綿引明浩展
3/17(土)-3/31(土)
ギャラリー椿
〒104-0031
東京都中央区京橋3-3-10 第1下村ビル1F
tel:03-3281-7808 fax:03-3281-7848
E-mail: gtsubaki@yb3.so-net.ne.jp
3/17(土)-3/31(土)
〒104-0031
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E-mail: gtsubaki@yb3.so-net.ne.jp
1960 | 水戸に生まれる |
1984 | 東京芸術大学卒業<買上げ賞> |
1986 | 東京芸術大学大学院修了 |
同大学院博士課程満期退学 |
1984 | 第2回西武美術館版画大賞展<優秀賞> |
1985 | 第1回和歌山版画ビエンナーレ |
第31回CWAJ現代版画展 ― 以後 ’87、’88、’96、’99 | |
1987 | 現代の版画展’87(松濤美術館) |
リュブリアナ国際版画ビエンナーレ | |
1990 | 「アートは楽しい」展(ハラ ミュージアム アーク) |
第4回アクリラアート展(目黒美術館) | |
1993 | ラムサール・アート展(日本近海郵船フェリー) |
「今日の水戸の芸術2、3人の版画家」展(水戸博物館) | |
1996 | ダイエットする芸術 ’96リストウォッチ展 |
1998 | クラコー国際版画ビエンナーレ(ポーランド) |
1999 | NHKアート展(渋谷東急文化村ギャラリー) |
リュブリアナ国際版画ビエンナーレ | |
札幌国際版画ビエンナーレ<スポンサー賞> | |
2000 | 「カレンダー原画展」(GT2/ギャラリー椿) |
2002 | クリアグラフ展(ギャラリー椿) |
文化庁芸術派遣研修生で、スペイン・マドリッドに滞在 | |
2004 | 個展 (渋谷東急文化村ギャラリー) |
個展 ギャラリー椿 | |
2005 | 「綿引明浩さんの空想なんだ!図鑑展」(ふなばしアンデルセン公園こども美術館) |
個展 ギャラリー椿 | |
DOMANI展(文化庁海外在外派遣員展)/東郷青児美術館(東京) | |
KIAF2006(韓国国際アートフェア)出品 | |
個展 アートゾーン神楽岡 | |
個展 Mizuho Oshiro Gallery | |
個展 −写し絵 クリアグラフの世界− Fuji zerox art by zerox | |
2007 | 個展 ギャラリー椿 |
『The first of chosen pieces』(1984) | |
『ad astra』(1987) 『Fa.Do.Re』(1991) | |
『DECA MOMO』(1992) 『CAST CARD』(1996) |
東京芸術大学資料館、西武美術館、原美術館、水戸博物館 |
1999年から制作発表しているクリアグラフは形式を少しずつ変えながら常に進化している。
今回はあえて平面的な画面作りに戻し、イメージがシンプルな表現になる為何ができるか考えて行きたい。
さえずりが音楽になって、空を飛ぶ。
作品『ヴィオ ドブレ』は包み込まれるような音楽の大空間。
音と一体化する様
鳥の名前はロビンといいます。モデルは駒鳥です。
さえずりが音楽になりそして空に飛び立っていく。作品「ヴィオ ドブレ」は、包み込まれるような音楽の大空間をイメージしています。ロビンは音楽の化身であり、いろいろな空間と遊びそして色んな世界に旅をする。そういうイメージで創っています。
「おしりの天使」に似た形ではあるのですけど、だいぶ細身の形になってきています。何故かと言えば今回は空気感といいますか空間を演出したかったから、音楽というのは空間の中を移動する。それをイメージするにはもう少しスマートにする必要がありました。
元々クリアグラフは銅版画の色実験の為のエスキースから生まれました。実際に紙の上に描くよりも、アニメーションのセル画のように組み合わせ、透明な上でシミュレーションをしていく方が色のパターンが見やすいのです。ですからはじめはアクリル板ではなくて、フィルムに描いていました。でもフィルムは薄いので、手元にあったアクリル板の端で試してみたのです。はじめはすき間が薄かったのですけど、もうすこし開けてみようかと実験している内に色々な発見がありました。それで一時は四層に重ねて作業をしていましたが、どうもしっくり来なくて、それでもう少し層を薄くして・・自分の中では絵画としての表現方法を追求したかったのです。
はじめは普通のアクリル絵具を使用していたのですけれど、定着が悪くすぐはがれてしまいました。試行錯誤を繰り替えしカラージェッソがアクリル板と相性が良いと分かった瞬間にクリアグラフへとつながっていきました。これは体験してわかったことなのですけれど、アクリル板に描くというのは、ファーストインプレッションが重要なのです。
クリアグラフはガラス絵を応用した技法ですから、最初に描いた色がすべてになってくるので、最初のひと筆や最初のひと色が大事になってきます。エスキースとか、下書きとして作らずに即興的に描いてそれを作品として発表するように、緊迫感を持って制作していきたいのですよ。音楽も即興性がありますでしょ。そういう即興性を取り入れて描いたのがこの20点の小さい作品なんです。
ええ。ジャケットの為に創ったというよりもこの作品の中から選んでもらいました。いろいろな音楽をイメージして創るので、(モーツァルト、バッハ、ラフマニノフなどの)特定の作曲家の音楽を聴いて作品を創るつもりはないのです。ですから好きなものを選んでくださいという形で創りました。ただ大きさは小さくても、モデルがいて体験したことから引用しています。でもそれをそのまま出してもおもしろくないでしょ。おもしろくないことをおもしろくするのがおもしろいことですからね(笑)。自分の中では昔から、小さくてこちょこちょした漫画みたいな作品を創るのが好きなのですよ。その世界をどのように展開するかというのもおもしろい、そういう意味では自分で脚色しアレンジをしています。アレンジしたことによって発見がある。創作するのは楽しい世界。毎回新たな発見がありますしね。
ただ、シチュエーションがまだうるさいと思っている部分があって、もうちょっとシンプルにしたいと思うのです。今後このプロセスがどう変わっていくか分からないけれど、ある意味無駄な作業をしていないと思い切ってできない部分がある。自分の中のトレーニングはこういう即興性のある遊びの世界なんですけれど、「如何にそこで遊ぶか」がすべての絵の源となっています。遊ぶ要素が多く入って、それを演出しているみたいなことなのです。所詮絵はウソの世界なのだけれども、ウソの世界をどうやりきるか。やりきった時に絵の生命観や生命力が出て来る。フィクションなのだけれど、自分の中でリアリティーを追求したい。ただ版画をやっているせいか、物事をかみ砕く性格が身についていまして、何かを消化していこうというときに、どうしても自分がきっちりと判断したいと思ってしまう。でもそこに行き過ぎるとつまらないなということも感じています。ですからやわらかく自然にできる方法は、いっぱい創ることなのです(笑)。もっと楽な作品が創れたらなと思いますね。それは手が楽なのではなくて目が楽な方ですけど、敢えて言語化するとしたら抑揚みたいなものがもっと作品の中に出てほしいと思っているのです。
(c)Watabiki Akihiro