門倉直子展

2008年5月26日(Mon)〜 6月7日(Fri) 11:00−18:30 日曜休廊

ギャラリー椿 東京都中央区京橋3-3-10 第1下村ビル1F Tel:03-3281-7808 gtsubaki@yb3.so-net.ne.jp

―今回の作品の印象は、以前の作品とだいぶ変化したように感じたのですが、意識して変えているのでしょうか?

 意識はしていないです。描きたいものが、今回はこういう形になりました。描いているものは、同じです。

―作品の女の子は、ご自身が想像して描いているのでしょうか。

 私は女の子を、電車の中で観察することが多いのですが、彼女たちの表情は、一緒にいる相手によって変化します。友達同士でいるときの楽しげな顔が、独りになったときには、一変して何を考えているのかわからない、ぎょっとするほど恐ろしい顔になったり。本性が“でちゃった”みたいな、そんな瞬間を描いています。

―子供は、大人の顔色を見て喜ばせることをするけれど、この女の子たちも、こずるいというか、媚びているというか、そういう表情にも見えますが。

 そういう表情に出会ったら“みたぞ”と。大人でありながら、子供であり、よく心得ていて、うまい具合に私たちを惑わす。そういった表情がたまらなく好きですね。

―みんな視線は正面を見据えていますね。

 絵は、もちろん見られるものですが、絵に見られているというのが、面白いかなと思いまして。彼女たちに囲まれて「どうしよう、どうしよう」といてもたってもいられないような、感覚になってもらえたら思惑通りです。会場で、彼女たちに見つめられてどきどきされたら、本望ですね。

―タイトルが印象的ですが、各作品にはストーリーがあるのですか?

 ショートストーリーはありますね。でも今回は特に、顔があればいいと思って取り組みました。顔だけで前後の物語を語れるようにと描いています。

―技法についてですが。

 キャンバスに油彩、木炭です。下地はつくっていないです。私の場合は、描けば描くほど、垣間見てしまったことの感動が薄らいできてしまうのです。木炭を使用は、いろいろ試している中で、表現とマッチしたので、今回、初めて使いました。

―彼女たちを通して、どういったものを表したいと思っていますか?

 もしあるとすれば、男性に対する言葉にしない誘惑、かもしれません。彼女たちは、「でも私は子供だから」という逃げ道をもっていて、グロスを塗ったりマスカラをつけたりしている。私自身は、そういうことが出来なかった。むしろ地味な女の子で、彼女たちのような存在は、むしろ敵だった。でもうらやましかった。コンプレックスがあるのかもしれません。なので、描いてしまった彼女たちにジェラシーを持っています。とても憎たらしい。と同時に私が守ってあげたいとも思う。彼女たちを通して、自分を代弁してもらおうと思っているのかもしれません。

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