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・・・・・・以前は具象的な作品を描いてらしたんですか。
ええ。鉛筆を使って描いていました。女子美術大学を卒業してから細密デッサンを、女子美の教授の佐々木先生に3年間ご指導いただいて、ずっと石膏デッサンを勉強していたんです。その後、公園にある草や木を描きはじめたんですが・・・自分の描きたいものとのズレを感じてしまって・・・。
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・・・具象からキューブの作品に移行したきっかけを教えて下さい。
昔、エジプトに旅行に行ったときに、“死者の街”というのを見てからなんです。そこはお墓の街というか・・・見渡す限りずーとお墓が並んでいて、でも道路を隔てたその反対側には人が住んでいる。エジプトのカーとした日差しは、明るいところは限りなく明るく、暗いところは、限りなく暗い。
明と暗、静と動、光と影、生と死、その壮烈な対象。その姿にグッと来てしまって、夢中でデッサンをしました。描いたあとはとてもすっきりして、「これが私が描きたいものなんだ」と、思ったんです。
でも日本に戻ってから迷いが生じてしまって、行き詰まって描けなくなってしまったんですよ。
・・・それは辛かったですね。
当時は若かったですから(笑)。でもある日新聞の一面の、自衛隊がカンボジアの政変時に物資を運んでいる写真が目にとまり、手前に置かれた物資の箱と奥にあるヤシの木がとても印象的で、その箱が建物に見えた。それを見たときインスピレーションを感じて、作品を一枚描き起こしたんです。
そこから少し吹っ切れて・・・また描けるようになりました。でもまだその頃は、箱の周りに草などを描いていたんです。それが段々整理されて、今の作風に変わっていきました。
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・・・四谷さんの作品は直線がキーワードのように思うんです。
直線は人間が作ったものという意識があるんです。自然界には直線がほとんどないですから、人間の作った象徴なんですよ。私の作品の中には、人間も描かれていないし、無機的な構造物が描かれているだけなんだけれども、自分では人間そのものなんだと思っているんです。
・・・初期の作風に通じる “aoihana” などにも、パースの直線が描かれていますね。その直線は過去から未来へ向かう時間軸を表現されているようにも思うんです。
“aoihana” は、地平線を描いてますが。今は、よりシンプルになって来ました。そこに時間や永遠性を表現しているんです。 |
・・・この画面から飛び出している部分は面白いですね。
これは最近描きはじめたものなんです。以前は画面の中に収まっていたんですけど、見にこられた方から、画面の中に入り込めない。アプローチがないといわれたことがヒントになりました。画面から出ることで、空間が全然違って見えるでしょ。こちら側にも違う世界が表出したように・・・感じてもらえれば嬉しいですね。
・・・確かにせり出した部分から内部に、足を一歩を踏み出せるような気がしますね。永遠の時間の内部へと。21日まで。 |
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(C) Yotsuya Akiko
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