私の作品の一貫したテーマは、母の残していった衣類から来ています。
人はいつかいなくなりますが、残されたものたちには、人の気配が残像のように残っています。
そしてその気配は、時間が経つにつれ、記憶とともにぼんやりと薄れていき、
他の物語へと変化していくように思います。
人を取り巻くものや場所を、個人の象徴として捉えて描く。
それは”人”を描く事であり、誰にでも平等に訪れる”死”を想うことでもあります。
今回のモチーフは、人形の家です。
自分が神になって人形を動かし、架空の物語を作り出せる世界です。
でも突然思ってもみない事が起き、空想と現実が交差していく人間の世界も、
実は人形の家と同じなのではないかと思うのです。