で、完売どころではなく、70点を超す予約をもらったことがあった。
当時の石原都知事や鈴木前都知事までが買い求めてくれたくらいの大人気であった。
韓国の画廊さんがこれを見て、是非韓国のフェアーにもと招待されたのが韓国進出のきっかけとなった。
鈴木作品をアートフェアーに出展していなければ、日本の画廊の韓国進出の先駆けとはならなかっただろう。

今回も当時と同様の人気をはくすることを願っている。



8月29日

9月2日からの韓国光州のアートフェアーの出品作品を紹介させていただく。
GTUで発表した光州在住の写真家・イソルジュと油彩のイソンスウを展示する。
更には二人のマネージメントをする方からの要望で、横田尚、屋敷妙子、柳澤裕貴の三人が参加する。

光州出身の大統領・金大中の肝いりで始まった光州ビエンナーレがよく知られるが、それに合わせてアートフェアーも開催されるようになった。
今年はビエンナーレ開催の年ではないので、人出はいま一つかもしれないが、光州市が大変力を入れているので、それに期待をしたい。

光州は韓国で一番料理が美味しいといわれているので、仕事とは別に食事も満喫してきたい。





8月28日

無茶苦茶忙しくて、日記も4日ぶりとなってしまった。
オークションの準備も大変だが、終わってからがもっと大変。
300点余の引渡しと集金、発送依頼の荷造りがこれまた山のようにある。
殆ど運送業者と化して、画廊の中は見るも無残にぐちゃぐちゃ。
更にはアフターセールで買われる方も多く、足の踏み場もない中を熱心に探すお手伝いもしなくてはいけない。

ようやく本日で片付けも終わり、有難い事にキャンセルもなく、一点を除いて全てお支払いをいただいた。(多分期日を忘れているので心配はないと思う)
これだけの点数と初めてのお客様もいる中で、一週間でキャンセルゼロ、回収率99%は凄いことである。
普段の展覧会もこういう具合に行けば、資金繰りに苦労することはないのだが。

オークション会社は先にお金が入り、支払いが後からとなるだけに、うまくいけばこんな良い商売はない。
私も以前にオークション会社を任されているときは、お金の苦労はなかったが、一番苦労したのは出品者との対応で、希望通りの査定とは行かず、お客様を説得するのに難儀をしたが。

昨今は中国などアジア諸国がオークションに参加するようになって、トラブルが多いと聞いている。
キャンセル当たり前、支払いは一年も遅れることがあるという。
モラルの問題だが、私のところの取引でもしょっちゅうあることなので、今時のオークション会社の苦労がよくわかる。
高い値段で落としても、翌日熱くなりすぎたのでキャンセルしたいと言ってくるそうだ。
実際支払いでも、私もお客様の依頼品が中国の大手のオークションで高額で落札されたにもかかわらず、支払いが半年後となったことがあって、やきもきしたことがあった。
そう考えると、今のオークション会社は全て良しとは行かないようだ。

何はともあれ、ようやく嵐のような日々が過ぎ去ったが、金曜日には土曜日からの展覧会の展示が始まり、私は2日の月曜日から9日まで韓国・光州のアートフェアーに出かけなくてはならず、のんびりする暇はない。
貧乏暇なし画廊はこうして日々が過ぎていくのである。

8月24日

イチローが大記録を達成した。
持って生まれた才能とたゆまぬ努力と徹底した自己管理の賜物だろう。
素直に喜ばないのも彼らしいが、まだまだ先を見据えているからだろう。
彼の発するコメントも独特の言い回しだが、その言葉には重みがある。
今回も会見の中になるほどと思わせるコメントがいくつもあったが、メディアも大きく取り上げたこの言葉がイチローの野球人生の大きな指針になっているのだろう。

4000の安打を打つには、8000回以上の悔しい思いをしてきている。
それと常に自分なりに向き合ってきた。
誇れるとしたらそこではないか。

4000本安打の陰に隠れているが、さすがイチローと思わせたのは、その前の試合で代走に起用された時である。
先発メンバーから外れ、その胸中は複雑だったろうが、40歳になる選手が最終回の同点の時点で代走に起用され、普通でもなかなか出来ない三盗を成功させ、サヨナラ勝ちに結びつけたのである。
どの監督が大事な場面で40歳の選手を代走に起用するだろうか。

若い選手以上の走力と走塁テクニックをイチローが持っていると知っての監督の起用なのだろう。
打つテクニックや守りの技術は年相応に対応できるだろうが、走力や肩の力は当然年とともに衰えるはずである。
そこが並みの選手との違いで、若いときと変わらぬ力を持ち続けるには、想像を絶する自己鍛錬と身体のケアーがなくてはなし得ないことである。
安打の数と共にそうした場面で起用され、見事に期待に応えるイチローは不世出の名プレイヤーといっていいだろう。

8月23日A

彩鳳堂画廊の本庄社長がフェースブックで現代美術の画廊宛に投稿したものを転載させていただく。

私も全国美術商連合会の理事をやっていて、この業界が大きな力を持ち得ないのは、韓国や台湾と違って業界が一枚岩になっていないことだと思っている。
連合会を通して、文化育成や文化発信をしようと頑張っていることを現代美術系のギャラリーはまだ知らないのだろう。
それと現代美術系の人たちは古い体質の業界に取り込まれてしまうのを恐れているのかもしれない。
もっと大きな視野で、排他的にならずに現代美術のギャラリーと一緒になって、文化推進の役割を担っていったらどうだろうか。

本庄社長の投稿

東京美術倶楽部は,「全国美術商連合会」という別組織の事務局を引き受けています。
ここには美術に関する業者が全て参集して、色々な分野の美術商の意見を纏めて政財界に陳情しているわけです。
著作権の事も、税制の事も全て対応しています。
古美術は勿論、日本画、洋画商、版画商、彫刻、工芸品、刀剣等、他分野の方々が参集して、国会議員を含め法曹界の方々や学識経験者の意見を聴きながら統一見解を纏めて陳情など運動しています。
そこに何故か現代美術系のギャラリーは、参加の動きをして来ません。
私は美術倶楽部をどうして敬遠しようとしているかが分からないのですよ。

現代美術系のギャラリーだけで別組織を作ろうととの事ですが、それは美術業界を分けると言うことです。
ここは互いに協力しあって、色々な意見を纏め統一見解を打ち出すべきです。
私はこの件に対しかねがねお話をしていますよね!
その度に現代アートは国際市場を重点においているから別組織を目指すとの話に成り深く話せないのですよ。

我々も勿論国際市場を目指していますよ。
海外のオークション会社からも美術倶楽部に対して色々な提案書を頂いて協力しし合おうと話し合っています。

美術業界全体が一つに纏まらないと一つの運動に成りませんよ。
いつでも話し合いの労を取りますので、互いに頑張りましょう。

8月23日

この8月は観測史上一番暑い夏だそうだ。
夏は強い方だが、さすがに毎日の暑さには参っている。

暑さもそうだが、夜の寝苦しさで冷房をかけたまま寝ていると朝起きると体がだるくなる。
昼間も一日中画廊にいると、冷房で体が冷やされ、外に出れば出るで、むっとするような暑さに目眩がしそうになる。
身体を冷やしすぎて汗をかくことが少なくなり、体温調節機能がおかしくなってしまうのだろう。

そこで逆療法で、外に出る時は半袖のシャツを長袖に変え、朝の散歩から帰っったらすぐに、風呂場を暖房にしサウナ状態で入ることにした。(今までは冷風にしていた)
夜の食事も鍋中心に変え、すき焼き・おでんといった料理をでフーフー言いながら食べることにした。
もともと汗をかかない体質の私が吹き出すような汗をかくようになり、体もシャキッとしてきたから不思議だ。
さあ、今夜はチゲ鍋だ!!

8月22日

11月の台北のアートフェアーは20周年の記念展となる。
日本からも多くの画廊が参加するそうで、ブースの配置図が送られてきた。
とてもいい場所で事務局の配慮に感謝している。
台湾に行くといつも感じるのは、親日国というよりは愛日国といっていいほど私達に暖かく接してくれることである。

ロータリークラブでも日台親善会議というのがあって、私達のクラブも大勢で参加した事がある。
その折、ロータリークラブの奨学金で日本に留学した方たちだけのクラブが台北にあると聞かされてびっくりした。
そこのメンバーから流暢な日本語で、このクラブの例会の公用語は日本語を使っていると聞かされ、またまたびっくり。
その後、台北から台中、台南、高雄と旅行したが、戦前台湾の治水事業に貢献し、ジャングルだった土地を今や台湾有数の穀倉地帯にした八田與一氏の記念館を訪ね、台湾の人たちがその恩を忘れず、公園を造り記念碑を建てて、毎年記念祭までしてくれると聞いて感激したものである。
中国本土も過去を挙げつらうだけではなく、こういうことも知っていただきたい。

偶々フェースブックを見ていたらこんな記事があったので紹介させていただく。

八田技師夫人の像、来月初め除幕式/台湾・台南

(台北 19日 中央社)戦前の台湾で水利事業に尽くした八田與一(はったよいち)技師の妻、外代樹(とよき)夫人が夫の建設した烏山頭ダムに身を投げてから68年目を数える今年の9月1日、彫刻家の村井良樹さんが制作した八田夫人のブロンズ像が嘉南農田水利会(台南市)に寄贈・建立されることになったと聯合報が19日付けで伝えた。

台湾南部に大規模な灌漑施設を整え、その人柄と功績が今も称えられている八田與一は1942(昭和17)年、乗船していた陸軍の輸送船が米潜水艦に撃沈され命を落とした。
しかし、外代樹夫人はそのまま台湾にとどまり、1945年終戦を迎えて政府から台湾在住者に引き揚げ命令が下されても日本に戻ろうとせず、夫の與一が建設した烏山頭ダムの放水口で跳び下り自殺、夫婦の物語は台湾の人々の語り草となった。

今回寄贈される記念のブロンズ像は当時の写真に基づいて制作された幼い娘を抱きかかえる外代樹夫人の姿で、9月1日烏山頭ダムの八田記念館で除幕式が行われる。



8月21日

オークションも無事終了。

おかげさまで大勢のお客様にお越しいただき、約300点が落札された。
高額品の奈良やリーウーハン、向井潤吉は残念ながら落札されなかったが、幅広い作家に札が入り、著名作家以外の作品に人気が集まるというギャラリー椿らしい結果ではなかっただろうか。
金額も大台をはるかに超え、出品していただいた方にも喜んでいただけるだろう。
今日から土曜日までは残った作品約200点余のアフターセールとなる。
表示の最低価格で先着順でお受けするが、こちらも毎年楽しみにしている方も多く、残り物に福ありで、落札出来なかった方、オークションにお見えいただけなかった方も是非お越しいただきたい。



8月20日

河口湖美術館で開催されているWonderful My Art「高橋コレクション」展に安倍首相がお見えになった。
この展覧会は河口湖ミューズ・与勇輝館を運営している彩鳳堂画廊社長・本庄俊男氏が企画した展覧会で、私も見に行って、一個人がこれだけの現代美術の大作のコレクションをされていることに感嘆したが、一般の方には馴染みがないのか入場者はいま一つで、本庄氏が河口湖で夏休みをとっている安倍首相が見に来てくれないかなと言っていたのが実現したようだ。
その折に本庄氏が首相にお話したことがフェースブックに載っていたので、転載させていただく。

安倍首相にお話したのは、総理に成られて直ぐに、170億円の「クールジャパン戦略」を立ち上げられた事で美術関係者は凄く喜んで歓迎した事を話しました。
しかし内容が、アニメ、マンガ関係に片寄るのは如何なものかとも話しました。
日本のサブカルチャーはすでに海外では定評があり今更の感もあります。...
私達は、日本のハイカルチャー(純粋芸術)を世界に発信 支援して欲しいと お話をして、此処に、高橋龍太郎先生が個人で私財を注ぎ込み作家支援した二千点に及ぶ素晴らしいコレクションが存在するのだから、今度は国が文化発信をして日本文化度の高さを主張して欲しいとお願いしたのです。
つまり、高橋コレクションを海外に紹介して発信して行く事の支援願いです。
纏まったコレクションが一箇所にあるのだから、シッピングとか関係者の渡航費、会場費を含めても1億円もあれば実現出来るのでは無いでしょうか?
それにより、諸外国に日本の現代アートの素晴らしさをアピール出来ればと、1960年代「具体派」の例を取りパリとニューヨークで大フィーバーしている現実を折り込み話したのです。
河口湖町長と財団の局長を交え1時間以上時間を割いてお茶を飲みながら門外漢の私の話を聞いて頂きました。

日本はマンガ、アニメばかりの国でなく千数百年に渡り培った純粋芸術が存在するのに勿体無い話ですよね。

文化庁でも前向きに検討頂いているので実現は不可能ではないような気がしています。



新聞でも紹介されていた。

夏休みで山梨県に滞在中の安倍首相は19日、山梨県富士河口湖町の河口湖美術館を訪れ、世界的な評価が高い現代アートの奈良美智(よしとも)さんや草間彌生(やよい)さんらの作品を鑑賞した。

同県鳴沢村の別荘近くの飲食店で食事をした際、従業員から勧められて訪問したという。
鑑賞後、首相は記者団に「素晴らしい。もっと発信しないともったいない」と語った。

(2013年8月19日20時04分 読売新聞)

安倍首相は私の高校の後輩ということもあって応援させてもらっているが、是非日本のアートを海外に発信していって欲しいものである。

8月19日

今日も外は35度近い猛暑だが、たくさんの方にお越しいただいている。
少し前の日記に、来られるお客様が少なくなってきていると書いたが、こうして来られる方を見ていると、何のことはない以前からお見えになっている方が多い。
初めての方も多いが、割合としては馴染みの方のほうが多く、こんなにたくさんの馴染みの方がいるのだと嬉しくなる。
ただ今回のように一時に集まることがないので、だんだん少なくなってきているように思えてしまうが、そうでもないようでほっとしている。

このオークションもお客様からの出品があって成り立っていて、今回も3人のコレクターの方から400点ほど出品されたことで、このような数のオークションになったが、毎年毎年そうとは限らず、来年もまたこのような規模で開催できるかどうか未定だが、お客様からお客様への橋渡しで作品が生かされるのであれば、出来る限り続けて行きたい。
そのためにも出品のお客様と購入されるお客様の協力をいただかなくてはならず、おなじみのお客様とは更なる長いお付き合いをお願いしなくてはならない。
ただこうしたオークションだけでなく、企画展でもぜひともご協力いただけると益々もって有難いのだが。

8月18日

日曜日、昨日ほどではないが途切れずお客様がやってくる。
多分暇だろうからとスタッフには休んでもらい、家内と二人で店番をしているが、久し振りのお客様が見えたりで結構忙しい。
すぐそばのギャラリー川船でもキャバレー王・福富太郎の戦争画コレクション展をやっていて、朝から賑わっているようだ。
絵好きな人にとっては、夏休みも美術に触れているのが何よりの休暇なのかもしれない。

暑い暑いと言っているうちに、8月も半ばを過ぎ、9月には入るとすぐに海外のフェアーが立て続けにあって、ゆっくりはしてられない。
あっという間に12月になってしまいそうだ。
年々月日が経つのが早く感じられる。
年寄りは一日が長く一年が早く感じられるというが、確かにそのとおりである。



8月17日

オークションがいよいよスタート。
お盆休みと猛暑で果たしてお客様がお見えいただけるか不安だったが、朝から途絶えることなくお客様が見えて入札をしていって下さる。
プロの画廊さんは一人だけで、後は殆どかおなじみのお客様で、皆さん根っからの絵好きな人たちばかりである。
午後からは知らない顔のお客様も多く、どうやってオークションを知ったのだろうか。
案内状も作らず、従来のお客様にリストを送付するだけで、後はホームページと私のブログ、フェースブックで発信しているが、それの効果だろうか。
こうした方が私共の企画にお見えいただけるようになるとありがたい。
幸い入札用紙には名前と住所を書くようになっているので、オークション・プラス・アルファーで新規顧客の拡大に繋がればいいのだが。



8月16日

オークションもいよいよ明日からだが、出品作品が多すぎて展示が大変。
あらかた壁は埋まり、それでもまだ100点近くが残っていて、わずかな隙間を見つけて、はめ込むのだが、まるでジグソーパズルをやっているようだ。
これだけの点数の展示ともろもろの準備をスタッフ2人とアルバイト4人でこなすのだから大変。
以前社長をしていたオークション会社では、アルバイトを含めると10数人でやっていたが、零細企業はそうはいかず 、わずかな人数でこなすしかない。
それでもやればやれるもんで、なんとか夕方までには終えることが出来そうである。

今回は著名作家から若手作家まで幅広く出品があり、価格もかなり安く設定させていただいたので、掘り出し物を見つけに是非お越しいただきたい。
展示も床から天井ぎりぎりまでぎっしりと飾られ、お目当ての作品は宝探しの如く見つけなくてはならないが、ひと際暑いお盆の最中、暑気払いにゆっくりと画廊で楽しんでいただきたい。



8月15日

終戦記念日。

昭和21年生まれの私は戦争を知らない最初の世代である。
父親は無線機の工場をやっていたことで、戦争に行くこともなく、戦争の悲惨さを身近に聞くことも体験することもなかった。

私が修行をさせてもらった画廊の社長は召集され、2等兵として大変な辛酸をなめたという。
偶々忘年会の席だったろうか、それぞれがプレゼントを持ち寄ることになり、私は深い意味もなく、雑貨屋にあった戦時中の兵隊さんの慰問袋(悪いことにその中には召集令状も入っていた)があったので、受け狙いで買うことにした。
プレゼントは誰のものが誰に行くかわからないようになっているが、運悪く社長にそれが当たってしまった。
そのときの社長の激怒した顔は今でも忘れられない。
社長にはその当時の辛い体験が蘇ったのだろう。
そうした思いを知る由もない私はただただ身を小さくして、怒りが収まるのを待つだけであった。

全てを失った焼け野原から復興を図り、世界第2位の経済大国となった先人の努力は並大抵ではなかっただろう。
生死の境から帰還し、裸一貫で日本1,2の大画廊を造り上げた社長もまたその一人であった。

8月15日になると何故かそのときの怒りに震えた社長の顔が思い出され、忸怩たる思いと共に、平和な良き時代を過ごさせてもらい、今があることに改めて感謝をするのであった。

8月14日

オークションの準備も着々と。
銀座は暑さとお盆休みで静かなもので、近隣の画廊もみんな夏休みの貼紙がしてある。

そんな中、2年越しで懸案になっていた商談が一歩前進。
週明けには話を詰めることになるが、上手くまとまるといいのだが。

今日も巨人戦のチケットを友人からもらったので、準備はスタッフ達に任せて、東京ドームに出かける。
私が見に行くと巨人が負けるジンクスも、ここ2回は逆転勝ちをしていて(但し、私が帰ってからなのだが)、今日は商談も進んだことだし、最後まで残って、巨人の勝利を見届けることにしよう。

8月13日A

ギャラリー椿オークション

菅野圭介、菅創吉、大沢昌助



久保守、小野末、須田壽



多賀新、緒方洪章



8月13日

猛暑は続くよ何処までもと、とどまる所を知らない。
四万十市では観測史上最高気温の41度を記録したそうだ。
熱中症で病院に運ばれる人も多いが、エアコンや扇風機のない時代はどうやって暑さをしのいでいたのだろうか。
恐らく今ほどは気温は高くなかっただろうし、地面もアスファルトではなく、自動車やエアコンの室外機から出る熱風があるわけもなく、団扇や打ち水で充分だったのかもしれない。

今日からはアルバイトの多摩美の学生に来てもらい、オークションの準備におおわらわ。
画廊は倉庫状態で、お盆休みの人が来ないときにやるのは大正解である。
ただ12日に来ると言った中国人のためにGTUの奥の部屋だけはきれいにしてあるのだが、今日になっても一向にやってこないし、連絡もない。
毎度のことで慣れてはいるが、一人だけのために部屋を空けておくわけにもいかず、明日にはそこも倉庫状態になってしまうが仕方がない。

今日もまた追加の作品が来ていて、ホームページ上の追加のリストでご確認いただきたい。
出品依頼が次々で、500点をはるかに超えてしまい、果たして全部展示できるかが心配になってきた。

8月12日B

吉田勝彦、山中現、落田洋子



安徳瑛、相田幸男、大山富夫



8月12日A

ギャラリー椿オークション

中村善策、井上長三郎、鹿子木孟郎



宮崎進、今井信吾、小嶋悠司



山口啓介、舟越桂、重野克明



8月12日

3日から11日の昨日まで夏休みをとらせていただいた。
今日から仕事始めで、画廊は17日から始まるオークション作品で溢れかえっている。
既に作品リストはお手元に届いていると思うが、まだの方や新たにご希望の方はお申しでいただきたい。
画廊のホームページにも出品リストが掲載されているのでそちらでもご覧いただける。
準備を整え、暑い最中ではありますが、皆様のお越しをお待ちしています。

夏休みは野球観戦、八ヶ岳のコンサート、河口湖では畑仕事、ゴルフ、孫の相手とのんびりと過ごさせてもらった。
河口湖は猛暑が嘘のようで、朝晩は窓を開けると寒いくらいで、家の周りにはコスモスが咲き始め、赤とんぼも飛んでいて、既に秋の風情である。
昼間の暑さは東京と変わりはないが、日陰に入れば涼しげで、木陰での読書、昼寝も満喫させてもらった。







8月2日

近所の方から電話があって、うちのマンションの玄関にハクビシンがいて、通りがかりの人達がみんなで見ているとの知らせがあったそうだ。
昨日伺ったお屋敷にもハクビシンが住みついて困っていると聞いていたが、まさか我が家にも出現したとは。
名前は聞いたことがあるが、実物を見たことがなく、ましてや家内などはハクビシン自体を知らなくて、電話があっても何のことかわからず、玄関にハクビシンという花でも咲いて、珍しいので知らせてくれたのだと思ったらしい。
それにしても、マンションのたいした庭木もないところに現れるとはびっくりである。
あまりの暑さにそのうち蛇やトカゲも出てくるのでは。

8月1日A

ギャラリー椿オークション

幻想派作家

相馬武夫、長谷川健司、谷神健二



抽象画

野田祐示、岡田謙三、野見山暁治



ギャラリー椿ゆかりの作家

水島哲男、岸田淳平、開光市



8月1日

今朝は知人のお宅の古陶磁類の処分を頼まれて行ってきた。
「雑貨屋・椿」と名前を変えたほうがいいかもしれない。

先日の乃木大将の書簡は間違いないもので、譲られた本人はどうせ贋物と思っていただけに喜んでいた。
評価自体は大したことがなかったが、折角の好意だから評価の高低は関係なく、大事にしたいと言っていた。

伺った家は広い庭に茶室まである豪壮な日本屋敷で、玄関や床の間にも著名作家の油彩や日本画が飾られていて、どちらかと言えば、こちらの処分のほうが有り難いのだが。
今回は東西の古い陶器やガラス器で、楽一入、尾形乾山からエミール・ガレ、古代オリエント時代の壷や花瓶などが多数あり、恐る恐る運ばせてもらった。
専門ではないので何とも言えないが、私が見た感じではどれも質の高いもののように思えるのだが。
今回の私共のオークションでは向きが違うので出品しないが、専門のところで先ずは鑑定査定をしてもらおうと思っている。
果てさてどんな結果が出るか楽しみである。



8月1日

ギャラリー椿オークション

抽象画

難波田龍起、元永定正、津高和一



海外版画

フォートリエ、ローランサン、ヴァンドンゲン



7月31日B

ギャラリー椿オークション

版画

松谷武判、リウーハン、草間弥生



7月31日A

ギャラリー椿オークション

具象作家

智内兄助、筧本生、木原和敏



7月31日

展覧会が終わると画廊を訪れる人は途端に少なくなる。
震災前だと、それでも常連のお客様が顔を見せたものだが、それもめっきりと少なくなってきている。
その要因をお客様に聞いてみたいものだが、まずは価値観の多様化でお客様の行く画廊が拡散化していて、昔のように特定の画廊だけを訪ねることが少なくなってきているようだ。
また以前のように銀座中心だった画廊エリアが分散し、特定のエリアだけを廻る人も少なくなってきている。
私のところのように古い画廊だと、お客様が高齢化して画廊に見える頻度が少なくなってきているのも要因の一つだろう。

それと最近思うのは、私のところがバブル以降の日本の美術市場の低迷もあって、海外のフェアーや展覧会に比重を移してきたことで、足元が見えなくなってしまったことを反省しなくてはいけない。
私のところのスペースが広くなったこともあって、作家も大作を発表する傾向にあり、その大作が海外で売れることもあって、日本のお客様の身の丈にあった作品を紹介することをおろそかにしてきたようだ。

バブルの頃に各地に美術館が出来て、画廊の多くはこぞって美術館向けの著名作家や大作に力を入れていて、私はよくそうした画廊に若い作家を紹介し、個人のお客様に目を向けないと気がついたときには、後ろに誰もいなくなるよと言ったものである。
そうした私が胸に手をあてると、どうも同じ轍を踏んでいたようだ。

若手作家中心の低価格が当たり前の美術市場にあって、それなりの経費を捻出するには、小品ばかりでは画廊経営も立ち行かなくなるが、日本市場と海外市場のバランスを保ちながらも、今一度足元を踏み固める必要性を認識しなくてはいけない。
展覧会が生命線の私にとって、日本のお客様目線で企画を考え、以前の賑わいを取り戻して行かなくてはいけないと強く思う昨今である。

7月30日

オークションの出品依頼が多く、果たして飾りきれるか心配になってきた。
リストの作成に時間がかかっているので、重複するが少しづつ画像で紹介させていただく。

若手作家から

入江明日香、時松はるな、小西真奈



物故作家

松田正平、小山田二郎、清宮質文



7月29日

フェースブックでこんなアンケート結果がでていたので紹介させていただく。
中国、韓国との関係がギクシャクしている中で、台湾がどの国よりも親日国であることがわかる。
安倍総理も中国に気兼ねせず、是非台湾を訪ねてほしいものだ。

「一番好きな国は日本」…台湾でアンケ、98%がプラスイメージ

  公益財団法人交流協会台北事務所はこのほど、台湾で2012年度に実施した対日世論調査の結果を発表した。
  「最も好きな国や地域はどこですか」(単一選択)に日本を挙げた人は42%で、調査を開始した2008年以来、4回連続で第1位だった。
  日本に対して何らかのプラスイメージを持つ人は98%にのぼることが分った。

  インターネットによるアンケートにコンピュータ補助システムによる電話アンケートを組み合わせた。
  対象は20−...80歳の男女でサンプル数は1002。統計学上はサンプル数が1000の場合の誤差は3%以内で、結果は十分に信頼できるという。

■「最も好きな国は日本」…初回調査から4回連続トップ

  「台湾を除き、あなたが最も好きな国・地域はどこですか」との問いに対して「日本」を選んだ人は全体の43%だった。
  以下、米国、シンガポール、中国大陸はいずれも7%、オーストラリアが5%、スイスは4%、カナダは3%だった。韓国とフランスは2%だった。

  同調査は08、09、11年度にも実施しており、今回は4回目。
  日本を「最も好きな国」に選らんだ人の割合は、38%、52%、41%、43%と変動があるが、いずれの回も最多だった。

  12年調査で、「日本が最も好きな国」と回答した人を年齢別でみると、20代が54%、30代が50%、40代が37%、50−64歳が37%、64−80歳が39%だった。
  若い世代の方が日本への好感度が高いことが分った。

■「日本に親しみ感じる」65%、「感じない」15%

  「日本に親しみを感じますか」との問いに対しては「感じる」が11%、「どちらかと言えば感じる」が54%だった。
  「感じない」は4%、「どちらかと言えば感じない」は20%だった。
  親しみを「感じる」、「感じない」で大別すれば、「日本に親しみを感じる」人は65%、「感じない」人は15%だった。

  日本に対するイメージを選択してもらったところ、「きまりを守る国」(78%)「経済力・技術力の高い国」(76%)「自然の美しい国」(75%)、「豊かな伝統と文化を持つ国」(73%)などを選択した人が多かった。

  「民主的な国」を選んだ人は57%、「平和な国」は54%、「クール・おしゃれな国」は41%、「影響を失いつつある国」は33%だった。

  「好戦的な国」(19%)、「警戒を要する国」(20%)、「国際貢献に消極的な国」(16%)、「閉鎖的な国」(13%)を選らんだ人は少なかった。

■「日本にプラスのイメージを持つ人」は全体の98%

  「経済力・技術力の高い国」、「自然の美しい国」などを「プラスのイメージ」、「影響力を失いつつある」、「傲慢」などを「マイナスのイメージと、回答を2種類に大別して、日本について「プラスのイメージだけを選んだ人は全体の43%、「プラス・マイナス両方のイメージを選んだ人」は57%だった。

  「マイナスのイメージだけを選んだ人」は全体の2%にすぎなかったので、「プラス・マイナス両方のイメージを選んだ人」を組み込んだ。
  別の角度から言えば、日本に対して何らかの「プラスのイメージを持つ人」は、全体の98%に達したことになる。

  「プラスのイメージしかない人」は2011年調査の35%から、8ポイント増加した。
  「プラス・マイナス両方のイメージがある人」は同65%から8ポイント減少した。

7月28日

私の住む代々木上原は近年洒落たレストランやショップが沢山出来て、昔の面影を失いつつあるが、それでも昔ながらの商店街では朝市があったり、氏神様のお祭りなどがあって、以前の情緒をかろうじて保っている。
今夜は商店街主催の盆踊り大会があるということで、孫達を連れて行ってきた。
それぞれの商店が軒先にお酒や料理を並べ、多くの人で賑わっていた。
おそらく孫達がいなければ、お祭りに行くこともなかっただろうし、商店街がこんな賑わいになっていることも知らなかった。
ましてや熟女連の踊りも見ることはなかったが、それはそれで孫達とは楽しいひと時を過ごさせてもらった。



7月27日

今日で二つの個展も終わり、来週からはオークションの準備にはいる。
点数は500点近くになると思うが、近代美術から現代美術まで幅広く出品される。
点数が多いのと、お盆休みの後半に会期がかかるので、予定より1日延ばし、8月17日から20日までとさせていただく。
リストは出来るだけ今月中に作成し、8月初めには送付予定なのと、ホームページでも逐次追加作品を含め紹介していくのでご覧いただきたい。
勝手ながら、夏休みを8月3日から11日まで取らせていただくので、お問い合わせは休み明けの12日からでお願いしたい。
今までとは一味違った中身の濃いフェアーとなるので、乞うご期待である。









7月26日

業界の美術団体の役員から韓国の美術行政や税制についてのリサーチをしたいので、しかるべき人を紹介してくれないかとの依頼があった。
韓国画廊協会の会長と親しくさせていただいているので、早速会長との面談と文化行政担当の役人と政治家を紹介してほしい旨の連絡をさせていただいた。

その矢先、台湾の画廊さんが訪ねてきた。
台湾での文化政策について聞いてみると、彼等も10年ほど前に韓国の文化政策を調査し、まずは画廊協会を一体化して、その下に産業金融研究所というものを作り、データを集積したうえで、政治家と月一回会食をしながら、国家による文化支援と文化環境の整備を訴えているそうである。
現在台湾の画廊が海外のフェアーに参加するときは費用の3分の1の補助とか台湾国内のフェアーへの支援、アーティストの海外派遣などをしているそうである。
税制についてはまだ文化への優遇税制には至っていないというよりは、まだ美術に税務当局が関わるところまでいってないようで、そこはなるべく触れないようにしているそうだが、いずれは韓国のように美術品の相続税控除、欧米のような寄付控除を考えていきたいと言っていた。
彼等も日本に学ぶのではなく、韓国をお手本にしているとは、私たち日本人にとっては悲しい話だが、現実はその通りで、遅まきながら我が業界も韓国から学ぶ緒についたようだ。

7月25日

火曜日のゲリラ豪雨から毎日雨模様。
直射の焼け付くような暑さはしのげるが、湿気が身体にまとわりつく。

今日も朝から夕方までかかってお客様の作品の整理。
腰をかがめた姿勢で一点一点お客様と作品の確認の作業をしているうちに、腰の具合がおかしくなってきた。
腰をさすりさすり頑張った甲斐があって、リウーハンの油彩や草間の版画といった人気作品も出てきて、私どもに託されることになった。
まだまだ湧くように作品は出てくるのだが、いい加減なところで止めないと画廊に収まりきらない。
約300点をピックアップさせていただき、引き上げることにした。

腰はパンパン、背筋を伸ばすこともできないが、ギックリ腰ではなさそうだ。
畑仕事でも屈んだままの姿勢で野菜を採っていると、すぐに腰に来る。
脳細胞の減少と共に、腰周りの筋肉もだいぶ弱ってきているようだ。



7月24日

20日前に診てもらった検査の結果と今一度血液検査をするというので、病院に出かけた。
結果は全て異常なし、心配した肺も悪性の兆候は全く無しであった。

ただし、中性脂肪とコレステロールの値が高いので、運動をするのと食事に気をつけるように言われた。
中性脂肪は前から言われていたが、コレステロールを言われたのは初めてでちょっとショック。
後で数値を調べてみると、コレステロールの基準値140を2ポイントオーバー。
確かに高いと言われても仕方がないが、数字を自分で確かめなければ、早速食事制限とスポーツジムに入会するところであった。
まあ気をつけるに越したことはないが。

この病院は完全予約制なので、診察時間は予定通りでいいのだが、その後の待ち時間がやたら長い。
今回も検査結果を聞くだけなので、1分もかからないが、そのあと処置室でピロリ菌が完全になくなったかを検査する検便の容器をもらうのに、何と1時間半も待たされた。
あまりにも遅いので、早くしてくれと催促すると、カルテを書いているので時間がかかっているという。
検便の容器を出すだけで1時間半もかけてカルテを書くはずがない。
余程立派な検便の容器が出てくるのかと思ってしまった。

7月23日

那須にあるパン・アキモトの秋元義彦社長の「救缶鳥プロジェクト」のお話を伺った。

秋元氏は阪神・淡路大震災の時に救援物資としてパンを送ったが、被災者から長期保存可能で美味しいパンの製造の要望を受け、試行錯誤の末にパンの缶詰を作ることに成功した。
パンの缶詰はその後順調に備蓄食品として売り上げを伸ばしていったが、缶詰といえども賞味期限が来ると廃棄処分となってしまう運命にある。
そんな中、スマトラ沖の大地震の折に、スリランカの日本語学校から賞味期限切れ前のパンの缶詰があったら送ってほしいとの連絡があった。
その時は新品を送ったが、方や捨てられてしまう可能性のあるパンがあり、もう一方では中古品でもいいから送ってほしいという災害地や飢餓に苦しむ国があること、その二つのテーマを同時に解決できないかと考えた末に「備蓄食のリユースシステム」が生まれた。

流通やコストの問題など直面する課題があったが、ヤマト運輸や日本国際飢餓対策機構などの協力を得て、ごみ化減少、もったいない運動、市民参加型国際貢献を合言葉に「救缶鳥プロジェクト」を推進することになった。
このプロジェクトは、従来の備蓄用パンの缶詰の2倍のサイズのものを15缶セットにし、3年となっている賞味期限の1年前にお客様から未利用品を下取りし、海外の飢餓地域へ無償で提供するとして、購入者に案内するというものである。

プロジェクト賛同者が添付された申込書に記入し郵送すると、2年後に回収の案内が来て、再購入希望のお客様に一缶100円を値引いた価格で次回品を発送し、次回品が届いたと同時に未利用品をヤマト宅急便に回収してもらうというシステムである。
こうして回収された中古品が一定数集まったら、あらかじめ調査をした義捐先に輸出をし、配布の様子を写真撮影し、報告書を作成して参加者に送付をしている。

秋元氏は私達は日本人であると共に「地球人」であるという。
現在地球に約60億人が住んでいて、何とそのうちの10億人が飢餓状態にあり、1分間に17人が飢餓で命をなくしている。
そのためには仲間同士、同じ星の人間が助け合うことが必要ですと語った。

地方の小さなパン屋さんが始めた地球規模の大きなプロジェクト、声高に叫び、こぶしを振りあげるだけではなく、個人で出来る社会貢献、国際貢献は何かをまずは考えてみたらどうだろうか。

パン・アキモトのホームページ http://www.nasuinfo.or.jp/FreeSpace/aki_pan/index.html

7月22日

井澤由花子から小品が送られてきた。
二人目の出産の直後に描いたそうで、今までの絵よりは具象化されているが、清明な情景がとても美しい。
目下二人の子供の育児に奮闘中だが、描く意欲はますます旺盛のようだ。
同じように二人の幼い子供を抱えている呉亜沙が9月に私どもで3年振りの個展を開催する。
二人の幼子の育児という大きなハンディーを背負いながら、制作に励む姿はまさしく母は強しである。



7月20日

小池保氏による朗読会が開かれた。

川上弘美の著書「神様」と、3・11後に書かれたストーリーは同じ「神様2011」が朗じられ、日常はそれほど変わっていないが、「2011」では徐々に原発の影響が身辺に及ぼしていく怖さが密やかに込められていて、小池氏の淡々とした語りと共に聴く人の胸に伝わる。
偶々、展示中の中村亮一の作品にも、福島の美しかった光景を追慕する作品がいくつかあり、それぞれの表現者がそれぞれの形でメッセージを発信し、喉元過ぎればの現状に警鐘を鳴らし続けていて、日曜日の参院選を前に、今一度胸に手をあて、一票を投じなくてはとの思いを強くした。



7月19日

こんな記事が出ていたので紹介させていただく。
ここに出ている日本人コレクターのお一人とは僅かながらの接点はあるが、海外を含め、その他の方とは残念ながら袖擦りあう縁もない。
ユニクロの柳井氏は家がご近所という縁だが、広大な敷地にある大豪邸をただ眺めるだけである。

アートコレクターズ・イン・アジアから引用。

アメリカの美術雑誌「ARTnews」が7月9日に、今年度の「The ARTnews200Top Collectors」を発表した。
1991年から毎年発表されているこのリストは美術界のみならず、ビジネス界でも注目されている。

今年の200人リストに、大林組会長の大林剛郎と中国からのカーディーラーの楊濱、出版社社長の邵忠、娯楽会社社長の喬志斌とDomus Collectionの創立者アメリカ籍華僑の張明が新登場。
5人を含め、アジアからのコレクターが14席を占めした。
日本からは、現代美術から骨董、プリミティブアートまでコレクションしている「大和プレス」代表取締役の佐藤辰美、近現代美術をコレクションしているファーストリテイリング社長の柳井正。
台湾では昨年から4位を連続飾った受動部品専業のグループ会社YAGEOの社長陳泰銘と、中国磁器、印象派とモダンアートをコレクションしている力晶科技会長の黄崇仁。
香港在住ではウォーホルのコレクターとして知られる不動産投資家の劉鑾雄と、1990年代アートのコレクターであるモニークとマックス・バーガー夫妻。
コンテンポラリーアートの蒐集に秀でている韓国のアラリオ・ギャラリー代表キム・チャンイル、インドネシアの中国人実業家の余コ耀の他、中国写実油絵と書画の名コレクターである上海の投資家、王薇と劉益謙夫妻も選ばれている。

今回の1位から6位は昨年同様、トップはLVHM(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)グループとクリスチャン・ディオールのCEO、パリ在住のベルナール・アルノーとエレーヌ夫妻。今回が8度目の栄冠。
2位はNYの投資銀行家でMETとMoMAの理事も務めるレオン・ブラックとデブラ夫妻。
3位は金融サービス業と不動産開発に携わってきた実業家エリ・ブロードとエディス夫妻。
4位には、昨年に初めてトップ10入りした台湾の陳泰銘。
5位はコネティカット州のヘッジファンドマネージャー、スティーブ・コーエンとアレクサンドラ夫妻。
6位はアメリカの化粧品会社会長で駐オーストリア大使も務めたロナルド・ローダーとジョー・キャサリン夫妻。
7位は昨年8位の海運王・競走馬主として知られた実業家ストラヴォスの長男であるスイス在住のフィリップ・ニアルコス。
8位は昨年9位のグッチを傘下に持つPPR元会長でクリスティーズのオーナーでもあるフランソワ・ピノー。
9位は昨年10位のカタールの王女であるシェイカ・アル・マヤッサ・ビント・ハマット・ビン・カリファ・アル・サーニ。
10位はトップ10新入りで、ウォルマート創業者サム・ウォルトンとヘレン・ウォルトンの娘、アリス・ウォルトンである。

7月18日

友人から乃木希典が東郷平八郎に宛てたという書簡の鑑定を頼まれた。
こういったものは全くの門外漢で、書いてある字さえ読むことができないのだから、真贋などわかるはずがない。
偶々友人がこの書簡を譲り受ける場に立ち会ったことで私に頼んできたのだが。

見てみると、明治三十七・八年海戦史を東郷から贈られ、その礼状のようだ。
友人に譲った先が戦前から海軍の将校が集まるところとして知られていて、鈴木貫太郎などの書がところ狭しと飾られ、出どころとしては疑う余地はないのだが。
専門家に見てもらうしかないが、もし間違いなければ、日露戦争の英雄二人の歴史の一端を垣間見ることとなり、資料としても大変貴重なものとなるはずである。



7月17日

先週に比べると嘘のように気温が下がっている。
先週はとにかく暑く、その最中に力仕事が3日もあって、熱中症になってもおかしくないくらいの1週間だったが、今週は今のところ平穏無事。

ただ連日思いがけない方から、作品処分のお話が来ていて、来週はまた一汗かきそうな気配がしている。
来月のオークションを聞きつけたわけでもなく、皆さん年をとり、そろそろ断捨離をと言ってこられるのだが、偶々それが来月のオークションの時期にぶつかるから不思議だ。

確かに、年がいくとこうした気持ちになるのだろうが、古い美術品が粗大ごみにならないように、こうした仕事も私達の務めとして、お役に立つことが出来れば幸いで、暑いだ、疲れるだとは言ってられない。
ただ、今日のような天気であれば尚更いいのだが。

7月16日

ミャンマー、ラオスと国境を接するタイ最北の地・チェンライの山岳民族の子供達の里親をして、20年が経つだろうか。

私共のロータリークラブでは、タイ北部の山岳少数民族の文化と子供達の教育を支援を目的とした、日本人有志によるボランティア「さくらプロジェクト」の活動に協力をしている。
遠くの山から通わなくてはならない子供達や貧しい家庭の子供達のための寄宿舎「さくら寮」をクラブの寄金で建設し、現在147名の子供達が寄宿生活をしながら、最寄りの小・中学校、高校、職業訓練校などに通学している。
学費もままならない子供達のために里親募集もしていて、私を含めたクラブの数人のメンバーが里親として子供達の教育支援をしている。
この地域には多くの山岳民族の村があり、集落ごとに独自の生活様式と文化を持っていて、私達が「さくら寮」を訪ねる時は、色とりどりの民族衣装とそれぞれの民族ダンスで私達を歓迎してくれる。

一月遅れて、里子のソムチャイ・アギ君から手紙が届いたので紹介をさせていただく。

2013年6月5日 椿原弘也 お父様へ

お父様、こんにちは、お元気ですか。
夏休み中(注・2月から5月まで夏休み)、僕は実家へ帰って家族と暮らして、とても幸せでした。
家で母の仕事を手伝いました。
弟の学校がまだ休みでないので、僕は弟を送り迎えしました。
暇な日には友達と一緒に魚を取りに行きました。
とても楽しかったです。
時々、家に一人でいると、寂しくて寮の友達に会いたくなりました。
寮にいる時、友達が多くて、とても楽しいです。
4月にソンクラーン祭(注・のタイのお正月)があります。
ソンクラーンの最中、友達と水掛けに行きました。
同じ村の友達とスポーツ大会にも参加しました。
アカ族(注・山岳民族の一つ)のスポーツ大会でした。
僕は初めて参加したのでとても緊張しました。
いい経験でした。
今年、タイは凄く暑いです。
お父様のところはどうでしょうか、暑いですか。
時間があれば、お手紙ください、お願いします。

最後にお父様が幸せで、ご健康とご発展をお祈りしています。



7月15日

連休は久し振りに息子と河口湖でゴルフ。
都会の暑さが嘘のような爽やかな風の中、多忙な息子もようやく時間が取れたようで、しばらくぶりのゴルフを満喫していた。
まだまだ息子には負けないつもりでいたが、秘密練習で腕を上げて、そろそろハンディーをもらわなくてはいけなくなってきたようだ。
ちょっと悔しい気もするが、家内や息子、娘夫婦もゴルフをするので、家族でこうして一日和気藹々とラウンド出来る喜びを噛み締めている。

次の日は畑で夏野菜を収穫。
きゅうりやトマト、とうもろこしはまだ少し早かったが、早生のジャガイモがたくさん出来ていて、とりあえずはダンボール箱に入るだけを採ってきた。
他にはナス、ズッキーニ、インゲン、大根、キャベツなどを収穫、夜には採れたての野菜を使い、料理教室で習ったばかりの夏野菜パスタとポーチドエッグサラダを作ってみた。
畑と料理、昔では考えられなかった不精者の私がこんな趣味を持つとは、家内はもちろん子供達もびっくりしている。
年相応に、好奇心を失わず、いろいろ挑戦をしてみようと思っている。



7月13日

GTUでは恒例の内林武史個展が今日から始まる。
光と音の美しさをオブジェに取り込み、独自の幻想世界を表現する内林が、今回は水晶の青い光を暗闇の中に浮き立たせ、あたかも宇宙空間か地底の果てに佇むごとく、観る者を異次元の世界に引き込む。
猛暑の中にあって、ひと時の清涼感を味わいながら、内林ワールドを堪能していただきたい。

テラゾント

いくつもの水平、垂直から現れる光と影

そこから生まれる無限の階調

全ての物質が小さな粒子で創られ

その超ミクロな世界に巨大な都市が広がる。

ゆっくりと輝く光は全てを包み込み、

それはやがて宇宙に繋がる。



7月12日

朝一番で、懇意にしている上海の画廊Kさんにお越しいただいた。
お金はいただいているが、作品をいくつもお預かりしていて、それも他所の画廊さんで買われた大作まで預かっていたので、来られると聞いて一安心。

早速に明日から始まる中村亮一展の作品をまとめ買いしてもらった。
凄く気に入っていて、上海、香港での展開も考えたいとのことで、是非実現したいと思っている。

中村は私共で初の個展だが、昨年12月には私どもの目の前にあるLIXLL(旧INAX)ギャラリーで3・11への鎮魂を描いた大作を発表している。
東京造形大を中退し、約4年間ドイツで勉強をしていて、ドイツ表現派の影響も受けている。
彼の作品には強いメッセージとストーリー性があり、今回は家族をテーマに自分のルーツを探り、生まれる前の自分の存在を思い描いた作品が並ぶ。
当たり前にある四角いキャンバスに描くことの疑問から、溶け出すような形の支持体を造り、古いアルバムをめくるようなノスタルジックな世界を表出している。

Kさんもモノクロでも強い色彩感とテーマ性に共感を覚えたようで、今後の成長に大いに期待をしていて、偶々展示の準備中に出会ったことを大変喜んでいた。



7月11日

今日も猛暑と言うよりは、酷暑、獄暑、殺暑という言葉に変えたい。

そんな中、またまた処分品の搬出でお客様のところへ。
ここは猫が一時は30匹もいた猫屋敷。
玄関を入った途端におしっこの匂いで気絶しそうになる。

庭の奥にある倉庫から作品を運び出したが、倉庫の前にある池にはまったり、やぶ蚊に刺されたり、ガレージの屋根に何度も頭をぶつけるなど散々。
暑さで集中力もなくなり、意識朦朧の中を昼も食べずに、4時間ひたすら作品を運び出した。

一昨日と同様、またもや一人で行ったのが大間違い。
社長が一人、廃品回収業、運送業を兼ねて奮闘しなくてはならず、零細企業の悲哀をしみじみと感じる毎日である。

7月10日

梅雨の時はいつものごとく身体がだるく、早く梅雨明けしないかと待ち遠しいのだが、今年は梅雨明けとともにいきなりの猛暑。
梅雨の間が比較的涼しかっただけに、この暑さに身体がついていかない。

今朝は毎月一回の男の料理教室で楽しみにしているのだが、暑さと満員電車で戦意喪失。
気合い入れ直して教室へ。
この暑いのに生徒さん達は欠席なしの超満員。

3年を過ぎて、男性専科は3教程しかなく、もう一度5月からは基本コースのお料理初めての会に通っている。
今日はなすとトマトのパスタにポーチドエッグサラダ、オレンジアイスティー。

料理教室のベテランともなると、お料理一年生の中では手際がよく、もたもたしていると偉そうに指示などして優越感に浸っている。
一年生達は先輩面した嫌な奴がいると思っているに違いない。



7月9日

昨日、今日と、猛暑の中をお客様の処分品の運び出しに行ってきた。

35度を越す暑さ、恐らく倉庫の中や車に積み込む路上では40度くらいあったのではないだろうか、300点を越す作品を運び出した。
倉庫から運び出すだけならいいが、それをいったんお客様のところまで持ち込み、作品を箱から出して、残す作品、処分する作品を決め、リストを作り終えると、また作品を車に積んで、我が家の倉庫で降ろすという繰り返しで、くたくたで熱中症寸前であった。

今日はまた、ご自宅の近くにある娘さんの家に50号の作品をピックアップに。
昨日運び出した作品のうち50点ほどを、写真撮りのために車に積んでいたが、50号くらいなら一人で簡単に入るとたかをくくったのが大間違い。

立派な額縁に入っていて、更には木製の立派な箱に入っている。
お客様はご高齢で手伝ってもらうわけにもいかず、かなりの重さの作品を、歯を食い縛ってふらふらになりながら運び出したはいいが、なんと車に入らない。
お客様は暑さで倒れてはいけないので、お帰りいただき、暑さの中を積んであった作品を全て降ろし、荷台にある台も全てはずして、箱から作品を出すとかろうじて作品が入った。
この間約1時間半、炎天下で悪戦苦闘し 、上も下も汗でびしょびしょ。

箱だけを玄関に置いて帰ろうとして、ふと横を見ると、確か見覚えのある大学時代の友人の家ではないか。
全く気がつかなかったが、表札を見ると間違いない。
呼び鈴を押すと、本人も家にいて、とにかく冷たい水を飲ましてくれと家の中に這うようにしてあがらしてもらった。
かくかくしかじかといきさつを話し、お前がいるなら最初から声をかけて手伝わせたのにというと、実は先月までがんの手術で入院をして、今日もそんなわけで家で静養していたのだという。
それでは戦力にならない。

入院したことも知らず、とんだ所で見舞いの言葉をかけることになったが、偶然とはいえ、お客様の娘さんの家の前が友人の家とは。
喉も潤い、汗もようやく引いたが、砂漠にオアシスとはまさにこのことである。

長い前置きだったが、処分品の中には奈良美智やリ・ウーハン、元永定正、松田正平といった人気の作家の作品も含まれていて、苦労した甲斐があるというものである。
こうした作品を含め名品珍品が多数出品される8月17、18、19日のギャラリー椿オークションを是非楽しみにしていただきたい。
8月のお盆前にはリストを送らせていただくつもりである。
今までリストが送られなかったり、初めてオークションに参加される方は、画廊宛お申し出いただければ作品リストを送らせていただく。



7月7日

大学時代の親友の息子さんの結婚式に招かれた。

他にも3組の大学時代の友人夫婦も招かれていて、いつも会っている連中だが、こうしてあらたまった席で会うのは久し振りである。
みんなとは家族ぐるみの付き合いで、うちの子供たちを含め、小さい時から旅行や何やらしょっちゅう一緒に遊んでいた。
それぞれの子供達はみんな結婚し、彼が最後の砦だったが、いよいよ年貢の納め時となった。
お相手は超美人の女医さんで、彼も長い間待った甲斐があったというものである。
彼も好青年の商社マンで、お似合いの夫婦である。
我々もいい年になり、結婚式で会うのはこれが最後で、後は葬式くらいしかないが、50年がたってもこうして仲良く付き合えるのはありがたい事で、それぞれが元気で60年、70年と長い付き合いが出来ることを願っている。



7月6日A

小林裕児の壁画完成記念のパーティーがあって出かけた。

大船と藤沢の間に本店がある蕎麦懐石・九っ井のオーナーは小林の熱狂的なファンで本店を始め各支店にも数多くの小林作品が飾られている。
その九っ井の二子玉川店に小林による壁画が昨年の夏に完成し、1年遅れの御披露目となった。
横浜店に大作が飾られたおりにも演じられた音楽と語りによるパフォーマンスが再演され、小林作品に囲まれながら、特別メニューの美味しい食事とともに、楽しいひと時を過ごさせてもらった。



7月6日

画廊の近くに食パンの専門店が出来た。

珍し物好きの私は早速行ってみることに。
食パンが三種類だけ棚に並んでいる飾り気のない店である。
隣接するレストランでは焼きたてのバンを食べられるそうで、味見をかねて2種類のパンのトーストを注文。
出てきたのはパンが2枚とバターと小さなカップに牛乳が。
そのパンを20台ほど並ぶ様々なトースターの中から一台を選んで自分で焼けという。
要はセルフでパンを2枚焼いて食べるだけなのだが、食べてみると確かに美味しい。
ただ、驚くのは値段である。
これなら隣でパンだけ買って、家のトースターで焼いたほうがよほどまし。

うちでは家内が手作りパンを焼いていて、家のより他所のが美味しいなどと言おうものなら、たちまち逆鱗に触れて、次の日からパンは作ってくれなくなるので、滅多なことは言えないが、さすがの家内もこれは美味しいと言っていた。

7月5日

今日5日(金)から13日(土)まで恒例の「京橋界隈2013」が開催される。
歩いて探すアートと銘打ち、京橋周辺の16軒の参加するので、ぜひアート散策をしていただきたい。
私共のビルの2階に越してきた彩鳳堂画廊など老舗の画廊もいくつか新たに参加する。

私のところは既に開催中の木村繁之、渡辺大祐の個展で参加するが、最後の13日からは新たに内林武史、中村亮一展が始まるので合わせてご覧いただきたい。

  今回は界隈レポートをブログやホームページに掲載した方を、事務局で審査し、上位3名の方にギフトカードをプレゼントすることになっているので、是非ご紹介をいただきたい。
申し込みは、掲載ブログのリンクをkyobashiblog@gmail.comまで送っていただく。
詳細は京橋界隈web http://kbkw.jp/で確認していただきたい。



7月4日

フェースブックを見ていたら、次のような団体が設立されたという記事が出ていた。

『美術品公正評価へ 新団体設立』

「美術の研究者らが直接、美術品や工芸品の金銭的な価値を手ごろな料金で査定する新しい団体が3日設立されました。

設立されたのは「日本アート評価保存協会」で、委員は、各地の公立美術館の館長や大学教授ら合わせて34人です。
3日に東京・中央区で設立会議が開かれ、今後の活動方針について意見を交わしました。
協会によりますと、絵画などの鑑定や査定は、現在、画商や業者が行っていますが、鑑定書の発行費用なども合わせて1点当たり数万円の費用がかかるうえ、一部で、査定の根拠が不透明なこともあったということです。
このため新しい団体では、業者ではなく、各地の美術館の館長や、日本美術などの研究者といった、中立的な立場にある専門家が集まって、美術品や工芸品を1点1万円ほどで査定するとしています。
また、査定した結果、本物かどうかを判断したうえで、金銭的な価値を「評価書」として発行するということです。
日本アート評価保存協会の安村敏信事務局長は、「権威のある中立的な立場の研究者らが査定することで、安心して美術品を買えるようにし、海外のコレクターにも日本の美術品に目を向けてもらえるようにしたい」と話しています。」

日記で真贋について時々取り上げているが、さてこの団体がどのようなものか定かではないが、今までの鑑定機関に一石を投じる意味では興味深い。
現状では多くの鑑定団体が3万円から10万円の鑑定料、鑑定書発行料をとっているので、1万円は魅力的だが、どの程度の鑑定眼があるかどうかは定かではない。
往々にして言われることは、お金を出さずに研究や評論をしている先生方よりは、身銭を切って、多くの作品を扱う美術業者の鑑定眼のほうが間違いないと。
美術館も真贋の白黒をつけることで、大きな責任を負わなくてはいけないので、今のところ鑑定をするところはないのだが、記事によると、美術館の館長クラスまで入っているというので驚いている。

業者か学者かどちらが信用あるかは、それぞれの判断に任せるしかないが、私がいつも思うのは鑑定結果の不透明さである。
高い鑑定料をとられて、鑑定書が出ない場合に、その根拠が明かされないのが腑に落ちない。
鑑定する側が、その拠りどころを明かすことで、新たな偽物が生まれることを懸念しているためという。
公にすることはないが、鑑定料をとっている以上、依頼者にはその根拠を示すべきである。
何となく怪しい、ちょっと違うような気がするで、鑑定料をとられたのではたまったものではない。
このあたりは難しい問題だが、新しい団体には、信頼するしないは別として、その団体が指摘しているように、是非透明性のある鑑定をお願いしたい。

7月3日

先日、信州にある梅野記念館の梅野亮氏が記念館の副館長とともに画廊にやってきた。
梅野亮氏は記念館の先代の館長の息子さんで、十代から二十代半ばまで、作家として活躍し、その後実業界に転じ、警備会社の社長となった人である。

私は氏が二十歳の時に出版された画集「青春画譜」を見て惚れ込み、当時の作品を20点ほどを持っていたことがある。

氏の祖父は青木繁、坂本繁二郎のパトロンとして知られ、父親もまた独自の目線で、知られざる物故作家を発掘し、そのコレクションをもとに梅野記念館が建てられた。
そうした血筋で育った彼は才気溢れる作品を数多く描いており、親交のあった有元利夫、水島哲雄等にも影響を与えた。

そんな氏が再び画家として再スタートをすることになり、いくつかの作品を見せてもらった。

長いブランクを感じさせない叙情豊かな作品を見て、当時の思い出が蘇った。
美術界で再生するのは並大抵なことではないが、充電された才能が再び開花することを願っている。



7月2日

先日の胃カメラ検査の結果を聞きに病院へ。

逆流性食道炎はたいしたことはなかったが、潰瘍の跡があったらしい。
それとピロリ菌がみつかり、薬で除菌をすることになった。
潰瘍は全く自覚症状がなく、いつの間にか治ってしまったようだ。
ピロリ菌は40才以上の日本人の70%が感染しているそうで、薬による除菌で潰瘍の再発を10%にまで低減出来るという。
心臓検査、胃カメラ検査と続いて、どちらも異常がなく一安心だが、今度は痰検査が再検査となり、検査漬けが続く。

心臓や胃は思い当たる節はなかったが、肺は毎度のカビ菌でやられているに違いないと思っていただけに、再検査と言われるとやっぱりと思ってしまう。
なんともなければいいのだが。

7月1日

恒例の元NHKアナウンサー小池保氏による朗読会「神様2011」が7月19日に私どもで開催される。
今回は芥川賞作家の川上弘美氏の短編集「神様」からの話である。
以前に私共で山本麻友香の個展をしたときに、ある編集者が、そのとき出品されていた「ピンクベアー」を見て、この絵が川上の「神様」とどこか通じるような気がするといったのを覚えている。
是非大勢にお越しをいただき、3月11日に思いを馳せながら、最初に書かれた「神様」と3月11日以降の「神様2011」をお聞きいただきたい。
尚、用意されたスクリーンには語りと共に、多摩美術大学・版画研究室の本部希さんの挿画が映し出される。

「くま」とピクニックに出かけた私 ――
朗読会ではまず、川上弘美著『神様』を読み進める。
神様のように泰然とした「くま(神・自然)」と私との交流が描かれ、 スクリーンに映し出される絵ときと共に、大人向けの温かいファンタジーが奏でられる。

続いて、『神様』の2011年バージョン『神様2011』の始まりが告げられる。
川上弘美は、『神様』の物語をそっくりそのまま、3.11後に移し替えた。
彼女の静かな怒りが上書きされた違和と不安の世界を、 私はクマと歩いてゆく。絵の世界もガラリと一変する。
しかし汚染された空気の中にあっても、超越性を裡に秘めた「くま」の、 大らかに包み込むような慈愛だけは、いささかも揺るいではいなかったのである。





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