GALLERY TSUBAKI ギャラリー椿 |
コイズミ アヤ Aya Koizumi 組み立て/Overflow(コップの水があふれる様について) |
立体パズルのように複数のパーツが収納され、箱が「組み立て」られる箱型の新作と 昨年新潟で発表した、開閉式の箱型作品「Overflow(コップから水があふれる様について)」シリーズを発表します。 子どもの頃から工作が好きだった私にとって「箱」というかたちは親しみ深いものです。 贈答用の箱を開けたときに、整然と隙間なく並ぶお菓子は美しく、また不要になって私の工作の材料として手元に残った空箱の「空の空間」は これから何かを入れられる、またはどこかを加工される予感と期待で満たされた空間でした。 それから、本のかたちの似姿として。 本の中には(開く度毎に)まだ知らない変容し続ける空間がしまい込まれています。 そしてその中に入り込む。 「組み立て」の箱のかたちは、内側のための外側であったり、外側のための内側であったりと 役割を入れ替えながら、表面を写し取り、かたちを裏返しながら空間を手に入れて、 知られていない隣り合わせの関係と、組み立てを運命づけられています。 手探りで空間のかたちと関係を見るための箱です。 「Overflow(コップから水があふれる様について)」は昨年制作しました。 しまい込むべき感情のセンシティブな状態について、 心の中のコップがいっぱいになり、水があふれ出すようなシーンが現れていた経験があります。 その小さな氾濫を思ってつくりました。 感覚的に、この作品を今回の個展にぜひ出品しようと思ったものの、この文章を書く(言語化する)段になって、 震災津波と原発の汚染水の流出の最中、それ以前の個人的な氾濫についての作品を 「Overflow」というタイトルのもと出品することに畏れも感じています。 私はこの震災直後、周りの友人数名を巻き込み、巻き込まれて、 そのシーンの現れていた経験時と同じような状態に陥り テレビから流れる津波の映像は、心理的に直接作用する心の実像となったように感じています。 健やかでいられますよう、祈りを込めて。 |
お問い合わせは gtsubaki@yb3.so-net.ne.jp